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第5話 夜の行動
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「やばい、暗くなる前に火をなんとかしないと。」
太陽が沈み、暗くなってきている。このままでは何も見えない。モンスターが襲って来ることはないが、行動が制限される。準備するのに越したことはない。
「ハッピーはここでお留守番しててね。薪とか枯葉とかスーと一緒にとりに行くから。」
「ピイ!」
ハッピーは了承したように元気よく声を出したので、今か今かと待っているスーを抱き上げて再び森の中に入る。
まだ夕日が出ているから下は見えるけど早めに戻らないとな。
「これはどうかな。ん?スーどうしたの?これはだめなの?」
下にあった枝を拾い上げると、右腕にいたスーが触手を伸ばして薪を取り上げるとぽいっと捨てた。だがその直後俺の質問に肯定的に震えた。
「まあ、スーがそう言うなら仕方ないな。こっちはいいの?」
一人で納得しているとスーは別の枝を拾い上げると、それを俺に見せつける。触ってみたがさっきの枝と違いがわからない。でもスーがこれがいいと触手を懸命に揺らすので、これにした。
「それじゃあスーはこの枝を見つけたら教えてね、俺が持っていくから。」
スーは断ることなく触手をシュバッと上げてやる気を見せた。この後もスーは見つけたらすぐ触手を伸ばして拾い上げ俺に手渡してくれる。
「これだけ集まったし、そろそろ戻ろうか。」
手元には数十本の枝があった。さすがに多くなりすぎたのでスーには降りてもらった。こころなし残念そうにしていたけどスーが危ないからね。
「ハッピー!戻ったよ!」
「ピイー!」
ハッピーは俺を見るや否や駆け寄って頭をスリスリとつけてくる。俺も頭を撫でてやる。見た感じ子供だからあんまり心配をかけちゃいけないな。下にいたスーがぴょんぴょん跳ねて下に落とした枝を拾い上げるとわっせわっせと並べていく。
「ああ、並べてくれてるの?え、焚き火の原型が出来てる?」
スーが枝をどんどん運び並べている様子を見ると、いつの間にか焚き火にぴったりの形ができていた。なぜこれが出来たか聞くけどゆらゆら揺らすだけでわからない。さっき枝を仕分けしてたし感覚でわかるのかな?
「これでできあがった、あ!!火の鉱石がない。どうしよう。」
この世界では魔鉱石と呼ばれる属性魔法がこめられてる鉱石を使って日々の暮らしを豊かにしている。その一つで火の鉱石はその名のとおり魔力を流せば火が出る。
「うう、どうしよう。せっかくスーに作ってもらったのにこれじゃあ意味ないじゃないか。ごめんなスー。」
後先考えてなかった結果このようなことが起きてしまった。申し訳ないと頭をなでるとスーはぴょんとひとつ跳ねると焚き火のほうに近づく。何をするのか見ているとスーは焚き火に向かって何かを発射した。
シューーー、パチ!
「溶解液?ん?火がついた!?」
溶解液を飛ばした箇所に火がついた。それを見たスーはハッピーの元に駆け寄るとなにか触手を揺らして伝える。
「ピイー?ピ!」
何か理解したようでハッピーはスーと一緒に焚き火に近寄る。そして自慢の純白の羽を広げると、焚き火に向かって扇ぎ始めた。しばらく扇いだ後に火さらに火力を増し、さっきとは比べものにならないものが出来ていた。
「すごいこれだけ火が強かったらオークの肉が焼けるかも!!スーちょっとこっちに来て。」
あることを頼むためスーを呼ぶ。スーはぴょんぴょんと跳ねてやってくる。
「さっき解体してくれたオークの肉を切って欲しいんだ。できるかな?」
スーは『まかせて』と触手をあげる。さっき大木も切っていたからこれも切れるかなと思った。スーは塊になっていたオーク肉を綺麗に薄切りにしている。そんな様子を俺とハッピーはまじまじと見ている。
「うん、これでオーケーだ。ありがとうスー。あとはあまりの枝に切ったお肉を刺してっと。」
オーク肉を枝に刺して火に近づけて焼いていく。スーは触手を伸ばして俺と同じように焼いていく。ハッピーは羽なので持つことが出来ず俺に寄り添って応援してくれてる。
「……よし、これぐらいだな。どれどれ。」
火力が強いから外だけ焼けて中は生っていうのが怖かったが、薄く切ってくれたスーのおかげで問題なく焼けた。スーって本当に頭いいな。二本焼いていたうちの1つをハッピーに渡す。
「はふ、はふ、おお!おいしい!」
「ピイ!ピイー♪」
スーもプルプル震えて喜んでいる。それにしてもこのオークの肉本当に美味しい。そこらの肉とはわけが違う。こんなに美味しかったっけ?オークの肉って別に珍しくないし、これだけ美味しかったら店に置いてあると思うけどあんまりなかったし。
「ピイー!」
「ん、ああ、もっと欲しいんだね。少し待っててね。」
ハッピーがもっと欲しいとねだってくるのでもう一つ焼いていく。
~~~~~~~~
「ふー、美味しかった。まさか1日目でこんな美味しい肉が食べれるとは思わなかったな。」
そうだ、これはまだ1日目だったんだ。もしスーに会ってなかった他のモンスターに倒されてたのかもしれない。
いや、もしかしたら食料が尽きて餓死していたのかもしれない。本当に俺は運が良かった。すると、後ろからスーが触手を伸ばして俺を包み込む。
「どうした?うわ。」
ポヨヨーーン
なんとスーがベットになってくれてた。あの小さい姿から想像できない大きさになっていた。ハッピーも嬉しそうに乗っかっていた。あまりの気持ち良さで寝てしまった。
「………スー、スー……」
太陽が沈み、暗くなってきている。このままでは何も見えない。モンスターが襲って来ることはないが、行動が制限される。準備するのに越したことはない。
「ハッピーはここでお留守番しててね。薪とか枯葉とかスーと一緒にとりに行くから。」
「ピイ!」
ハッピーは了承したように元気よく声を出したので、今か今かと待っているスーを抱き上げて再び森の中に入る。
まだ夕日が出ているから下は見えるけど早めに戻らないとな。
「これはどうかな。ん?スーどうしたの?これはだめなの?」
下にあった枝を拾い上げると、右腕にいたスーが触手を伸ばして薪を取り上げるとぽいっと捨てた。だがその直後俺の質問に肯定的に震えた。
「まあ、スーがそう言うなら仕方ないな。こっちはいいの?」
一人で納得しているとスーは別の枝を拾い上げると、それを俺に見せつける。触ってみたがさっきの枝と違いがわからない。でもスーがこれがいいと触手を懸命に揺らすので、これにした。
「それじゃあスーはこの枝を見つけたら教えてね、俺が持っていくから。」
スーは断ることなく触手をシュバッと上げてやる気を見せた。この後もスーは見つけたらすぐ触手を伸ばして拾い上げ俺に手渡してくれる。
「これだけ集まったし、そろそろ戻ろうか。」
手元には数十本の枝があった。さすがに多くなりすぎたのでスーには降りてもらった。こころなし残念そうにしていたけどスーが危ないからね。
「ハッピー!戻ったよ!」
「ピイー!」
ハッピーは俺を見るや否や駆け寄って頭をスリスリとつけてくる。俺も頭を撫でてやる。見た感じ子供だからあんまり心配をかけちゃいけないな。下にいたスーがぴょんぴょん跳ねて下に落とした枝を拾い上げるとわっせわっせと並べていく。
「ああ、並べてくれてるの?え、焚き火の原型が出来てる?」
スーが枝をどんどん運び並べている様子を見ると、いつの間にか焚き火にぴったりの形ができていた。なぜこれが出来たか聞くけどゆらゆら揺らすだけでわからない。さっき枝を仕分けしてたし感覚でわかるのかな?
「これでできあがった、あ!!火の鉱石がない。どうしよう。」
この世界では魔鉱石と呼ばれる属性魔法がこめられてる鉱石を使って日々の暮らしを豊かにしている。その一つで火の鉱石はその名のとおり魔力を流せば火が出る。
「うう、どうしよう。せっかくスーに作ってもらったのにこれじゃあ意味ないじゃないか。ごめんなスー。」
後先考えてなかった結果このようなことが起きてしまった。申し訳ないと頭をなでるとスーはぴょんとひとつ跳ねると焚き火のほうに近づく。何をするのか見ているとスーは焚き火に向かって何かを発射した。
シューーー、パチ!
「溶解液?ん?火がついた!?」
溶解液を飛ばした箇所に火がついた。それを見たスーはハッピーの元に駆け寄るとなにか触手を揺らして伝える。
「ピイー?ピ!」
何か理解したようでハッピーはスーと一緒に焚き火に近寄る。そして自慢の純白の羽を広げると、焚き火に向かって扇ぎ始めた。しばらく扇いだ後に火さらに火力を増し、さっきとは比べものにならないものが出来ていた。
「すごいこれだけ火が強かったらオークの肉が焼けるかも!!スーちょっとこっちに来て。」
あることを頼むためスーを呼ぶ。スーはぴょんぴょんと跳ねてやってくる。
「さっき解体してくれたオークの肉を切って欲しいんだ。できるかな?」
スーは『まかせて』と触手をあげる。さっき大木も切っていたからこれも切れるかなと思った。スーは塊になっていたオーク肉を綺麗に薄切りにしている。そんな様子を俺とハッピーはまじまじと見ている。
「うん、これでオーケーだ。ありがとうスー。あとはあまりの枝に切ったお肉を刺してっと。」
オーク肉を枝に刺して火に近づけて焼いていく。スーは触手を伸ばして俺と同じように焼いていく。ハッピーは羽なので持つことが出来ず俺に寄り添って応援してくれてる。
「……よし、これぐらいだな。どれどれ。」
火力が強いから外だけ焼けて中は生っていうのが怖かったが、薄く切ってくれたスーのおかげで問題なく焼けた。スーって本当に頭いいな。二本焼いていたうちの1つをハッピーに渡す。
「はふ、はふ、おお!おいしい!」
「ピイ!ピイー♪」
スーもプルプル震えて喜んでいる。それにしてもこのオークの肉本当に美味しい。そこらの肉とはわけが違う。こんなに美味しかったっけ?オークの肉って別に珍しくないし、これだけ美味しかったら店に置いてあると思うけどあんまりなかったし。
「ピイー!」
「ん、ああ、もっと欲しいんだね。少し待っててね。」
ハッピーがもっと欲しいとねだってくるのでもう一つ焼いていく。
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「ふー、美味しかった。まさか1日目でこんな美味しい肉が食べれるとは思わなかったな。」
そうだ、これはまだ1日目だったんだ。もしスーに会ってなかった他のモンスターに倒されてたのかもしれない。
いや、もしかしたら食料が尽きて餓死していたのかもしれない。本当に俺は運が良かった。すると、後ろからスーが触手を伸ばして俺を包み込む。
「どうした?うわ。」
ポヨヨーーン
なんとスーがベットになってくれてた。あの小さい姿から想像できない大きさになっていた。ハッピーも嬉しそうに乗っかっていた。あまりの気持ち良さで寝てしまった。
「………スー、スー……」
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