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第4章

第46話

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第46話

「ちくしょう!おっさん、絶対わざとだろ!
後で絶対殴るからな!いや殴らせろ!」

「グレム、作ってくれたおじさまに失礼よ」

「そうだそうだ。あんな美味い食事を作ってくれた人にそんな事させねぇよ」


グレムは俺の失敗作の炒飯を全部食べ切って腹一杯になり、皆んなに作ってやった普通の炒飯を最後に横になっているグレムの前に置くと、先程のような悪態をついたがマリエさんやグレムの仲間達が俺を庇ってくれた。

それに加えて食材と鍋や火を出せば見よう見真似で女性達も手伝ってくれて、凄く助かったが女性達が俺の側に常にいて、俺が動く度に反応して離れようとしなかった。メシの力ってつくづく大きいな。そう改めて思った。

いざ出発となったら大人しく馬車の荷車に戻ってくれたが、御者している俺の席に一番近い席に固まって座っていた。正直、俺にハーレム属性は要らない。それに何故か頭に乗っているロップの機嫌が悪くピリピリしていて、俺の頭から先頭を走っている馬の頭に飛び移って乗っている。

グレムは横になったまま動けなかったから、グレムの仲間達に頼んで馬車まで運んで貰った。
先頭を走っている馬の頭に乗っているロップは途中途中、魔物が現れる度に飛んで耳ビンタで地面に叩きつけて殺していた所をみるとなんだか知らないが相当怒っている様子だ。

王都を出てからは道なりに曲がりくねった道を進んでいたが、三方向に分かれた所に行き当たった。

流石にその頃にはグレムの腹は元に戻っていて、グレムを俺が御者している席に移動させ道の指示を仰いで進んだ。

グレムの体調が良くなった今ならと馬車を止めて近くの森に入って、グレムを鍛えようかとも思ったが今日はロップがピリピリとしていて、とてもじゃないがグレムを訓練させられる雰囲気じゃない。今日はグレムのレベル上げは無理だと判断して御者に勤めて一日中御者をしていて尻が痛くなってしまった。

姐さん達と旅をしていた時は交代で御者をしていたから、まだ尻が痛くなるという事がほぼなかった。まだ一日目だが、これがニ日三日と数日続けば、近いうちに痔になりそうだ。

ロップの原因不明の怒りは夜、前夜みたいにドームを作り、夜の寝るまでの支度している時がピークを迎えた。
それは、元奴隷の女性達が食事の支度している時、食事中に寝る時まで俺にべったりだったからだ。

俺が地面で横になった時、女性達も俺に寄り添って添い寝をした事で、ロップが女性達を耳ビンタで叩きのめして最後に俺の頰も耳ビンタでドーム内の内壁まで弾き飛ばした。

それにより、ロップは我に帰ったのか俺の肩に飛び乗り、俺の叩かれて赤くなった頰を短い舌でペロペロと舐め出した。

【主様大丈夫?ごめんなさい。あのメス達が主様にくっ付いてばかりいたから、何か分からないけどモヤモヤしてつい叩いちゃった】

「あー、ロップはヤキモチ焼いていたんだな」
【ヤキモチ?】
「いや、分からないなら良いよ。あの女性達は今だけだけど、それでも我慢できない?」
【今だけ?どれくらい?明日?】

「いや明日までとかじゃないと思うけど、大和までの道案内が終わればグレム達とも女性達ともサヨナラだよ」

【むー、分かんない。分かんない】

「とりあえず今だけだからロップも頑張って大人しくしてくれ。これは命令とかじゃなくお願いだからね」

【分かった。頑張る】


ロップが分かってくれたみたいで良かった。

「アッシュはロップみたいに俺が女性達と接触した事でモヤモヤするとかあるか?」


アッシュはどうなんだろうか?そう思ってアッシュに一応聞いてみた。

【んー、別に無いよ。主様が嫌がってないみたいだったから。嫌がってたらボクがあの人間を食べちゃうから】

「いや、俺がいいって言うまで食うなって。それに基本、人間は食うな。魔物くらいにしておけ」

【はーい、分かったー】


ロップもアッシュも分かってもらえて良かった。
ロップは肩に乗っていたが、俺の定位置である頭に移動して寝息を立てて眠った。

俺はロップが女性達を叩きのめした事で、女性達の身体に深刻なダメージがないかをマリエさんを呼んで確認してもらい、簡単な傷くらいなら想像魔法で癒そうと思い、女性に手をかざすとマリエさんは自分に任せて下さいと俺を押しのけた。

真理子さんの自伝の通りならマリエさんには聖女の称号があるはずだし、ここは同じ女性って事もあってマリエさんに任せようと思って、女性達から離れた所でロップを地面に下ろして俺も眠りに着いた。

翌日目を覚ますと、俺以外の人は全員起きてて昨夜の残りの食材で何かを作って既に食べ終えて、男共は少ない水瓶の水を使って自分の着ている衣服を素っ裸で洗っていた。

「お、おっさん起きたな。マリエが寝かせておけってうるさいんだよな。水が足らねぇよ。今日中に川か泉がある所に行こうぜ」

「じゃあ何で、そんな少ない水で服を洗おうとしたんだ?」

「だってよ。マリエが俺等を臭いって言うんだもんよ。だからメシを食って誰も水を使わないのを確認してから洗い出したぜ」

「多分だけど、服より中身の身体が臭いって言ったんじゃ無いのかな?お前達の服は俺が着ている服より綺麗だったし匂いも、さほど服は匂わなかったよ」

「なーんだよ。じゃあ服を洗ったの意味ねぇじゃねぇかよ」


グレム達はぶつぶつと言いながら中途半端に濡らした服を着ていた。
確かに俺も姐さん達と別れて風呂どころか水浴びもしてない。もしかしたら、マリエさんはグレムに臭いの事を言って遠回しに俺に言ったのではないだろうか?

今晩でも久々に風呂を作って皆んなに披露して入らせてやろうと思った。

グレム達はビチャビチャの服を着て直ぐに馬車に乗り込もうとしていたから、ストップをかけて想像魔法でグレム達の服が乾くように温風をかけて乾かして乗せた。

温風をかける時、グレム達は凄く気持ち良さそうに目を細めていたのを見ると、元の世界で飼っていた犬を洗った後にドライヤーで乾かしていたのを思い出した。

俺が居なくて元の世界の家に置いてきたペットはどうなったんだろう。この世界と刻々と過ぎて行く日々の日付は違うだろうし、よくある召喚された者が最初から元の世界では存在してなかったパターンとかか?

今となっては検証もしようがないし、あれこれ考えたり思い出す事は極力避けよう。

俺も馬車に乗り込もうと思って地面を見ると、ロップがまだ眠っていたため、抱き上げると目を覚まして腕を伝って頭に移動した。

御者席に座って「さあ今日も一日頑張ろうかね」
っと独り言を言い馬車を発進させた。
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