仕方なく開拓者になったけど、膨大な魔力のおかげで最高の村ができそう

Miiya

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第4話 解体したら....

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 「やっと帰ってきたーー!!」

 「ピイ!」

ようやくついたことに俺は腕を高く上げて喜びを示した。鳥人の女の子も羽をヴァサっと広げて喜びを表現する。スーもニョロニョロと触手を伸ばす。

 「そういえばまだ君に名前がなかったね。俺がつけてもいいのかな?」

 「ピイ?ピイ!」

聞いてみると最初こそ不思議そうに首をかしげていたが、何を言ってるかがわかると嬉しそうにジャンプした。うーーん、考えていると可愛い笑顔でこっちを見ている。!?

 「君の名前はハッピーだ!!君が来てから雰囲気がさらによくなったし、それに可愛い名前のほうがいいよね。」

 「ピイ♪」

 「それじゃあ名前が決まったことだしこれからどうしようか?」

 「ピイ!」

 「ハッピー遊びに行くの?気をつけてね。早めに帰るんだよ。」

 「ピイ!」

ハッピーはスキップ交じりで森に再度入った。すごい元気そうだし大丈夫かな?するとスーがハッピーが運んでくれたオークに近づく。

 「あ、オークの解体したほうがいいね。それじゃあ剣を出してっと。」

オークに剣を入れようとするけど、わからん。解体の仕事は解体師と呼ばれる職人が主にやる仕事で、一般人には厳しい作業だ。するとスーが剣をさわり、その後オークの首を触る。

 「首を切れってことかな?怖いけど仕方ない。とりゃ!」

スーに促されるがままにオークの首を切る。当然首元からオークの血が流れてくる。だがそれにあわせてスーが首元に近づくと、スーの体が赤く染まり始める。

 「スー大丈夫?もしかして血を吸ってる?問題ないの?ならいいけど。」

スーが問題ないと触手を使って伝えると、そのまま血をすい続ける。そしてしばらくすると赤色だったスーの体色が元の青色になった。それを確認したスーは自身の体を伸ばし始めて、オークの体を覆い始めた。

 「どうしたスー?オーク食べるの?」

いきなり体に取り込んだのを見て食事かと思った。そしていつものサイズに戻る。本当に食べちゃったのかと少し残念に思い下を向くと、スーが触手を伸ばして俺の肩を触る。顔を上げるとなにかスーがいつもとは違う震え方をしている。

 「大丈夫?なにか毒でもあった?」

いつもとは違う振るえに困惑した。だけど触手の動きはいつものように嬉しそうに触手を揺らす。そして震えが止まると体から何かを出した。

 「これは...オークの肉?もしかして解体していたの?」

スーから吐き出されたのは肉だった。しかも仕上がりは完璧としか言いようがない。精肉店に並べられてもおかしくない。

 「すごいよ!!本当にすごいよ!!君を仲間にしていて本当によかった!!」

そう言って俺はスーを抱き上げ抱きしめる。スーも触手を俺の体に巻きつける。(スーはエルから多量の魔力を摂取していた。)

 「せっかく解体してくれたけど、おく場所がないかな。ひとまず岩に置いておくけど、汚くなるかな?うーん」

 「ピイ!」

 「あ、ハッピー!!おかえり。ん?何か色々持ってきたの?」

ハッピーの手、と言うより羽には果物や草などがあり、下に置くと楽しかったのかすごいアピールをして頭を俺の体にスリスリと押し付ける。

 「そうかそうか、さてハッピーが持ってきた収穫物を見てみようかな。」

果物が3種類、リーゴとモモンとパイナポ。そして草の葉これは!?

 「これは………エンドールの木の葉か?」

エンドールという巨木であり葉が特徴的だ。その形は長細く、保存する際に生物を包むのによく使われるものだ。スーが1つ葉を取ると、先ほど解体したオーク肉を包み始めた。

 「スー、わかるのか!?すごいな本当に。」

俺とスーとハッピーでオークの肉を包み始めた。ついでに果物の下に引いておいた。

 「そういえば、モンスターには会わなかった?え?近くだったから大丈夫だったの?そういえばこの辺りはモンスターが現れないな。」

周りを見渡しても全くモンスターの姿が見えない。さっきもかなりの距離を歩いてようやくだったし。

 「それじゃあ、ここが安全地帯ってわけか。」

(エルの魔力によって広場周辺の魔力が変わり、野生モンスターを受け付けなくしている。)

 「でも、こんなひどい場所ってことは俺は島流し
みたいなことを受けたのか。」

正直、移動中にも薄々感じていたけどこの森の探索ではっきりとわかった。とてもじゃないがこんなところで管理する意味なんてないと思う。泣きたくなってくるよ。

 「ピイ……」

 「ん?あ、そうだった。俺にはお前たちがついてるもんな。」

込み上がってくる悲しみが、スーとハッピーが近付いて寄り添ってくれたおかげで少し無くなってきた。

 「もうこうなったら絶対いい村作ってやるからなーー!!」

 「ピィー!」

(スーも触手を伸ばしてやる気を出している。)

 「ピイ~、」

 「ん、ああ果物を食べたいの?いいよ。」

 「ピイー♪」

ハッピーが果物をせがんでいた。どうやら遊びに行ってる時に食べてはいなかったらしい。

 「ピイー、」

 「ん、俺も食べろって?そうだな、俺も食べようかな。スーの分も、はい。」

促されリーゴに手を出す。

シャキッ

 「おおー、美味しい。こんなうまかったっけ?」

正直八百屋にあるリーゴよりも余裕で美味しかった。スーも体の中に入れて溶かしながら食べている。すごい震えているのでよっぽど美味しいんだろう。

 「あ、暗くなってきた。」
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