底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂

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第4章

第61話

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第61話

「あ、ジーラント兄ちゃん!」
「ジーラント兄様!」
「ガーダンとジーラントがどうしてここに…」

 門から漆黒の鎧を着込んだ男達が出てきた瞬間、シーバス兄妹は知り合いなのか、口々に名前を口にした。

「シーバス、もしかしてだけど」

「あぁ、先頭にいるのがガガモの兄貴のガーダンとガーダンのすぐ後ろにいる軽装の鎧着ているのが俺たちの弟のジーラントだ。
でもアイツらは今、別の依頼を受けて遠くの場所にいるはずなのに何故こんな関所に」

「ゴラァァァー!クソ門番!何処に凶悪なゴブオークの魔物がいるんだー!ゴブオークが仲間を呼んでいるってどこにも見当たらないじゃねぇか!」

 先頭の漆黒の鎧のガガモの兄貴であろうガーダンという名の男が魔物が見当たらない事で、関所の門番の方に向かって大声を上げた。

「お!シーバスじゃねぇか。こんな所でどうしたんだ?身の丈に合わないは依頼は達成したか?」

「ガーダンさん白々しいですよ。弟のガガモさんが心配でこっそりこんな関所の町まで付いてきたんじゃないですか。それで町の宿で待機していると関所のすぐ外で凶悪なゴブオークが現れたって見張りの門番が言って直ぐ鎧着て準備して出て来たんじゃないですか」

「む、ジーラント、それを今言うか。
内緒だって宿で話し合ったろ」

「そんなの直ぐバレますって。私の尊敬する兄を甘く見ないで下さい。特にアマとシーバスはそう簡単にいきませんよ」

「むー、ジーラント兄様。それだと私は簡単に騙せるように聞こえます」

「ふふ、そうだね。アミは簡単に騙せるね。
で、肝心の魔物ですけど、ガーダンさん、多分兄と一緒にいる全裸のおじさんを門番がオークと勘違いしたんじゃないですか?ゴブオークだと言ったのは目の錯覚でしょう」

「ジーラント、目の錯覚じゃないんだ。
実は今回の依頼で、この人に助けて貰ってここまで戻って来られたけど、この人何故かさっきまで全身に薬草を塗りたくっていたんだ。だからゴブオークに間違われたんだよ。それに加えてこの人はとんでもない強さを持っている。恐らくだがファミリーのSでもあるガーダンのパーティ全員で戦っても勝てないだろう」

「お、そこのおっさんはそんなに強いのかよシーバス」
「ああ、とんでもないぞ。殺気だけでしばらく俺だけじゃなく、この場にいる殆どの冒険者が気絶していたんだからな」

「そんなにか!じゃあ、一丁手合わせしてもらおうかねっと!」

 ガーダンに自己紹介をする前に大斧を俺の頭上から振り落として来ていたが、シーバスの弟のジーラントが槍の持ち手でガーダンの頭をバコーンっと叩き、ガーダンは頭を押さえて踞った。

「ゴラァ、ジーラント何しやがる!
痛てぇじゃねぇか!」

「ガーダンさん、落ち着いて下さい。
兄だけじゃなく、弟であるガガモさんの命の恩人でもあるんですよ?そんな人に自己紹介もせずに大斧を振り落とすとか正気ですか?」

「で、でもよぉ「いいえ!聞きません!ウチのリーダーがどうも済みませんでした。
その格好ですと、私の妹たちと周りの女性冒険者の目に入ってしまいますから、お詫びにフード付きローブを差し上げます。それと私は『ファミリーS』というパーティに属するジーラントと申します。それで頭を押さえて踞っているのが我らのリーダーのガーダンです」

 シーバスの弟であるジーラントは常識人みたいで自ら名乗ってローブを後方にいる仲間から受け取って目の前にいる俺に両手で渡して来た。

「あ、くれるって言うならありがたく貰うけど、一応パンツ一枚は履いてるよ。で、俺の名はミーツ。見た通りBランクの冒険者だよ。
服も一応、格好良いの持ってんだよね」

 ジーラントからローブを受け取るとI.Bに仕舞い込んで、替わりに呪われた服を取り出して着込んだ。呪われた服を取り出した瞬間、シーバスとジーラントを含めたこの場にいる全員が「うわぁ」っと一瞬引くような、悲鳴のような声が聞こえた。

「この服ってさ呪われてんだよね。
折角格好良いのに勿体ないよね」

「あー、えーと、服の好みは人それぞれって言いますし、良いと思いますよ。ち、因みにですね?
呪いってどんな呪いなんですか?」

「ん?運がマイナス一になるんだよ。まぁ、元々俺の運がマイナス二十くらいあったから今更なんだけどねぇ。それに服もそこそこボロくなっているから、これ以上着られなくなるのが嫌なんだよね」

「ミーツさん、ミーツさんが服を着なかったのは持って無かったからじゃないんだな。
しかも、そんな絶望的な服だなんて、ここからは俺から少し離れて歩いてくれよ」

「え?シーバス、何で?絶望って何でだよ。
すっごく格好良いだろぅ」

「そうですよ兄さん、人の服装の事をとやかく言ってはダメですよ。失礼です。いくら本当に絶望的な服であってもです」

 初対面で会ったばかりのジーラントまで服の事を悪く言われ、少しムッとしたが、きっと偶々シーバス達と服の好みが合わなかっただけだろう。

「私の尊敬する兄の命の恩人でもありますし、こんな所で立ち話するものでもないですよ。そろそろ関所を通過して町に戻りましょうか、ミーツさんはここを通るのは初めてですか?」

「うん、初めてだよ。てかクリスタル国からここまでずっと初めての土地だよ。最初の国でも知らない所は多いけどね」

「ミー……いや、今は止めて置きましょう。こんな所で話す事ではないですし、ミーツさんとはギルドにある特別室でちょっと話したいですね」

「ちょっと、兄ちゃん!何おじさんと話そうとしているの!」
「ジーラント兄様、私達もご一緒しても良いですか?」

「んー、ごめんけどダメ。私とミーツさんの二人っきりで話すよ。勿論兄さんとガーダンさんも遠慮して貰えるかな」

「む、俺達もダメなのか。
ファミリーなのにな」

 ジーラントは自分の兄妹達にすら話せない事を何を話すのだろうと、少しドキドキしていたが、ジーラントは他の人達に聞こえない声量で俺の耳元でボソリと呟いた。

「ミツルさん、お久しぶりです。シゲルです」

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