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第6章
第14話
しおりを挟む「お・じ・さ・ん、起きて、朝だよ」
「もうなんでアマが先に起こしちゃうの!
私が起こすって約束したじゃない!」
「えー、だってアミはおじさんの顔を見つめるだけで起こさないじゃない」
もう朝になったのか、アマとアミの声が聞こえて目を開けると、ベッドの両脇で二人が俺の両腕を枕に寝そべって見上げて見つめていた。
「えーと、これってなに?なんで二人が俺の両脇で寝ているのかな」
「本当は寝起きドッキリを仕掛けようとしてたのに、アミがもう少し待ってって言ったきり、おじさんに抱き着いて匂い嗅いでいたからあたしが起こしたの。そうしたらアミが怒っちゃったってのが今の状況だよ。それで?おじさんはこの二年の間、何処で何してたの?」
「それは私も知りたいです!それも私が聞くはずの質問じゃない!何でまたアマが取っちゃうの!」
起きたばかりの耳元で聞く女の子の甲高い声は頭が痛く、とりあえずのところ、皆んなも知りたいだろうと思って部屋の扉の前で待機している気配がある仲間たちの前に瞬間転移で驚かせた。
「わあ、ミーツちゃん驚かせないでちょうだいよ!ミーツちゃんを驚かしてから部屋の中には入ろうと思って部屋の外で待機してたのに、逆に驚かせられちゃったわ。ミーツちゃんを皇宮で見た時、一瞬ミーツちゃんだと分からなくなるほど強くなっちゃってたわね。 あたしじゃ全く敵わないわ。ねえ、シオンちゃん」
「そうだな。俺もミーツを近くで見て本当にあのミーツなのかと疑ったくらいだ。
だが、お前も本気でミーツと戦えば、結果は分からないと思うぞ」
「俺、またミーツ、さんに、会えて良かった。また、あの魔力カレー食える」
「俺はてっきりあの時の罠で死んだと思ってたけどよ、ダンクさんたちと合流後にミーツさんが生きてるっていうから半信半疑だったけど、ミーツさんが生きているのを見て驚いたぜ。
しかも、俺でも分かるくらい、とんでもない強さを身に付けてよお」
それぞれが考えていることがあるようで、改めての俺との再会にみな喜んでいるようだ。
それからは、再度俺が休んだ部屋で姐さんたちと別れてから先の経緯を詳しく話した。
「ミーツちゃんは、中々苦しいようで楽しい冒険してきたのね。シオンちゃんでもゴブオーガとゴブオークの大群は苦戦しそうよね」
「そうだな。俺の実力はシーバスより、少し強い程度だからな。剣の技量だけならシーバスより俺の方がまだあるが、レベルだけみたら俺を越えてるからな」
「ミーツさん、その魔導人形のゼロってのはまだ調整中なのか?正式な名前は考えているのか?」
話し終えたころ姐さんとシオンが口を開き話している中、シーバスがゼロの話題を口に出した。
「もちろん、彼については考えているよ。最初こそは厳つい男の顔面でディープキスしてきたものだからホモ太郎とか、ハードゲイとか、髭もじゃ人形とか考えたけど、彼が色んな顔に変形できることから『フェイス』と名付ける予定だよ」
俺がそう言うと、何故かヤスドルを除いた全員がホッとした顔をして、シーバスはミーツさんを信じてたぜとか、シオンと姐さんのミーツちゃんのことだから今上げた仮の名前で決めるかと思ったとか、アマもよかったねえとフェイスと言うまで息を止めていたかのように息を吐き出している。
アミに関しては、俺のダンジョンでの冒険話をしている時でも抱き着いたままでいたため、突き放つのも面倒だったからそのままで話していた。
彼女はヤスドルのことを好きなのに、俺にばかりこういう行動を取って大丈夫なのかと思ったものの、俺の居なかった二年間で恋心が変化したのか、それともヤスドルの嫉妬心を誘っているのか、彼女的に考えがあるのだろうと思ってしたいようにさせている。
「あ、そろそろ宿を出なきゃ行けない時間だわ。
レイン様なら何泊でもして良いと言ってくれると思うけど、こんな所にずっと泊まってたら普段、今更あたしたちが拠点としてる安宿に戻りたいと思わなくなっちゃうわね。ミーツちゃんの判断に任せるけど、どうする?」
突然、思い出したようにそう話し出す姐さん。 俺の服の中に手を入れだすアミを、流石にやり過ぎだと軽く頭をチョップして立ち上がった。本当はもう一泊したい気持ちもあるが、このベッドに慣れてしまったら、姐さんの言う通り、安い宿のベッドで寝れないと思って、高級宿を出ようかと言いパーティ皆んなで宿の豪華な朝食を食べたあとに出たら、粗品ですがと一人づつ小さな箱を貰った。
少し歩いて宿から離れた所で貰った粗品を開けてみたら、俺以外は皆、フカフカのタオルやよく切れるハサミなどの小物を貰ったようで、俺も同じような物だろうと期待しないで開けたら、俺のは青に近い水色の額当てだった。
ガラじゃないと思いながらも、粗品とはいえ折角貰った物だからと装着してみたら、ベルの音が聞こえ出して、どうすればいいか分からずに額当てを触ったら突然レインの声が聞こえ出した。
「…ーツさん、ミーツさん聞こえますか?私ですレインです」
「うん。聞こえるよ。え?これって通話機能がある額当てなの?」
「そうですよ。本当は腕輪にしたかったのですが、私から腕輪は渡したくないと思って、私の髪色の額当てにしました。
それはミーツさんが元の世界からお持ちの通信機と同じような機能を備え付けてありますから、念じるだけで目の前に様々な項目が現れます。ちょっとした贈り物なので貰って下さい。
それではまた何かあればご連絡致します。
ついでにお持ちであろう通信機と同期できる仕様となっていようにしてます」
彼はそれだけ言ったら通話を切った。
額当て型の通信機は、頭で考えるだけで操作はできるが、宙に浮かんだ画面を指で扱っても操作できるようで、触る感触がない画面をスライドさせたら、アプリは通話とカメラのアイコンしかなく、ちょっとガッカリしたものの、通話の電話帳は皇族の名前が連なって登録されていた。
俺から通話することはないだろうが、この登録された面々から通知が来たら、どのような状況でも出なければならないのではないかという不安があるものの、粗品で貰った箱に薄っぺらい説明紙が入っていたことで、その説明紙を読んでみたら、マナーモードも備え付けられているようで、元の世界からの携帯電話を持って来ていたら同期することもできるようだ。
これはレインに聞いていたたが、どう使えば分からなかったため、説明書を読んでやり方を覚える。
ある程度、説明書を読んでから試しにI.Bに収納していたスマホを取り出して額当てに近付けたら、頭に同期開始しますと声が聞こえ、ほぼ何もなかった画面に俺のスマホに入れていたアプリが次々へと追加されていった。
同期が終わりましたとの声が聞こえてから、試しにゲームのアプリを扱ってみるも、当然異世界では遊ぶことは叶わない。
仕方ないと思って、そういった起動しないアプリは削除して、画面いっぱいのアプリのほとんどが無くなったのを見て悲しくなるも、この額当て型の通信機でも新しいゲームやアプリを入手できるようなことで、また暇な時間にでも扱ってみようと思いながら、ふと視線を辺りを見渡すと、アマとアミが驚いた表情をしていた。
「おじさんの凄ーい!いいないいなあ。
それ最新の通信機じゃない。あたしも欲しいんだけど、メッチャ高いんだあ」
「わ、私もそれ買ったら、ミーツさんといつでも何処でも会話出来るんですか?」
アマは羨ましがって額当てを見上げながら、ちょっと貸して貸してと言ってくるのに対してアミは、会話できることが羨ましいみたいだ。
他のメンバーたちは大して興味がないのか、関心を持たず、シオンは殿下との話が終わったんならさっさと行くぞと言ってくる始末だ。
意外だったのが、姐さんもチラリと見るだけで興味のなさそうにしていたのが意外だった。
最初に元の世界での通信機器を見せた時は驚いていたから、てっきり今回の額当て型の通信機も興味津々で聞いてくるものだろうと思っていたから、今回は拍子抜けした。
「ミーツちゃん、あたしもそれに近い物を持っているのよ。だからミーツちゃんが特別ってわけじゃないの」
姐さんは俺の考えを察したのか、胸元をまさぐってギルド証のカード型みたいなカードを取り出し、俺の額当てに近付けると、通話番号登録しましたというアナウンスが頭に響いた。
「これも通信機みたいなものなのか」
「そうよ。といっても、これは通話か千文字以内の文字のやり取りしかできないわ。
でもこれで時々レイン様とやり取りしてるの。
だから、昨日ミーツちゃんを皆んなで迎えに来れたのよ」
姐さんの持ってるのは昔あったPHSみたいな物なのかと納得した。それで俺が貰った額当てが同じような物だと思って興味がなかったのかと納得したものの、PHSとスマホは全くの別物だが、俺も上手く説明できないところから、否定をせずに緊急時や何かあったら通話するよと言って、俺の仲間たちが普段から拠点としている宿屋に移動して行く。
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