隻腕の聖女

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王の野望編

第6話

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「聖女様、聖女様。イヴ大丈夫か?」
目を覚ますとガイツが私の顔を覗き込んでいた。
「良かった、生きていたか。体は大丈夫か?」

一瞬何があったのか思い出すまで時間があった。

ザーロという悪魔と出会い、私たちは突然襲われた。
ザーロはガイツの攻撃を受けてもびくともせず、
私たちにはどうすることもできなかった。

何が起こったのだろう・・・私はまだ生きている?

体を起こそうとすると激痛が走る。

「無理をするな、俺もギリギリ立っていられるくらいだ。」
私が生きていて安心したのか、ガイツは私の隣に倒れこむように座った。

「何があったの?どうして私は生きているの?」
私はガイツに聞いてみた。

「覚えてないのか?君がやったんだ、あいつを。」
ガイツが目の前に落ちている拳ほどの大きさの赤く鈍く光る球を指さした。

「ザーロはどこ?あれはいったい何?」
私は訳が分からずガイツを質問攻めにした。

「分かった、分かった。本当に何も覚えていないんだな。
 何があったのか俺が見たことを話すよ。」
そういうとガイツはザーロと私に何があったのかを話し始めた。


ガイツがザーロに切りかかり、吹き飛ばされた後、
ガイツは動けず、私に向かっていくザーロをただ見つめていた。
その時、ザーロに向かって突き出した私の左手が赤く光り出し、
それを見たザーロが後ずさりし始めたという。
ザーロは一瞬の迷いの後、再び私に殴り掛かろうとした。
その瞬間、赤黒い光がザーロの首あたりを突き抜けていった。
ザーロはそのまま後ろに倒れこみ、赤く鈍く光る球を残して消滅してしまったという。

「聖女の力って悪魔を浄化する力もあるんだな。
 傷を癒すだけだと聞いていたが。」
ガイツは感心したように言った。

「私もそんな力があることを初めて知った。」
私自身驚いていた。実際、悪魔に出会ったのも今回が初めてだから、
悪魔を浄化する力があったとしても知りようもなかったのだが。

「どうする?記念品としてこいつは持って帰るか?」
ガイツはしんどそうに立ち上がると、
ザーロだった赤い球を私のもとへと持ってきた。

「悪魔が落としていった物なんて気味が悪いわ。
また復活してしまわないうちに砕いてしまいましょう。」
私はガイツから赤い球をで受け取った。

すると、赤い球に呼応するように左手が赤く光り始めた。
驚いて呆然としていると、赤い球も光り出し、
やがて、見ていられないほど眩く輝きだした。

一瞬の後、目を開けると赤い球は木の燃えカスのように白い灰になっていた。

「なんだ?何があった?」
ガイツは目を丸くして私に聞いてきた。
私に聞かれても分かるわけがない。
知らないという意味を込めて私は首を振った。

白い灰も、サラサラと左手に溶けるように消えていった。

「このテイドか、ヤはり使い魔では足りヌ、もっト悪魔を探セ。」
頭の中で声が聞こえた。だ。
本当にこの声はウェナ様なのだろうか。

「よく分からないけど、
 ザーロの力を手に入れることができたのかな?
 もっと悪魔を探す必要があるみたい。」
私は神託を自分なりに理解してガイツに伝えた。
東へ来たのも悪魔を探すためだったようだ。
私はようやく声の主のやりたいことが分かり始めた。
「私の中の声はもっと力を欲してる。
 もっと強大な悪魔を討とうとしているんだわ。」
それが、王、ダナゴンということなのだろう。

「勘弁してくれよ。俺には全く歯が立たなかったんだぜ?」
ガイツはその場に大の字に倒れこんだ。
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