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第5章
第15話
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第15話
「うわあぁぁん、ミ~ヅざ~ん、死ぬかと思いましたよ~」
下に降り立ってすぐに光の玉を数個、浮かせる想像魔法を使うと、手を振っていた士郎は鼻水と涙を流していて、手を広げて抱きつこうとしてきたところで、頭にいるロップが汚いと耳ビンタで地面に叩き付けた。
「ふふふ、士郎さん鼻水だらけで顔がグシャグシャだね。でも、あれじゃあ無理もないよね。
ほらほら、士郎さん立って!」
「あれは死んだと思っちゃいましたもんね。士郎さん、あとでミーツさんにシロヤマ姉様を叱ってもらいましょう!」
アマとアミは地面に叩き付けられて、酷いと言いながらうつ伏せになっている士郎を励まして、二人で立たせた。
「叱るのはちょっと勘弁してやってくれないか?彼女のお陰で無事に助かったのも事実だし、こんな道だとは思わなかったけど、危険で最短ルートを選んだ俺が叱るのはちょっと違うかな」
俺はそう言うと、彼女らは黙ってしまったものの、それならおじさんが一番悪いじゃん!ってアマが言い出したことにより、俺が責められることになってしまったが、ここは甘んじて受けようと、話を聴いていたら、馬車が到達したシロヤマが、何で俺が責められているか首を傾げて聞いてきた。
そこで、俺に向いていた矛先がシロヤマに移ったが、彼女も「なんでボクが責められなきゃならないの!」と責めてきたアマをくすぐりだしたことにより、アマもすぐさま、ごめんなさいと謝ったことにより、士郎もアミもこの話については終わりにしようってことで終了した。
冷静になって辺りを見渡したら、気になることがあって、所々に魔物の骨が積み重なっていた。
彼女はここが安全だと言っていたが、回りを見渡す限り、とても安全だとは思えない。
「シロヤマ、ここは本当に安全なんだろうか?
明かりを出して辺りを見たら、所々になにやら人らしき白骨と、無造作に積まれたバラバラの魔物の骨があるんだけど」
「もちろん!ここにいるのは心優しい鬼人しかいないからさ。ミーツくんはあの高さから落ちた魔物がどうなるかなんて、説明しなくてもわかるよね?」
「それはもちろん分かるけど、それより鬼人って魔物なのかい?」
「ちょっ、ミーツくん、鬼人に魔物なんて言ったらダメだよ!人に向かってゴブリンって呼ぶくらい失礼なことなんだからね!ここはね、鬼人が大人になるための神聖な試練の場所なんだよ。って彼らが来てくれたよ。
皆んなも絶対に敵対しないようにしてよね。鬼人は子供でも強いんだからね」
彼女にこの場所についての質問をすると、鬼人という種族という名が気になって、今度は鬼人について質問していたら、遠くから松明くらいの明かりが揺らめいているのが見えた。
「あ、もう説明するより、会ってみた方が早いよ。ボクの友人の子供たちだから安心してよね」
彼女はそう言うと、馬車に先程、俺たちに当てた魔法を使って紫色に光ったのを確認したら、遠くの見える松明の明かりが消えた。
「やっぱりシマークス姉さんだったか」
「ヤスドルじゃん。久しぶりぃ。みんな!この子はボクの友人の子供のヤスドルだよ。ちょっと見ないうちに大きくなったねえ」
明かりとは反対側の暗闇から声が聞こえ、振り返ると額の真ん中に5センチほど細い角が生えた男が立っており、シロヤマに向かって声を掛けた。
彼女の友人の子供のようで、久しぶりだと言いながら彼に抱きついた。
彼の見た目は額の角の他、特に人と違いがなさそうであるが、彼以外にも暗闇から次々と彼の見た目と同じような鬼人が現れて、シロヤマの方に向かって頭を撫でたりして怒られている。
鬼人の角は個性があるようで、頭の上から生えてる者や、後頭部から生えている者もいて、角も歪な形だったり、まだら模様の色が付いていたりと、色んな色が混ざっている者が多いが、基本的に髪の色と同じ色の角の者が多いようだ。
「ミーツくん!初めて鬼人を見るのは分かるけど、あまりジロジロ見ないの!他人からジロジロ見られるのはミーツくんも嫌でしょ?」
彼女に言われてハッとして、シーバス兄妹と士郎を見ると、俯いて見ないようにしていた。
「すまなかった。初めて鬼人という種族を見るもんだから、珍しくて見つめてしまった。俺はこのパーティのリーダーのミーツっていうんだ」
俺は一言謝ったあと、手を差し出して握手を求めると、鬼人たちはお互い顔を見合って、お前が手を取れよと言い合って、誰も握手をしたがらないことで、仕方なく差し出した手を引っ込めた。
「あ~、ミーツくんごめんねえ。この子たちミーツくんの凄まじく多くて強い魔力に怯えちゃってんだよね。大人の鬼人でも怖くて逃げ出しちゃうくらい、キミの魔力は凄いからねえ。あっ、もちろん魔力がどのくらいあるかは分からないよ?でも身体から溢れ出る魔力が凄いんだよ。あとね、握手は鬼人族からしたら別の意味もあるけど、今は別に説明しなくてもいいよね」
「へ?俺の身体からそんなに魔力が溢れるくらい出てるのかい?」
「うん、正直凄いよ。ヤマトでもトップクラスで、多分五本の指に入るくらいだよ。魔力が見える人にとっては恐ろしいと思うよ。ただ、前にも言ったけど、ミーツくんのステータスは、見えてる魔力と一致してないから、偽装してるって簡単にバレるんだよね。だから、早めに偽装を更新するか、ステータスそのものを隠すか、魔力自体を制御して隠すしかないと思うんだよ。ま、とりあえずは、コレ貸してあげるから被ってなよ」
彼女はそう言いながら、腰に付けたマジックバックから猫耳のカチューシャを取り出して手渡してきた。
流石にこれは恥ずかしいと思って、戸惑っていたら、アマとアミに抱きつかれて座らされ、カチューシャを頭に付けられて似合ってるとキャッキャッとはしゃぎ、ついでに化粧もしたいと言われるも、冗談じゃないと思って彼女らを振り解いて断った。
この時、俺の頭に常時いるロップは彼女らに慣れているようで、アミに抱きかかえられた。
士郎とシーバスの二人は、俺の猫耳カチューシャ姿に揃って口に手を当てて笑いを堪えているところで、シーバスにはデコピン、士郎にはゆっくり10秒間くすぐりをお見舞いした。
「ミーツさん!俺の妹たちは良くて、なんで俺たちはこんな罰を受けなきゃいけないんだ!」
「そうだそうだ!シーバスさんの言う通りだ!
ミーツさんはパーティリーダーなんですから、皆んな平等にしなきゃですよ!」
彼らの訴えも、もっともだと思って彼女らの方を向いたら、シロヤマとヤスドルの後ろに回り込んで逃げたことで、罰を与えるのを止めたら、またも彼らは文句を言ってきたことで、片手づつ手をワキワキとくすぐるポーズとデコピンのポーズをしたら、彼らは揃って俯いて黙った。
「憎たらしい女の子なら罰を執行するけど、彼女らには、そこまで腹が立ってないから今回は何もしないことにする」
俺がそう言うと、彼らはまたも口を開きそうになったものの、仕方ないと言いながら俺に反抗するのを止めたようだ。
「じゃあ皆んな、付いておいでよ。ヤスドルたちが休んでいるところに行くからさ」
シロヤマはそう言ってヤスドルと並んで先を歩いて行くと、残りの鬼人たちもゾロゾロと彼女らの後ろを付いて行く形で先を行った。
残った俺たちも慌てて彼らに付いて行き、しばらく付いて行ったら、絶壁の壁にいくつもの穴が空いているところに辿り着き、案内してくれた鬼人たちはそれぞれ自身の住処であろう穴に入っていったものの、別の穴からヤスドルたちと変わらないくらいの鬼人たちが顔を出して、俺たちをジロジロと見ていてなんとも居心地の悪い状況だ。
「皆んな!そんなところに居ないでこっちにおいでよ」
シロヤマが一つの穴に入って手招きしたことで、俺たちは彼女がいる穴に入ると、意外と天井は高いものの、決して広くはなく、カプセルホテルの一回りか二回りくらい広くした感じだと思った。
そこに俺たちが入ってきたことで中々の密度になったが、ヤスドルと仲間の男性の鬼人たちは俺からなるべく離れて座り直して、シロヤマが彼らが差し出した茶碗ほどの器の飲み物を回し飲みし出した。
「プファ~、やっぱり鬼人族のお酒は強いね~。
ほらほら、シーバスにミーツくんもそんな所で見てないで、こっちにおいでよ」
「いや、しかしだなシロヤマ、こんな所に全員は休めれないだろ。酒は確かに興味はあるが、主戦力の俺やミーツさんが酔っ払ったら、何かあったときに動けなくなるんじゃないか?」
シーバスの言うことはもっともだと思って、俺は黙って頷いたものの、彼女はシーバスの主戦力という言葉でケラケラと笑い、酒をグイッと口に含んでシーバスに跳び抱きついて口移しで酒を飲ませた。
「ブハッ!何しやがる!こんな人前でキスなんかするんじゃねえ!」
彼は彼女に怒鳴ったあと、足がフラフラとしてその場で倒れて気を失った。
「やっぱ、慣れてない人が飲んだらこうなっちゃうよねえ。はい、次はミーツくんの番だよ」
「いや、俺はやめておくよ。さっきシーバスが言った通り、何かあったとき困るしさ」
「そんなこと言って、本当はシーバスみたいに口移しして欲しいんじゃないのお?」
「ダメですシロヤマ姉様!ミーツさんが酔っ払ったらここにいる鬼人さんたち皆んな怪我しちゃうかもしれませんし、シロヤマ姉様は兄様の彼女ですから、他の人にキスしちゃダメです!ましてやミーツさんは特に絶対にダメです!」
「だよねえ。おじさんは確かに、酔わせたら後が怖いもんねえ。ここで酔っ払ったらどうなるか見てみたい気持ちがあるけど、あたしは知らないよ?」
アマとアミは飲ませるなと庇ってくれたものの、彼女らは単に俺が酔っ払って記憶がなくなったあのとき暴れた印象が強いらしく、飲ませるなの一点張りだ。
俺も鬼人族の酒には興味はあるものの、こんなところで飲むのは流石に遠慮したいため、穴倉から出ようとしたら、シロヤマはそれなら士郎に飲ませるとかで、彼を押さえつけて無理矢理飲ませた。だが士郎はすぐに吐き出してしまい、穴倉の中でちょっとした騒ぎになり、他の穴倉から出てきた鬼人たちが心配して飲んだ酒以上に吐いている彼の背中を摩ったりしている姿に、見た目こそ人間と多少違うものの、意外と普通の心優しい青年たちなんだなっと思った。
「うわあぁぁん、ミ~ヅざ~ん、死ぬかと思いましたよ~」
下に降り立ってすぐに光の玉を数個、浮かせる想像魔法を使うと、手を振っていた士郎は鼻水と涙を流していて、手を広げて抱きつこうとしてきたところで、頭にいるロップが汚いと耳ビンタで地面に叩き付けた。
「ふふふ、士郎さん鼻水だらけで顔がグシャグシャだね。でも、あれじゃあ無理もないよね。
ほらほら、士郎さん立って!」
「あれは死んだと思っちゃいましたもんね。士郎さん、あとでミーツさんにシロヤマ姉様を叱ってもらいましょう!」
アマとアミは地面に叩き付けられて、酷いと言いながらうつ伏せになっている士郎を励まして、二人で立たせた。
「叱るのはちょっと勘弁してやってくれないか?彼女のお陰で無事に助かったのも事実だし、こんな道だとは思わなかったけど、危険で最短ルートを選んだ俺が叱るのはちょっと違うかな」
俺はそう言うと、彼女らは黙ってしまったものの、それならおじさんが一番悪いじゃん!ってアマが言い出したことにより、俺が責められることになってしまったが、ここは甘んじて受けようと、話を聴いていたら、馬車が到達したシロヤマが、何で俺が責められているか首を傾げて聞いてきた。
そこで、俺に向いていた矛先がシロヤマに移ったが、彼女も「なんでボクが責められなきゃならないの!」と責めてきたアマをくすぐりだしたことにより、アマもすぐさま、ごめんなさいと謝ったことにより、士郎もアミもこの話については終わりにしようってことで終了した。
冷静になって辺りを見渡したら、気になることがあって、所々に魔物の骨が積み重なっていた。
彼女はここが安全だと言っていたが、回りを見渡す限り、とても安全だとは思えない。
「シロヤマ、ここは本当に安全なんだろうか?
明かりを出して辺りを見たら、所々になにやら人らしき白骨と、無造作に積まれたバラバラの魔物の骨があるんだけど」
「もちろん!ここにいるのは心優しい鬼人しかいないからさ。ミーツくんはあの高さから落ちた魔物がどうなるかなんて、説明しなくてもわかるよね?」
「それはもちろん分かるけど、それより鬼人って魔物なのかい?」
「ちょっ、ミーツくん、鬼人に魔物なんて言ったらダメだよ!人に向かってゴブリンって呼ぶくらい失礼なことなんだからね!ここはね、鬼人が大人になるための神聖な試練の場所なんだよ。って彼らが来てくれたよ。
皆んなも絶対に敵対しないようにしてよね。鬼人は子供でも強いんだからね」
彼女にこの場所についての質問をすると、鬼人という種族という名が気になって、今度は鬼人について質問していたら、遠くから松明くらいの明かりが揺らめいているのが見えた。
「あ、もう説明するより、会ってみた方が早いよ。ボクの友人の子供たちだから安心してよね」
彼女はそう言うと、馬車に先程、俺たちに当てた魔法を使って紫色に光ったのを確認したら、遠くの見える松明の明かりが消えた。
「やっぱりシマークス姉さんだったか」
「ヤスドルじゃん。久しぶりぃ。みんな!この子はボクの友人の子供のヤスドルだよ。ちょっと見ないうちに大きくなったねえ」
明かりとは反対側の暗闇から声が聞こえ、振り返ると額の真ん中に5センチほど細い角が生えた男が立っており、シロヤマに向かって声を掛けた。
彼女の友人の子供のようで、久しぶりだと言いながら彼に抱きついた。
彼の見た目は額の角の他、特に人と違いがなさそうであるが、彼以外にも暗闇から次々と彼の見た目と同じような鬼人が現れて、シロヤマの方に向かって頭を撫でたりして怒られている。
鬼人の角は個性があるようで、頭の上から生えてる者や、後頭部から生えている者もいて、角も歪な形だったり、まだら模様の色が付いていたりと、色んな色が混ざっている者が多いが、基本的に髪の色と同じ色の角の者が多いようだ。
「ミーツくん!初めて鬼人を見るのは分かるけど、あまりジロジロ見ないの!他人からジロジロ見られるのはミーツくんも嫌でしょ?」
彼女に言われてハッとして、シーバス兄妹と士郎を見ると、俯いて見ないようにしていた。
「すまなかった。初めて鬼人という種族を見るもんだから、珍しくて見つめてしまった。俺はこのパーティのリーダーのミーツっていうんだ」
俺は一言謝ったあと、手を差し出して握手を求めると、鬼人たちはお互い顔を見合って、お前が手を取れよと言い合って、誰も握手をしたがらないことで、仕方なく差し出した手を引っ込めた。
「あ~、ミーツくんごめんねえ。この子たちミーツくんの凄まじく多くて強い魔力に怯えちゃってんだよね。大人の鬼人でも怖くて逃げ出しちゃうくらい、キミの魔力は凄いからねえ。あっ、もちろん魔力がどのくらいあるかは分からないよ?でも身体から溢れ出る魔力が凄いんだよ。あとね、握手は鬼人族からしたら別の意味もあるけど、今は別に説明しなくてもいいよね」
「へ?俺の身体からそんなに魔力が溢れるくらい出てるのかい?」
「うん、正直凄いよ。ヤマトでもトップクラスで、多分五本の指に入るくらいだよ。魔力が見える人にとっては恐ろしいと思うよ。ただ、前にも言ったけど、ミーツくんのステータスは、見えてる魔力と一致してないから、偽装してるって簡単にバレるんだよね。だから、早めに偽装を更新するか、ステータスそのものを隠すか、魔力自体を制御して隠すしかないと思うんだよ。ま、とりあえずは、コレ貸してあげるから被ってなよ」
彼女はそう言いながら、腰に付けたマジックバックから猫耳のカチューシャを取り出して手渡してきた。
流石にこれは恥ずかしいと思って、戸惑っていたら、アマとアミに抱きつかれて座らされ、カチューシャを頭に付けられて似合ってるとキャッキャッとはしゃぎ、ついでに化粧もしたいと言われるも、冗談じゃないと思って彼女らを振り解いて断った。
この時、俺の頭に常時いるロップは彼女らに慣れているようで、アミに抱きかかえられた。
士郎とシーバスの二人は、俺の猫耳カチューシャ姿に揃って口に手を当てて笑いを堪えているところで、シーバスにはデコピン、士郎にはゆっくり10秒間くすぐりをお見舞いした。
「ミーツさん!俺の妹たちは良くて、なんで俺たちはこんな罰を受けなきゃいけないんだ!」
「そうだそうだ!シーバスさんの言う通りだ!
ミーツさんはパーティリーダーなんですから、皆んな平等にしなきゃですよ!」
彼らの訴えも、もっともだと思って彼女らの方を向いたら、シロヤマとヤスドルの後ろに回り込んで逃げたことで、罰を与えるのを止めたら、またも彼らは文句を言ってきたことで、片手づつ手をワキワキとくすぐるポーズとデコピンのポーズをしたら、彼らは揃って俯いて黙った。
「憎たらしい女の子なら罰を執行するけど、彼女らには、そこまで腹が立ってないから今回は何もしないことにする」
俺がそう言うと、彼らはまたも口を開きそうになったものの、仕方ないと言いながら俺に反抗するのを止めたようだ。
「じゃあ皆んな、付いておいでよ。ヤスドルたちが休んでいるところに行くからさ」
シロヤマはそう言ってヤスドルと並んで先を歩いて行くと、残りの鬼人たちもゾロゾロと彼女らの後ろを付いて行く形で先を行った。
残った俺たちも慌てて彼らに付いて行き、しばらく付いて行ったら、絶壁の壁にいくつもの穴が空いているところに辿り着き、案内してくれた鬼人たちはそれぞれ自身の住処であろう穴に入っていったものの、別の穴からヤスドルたちと変わらないくらいの鬼人たちが顔を出して、俺たちをジロジロと見ていてなんとも居心地の悪い状況だ。
「皆んな!そんなところに居ないでこっちにおいでよ」
シロヤマが一つの穴に入って手招きしたことで、俺たちは彼女がいる穴に入ると、意外と天井は高いものの、決して広くはなく、カプセルホテルの一回りか二回りくらい広くした感じだと思った。
そこに俺たちが入ってきたことで中々の密度になったが、ヤスドルと仲間の男性の鬼人たちは俺からなるべく離れて座り直して、シロヤマが彼らが差し出した茶碗ほどの器の飲み物を回し飲みし出した。
「プファ~、やっぱり鬼人族のお酒は強いね~。
ほらほら、シーバスにミーツくんもそんな所で見てないで、こっちにおいでよ」
「いや、しかしだなシロヤマ、こんな所に全員は休めれないだろ。酒は確かに興味はあるが、主戦力の俺やミーツさんが酔っ払ったら、何かあったときに動けなくなるんじゃないか?」
シーバスの言うことはもっともだと思って、俺は黙って頷いたものの、彼女はシーバスの主戦力という言葉でケラケラと笑い、酒をグイッと口に含んでシーバスに跳び抱きついて口移しで酒を飲ませた。
「ブハッ!何しやがる!こんな人前でキスなんかするんじゃねえ!」
彼は彼女に怒鳴ったあと、足がフラフラとしてその場で倒れて気を失った。
「やっぱ、慣れてない人が飲んだらこうなっちゃうよねえ。はい、次はミーツくんの番だよ」
「いや、俺はやめておくよ。さっきシーバスが言った通り、何かあったとき困るしさ」
「そんなこと言って、本当はシーバスみたいに口移しして欲しいんじゃないのお?」
「ダメですシロヤマ姉様!ミーツさんが酔っ払ったらここにいる鬼人さんたち皆んな怪我しちゃうかもしれませんし、シロヤマ姉様は兄様の彼女ですから、他の人にキスしちゃダメです!ましてやミーツさんは特に絶対にダメです!」
「だよねえ。おじさんは確かに、酔わせたら後が怖いもんねえ。ここで酔っ払ったらどうなるか見てみたい気持ちがあるけど、あたしは知らないよ?」
アマとアミは飲ませるなと庇ってくれたものの、彼女らは単に俺が酔っ払って記憶がなくなったあのとき暴れた印象が強いらしく、飲ませるなの一点張りだ。
俺も鬼人族の酒には興味はあるものの、こんなところで飲むのは流石に遠慮したいため、穴倉から出ようとしたら、シロヤマはそれなら士郎に飲ませるとかで、彼を押さえつけて無理矢理飲ませた。だが士郎はすぐに吐き出してしまい、穴倉の中でちょっとした騒ぎになり、他の穴倉から出てきた鬼人たちが心配して飲んだ酒以上に吐いている彼の背中を摩ったりしている姿に、見た目こそ人間と多少違うものの、意外と普通の心優しい青年たちなんだなっと思った。
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