隻腕の聖女

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王の野望編

第25話

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私達は、傷が癒えると大工房へと向かった。

玉座の間は未だ修復工事が終わっていなかったが、
人々は以前のように工房でモノづくりを行っていた。

ただ、以前とは違い、ザヴァン達がいない分、
生き生きとしていた。

私は、ここでも退として、
皆から注目を浴び、通りすがるたびに礼の言葉をかけられた。

「聖女様は、癒しの力を失っても聖女様なんですねやっぱり。」
ガイツが感心したように言う。

私にも、聖女という呼び名が、ふさわしいの分からない。
私はそこまで深い優しさを持っているわけじゃないし、
人並みに嫉妬したり、恨めしく思ったりすることもある。
力を持っていなかったら、きっと普通の人だ。

もし、苦しんでいる人を助けられる力が、
にあるのなら、
使わずにはいられないのは、
誰でもそうなのではないだろうか。

私は、力を得たが故に
そんなことを感じていた。

でも、それでいいのだろう。
私は人々が私を必要としてくれることを、
喜びに感じているのだから。


大工房の奥、玉座の間に着くと、
ヴェリの球は、まだそこにあった。

私は、ヴェリの球の近くにしゃがみこんで、
そっと手を置いた。

赤黒い炎が、激しく動き出し、赤く輝き出す。

それに応じるように私の左手が赤く輝きだした。

目を開けてられないくらいの眩しさに、
思わず私は目を閉じる。

真っ白い光の中、女性の姿が目の前に浮かんだ。
前にも見覚えがある。シロエルの時だ。
その時よりも若干鮮明に見える。
「私は、ウル・・・ついて・・・。」
これは、私がしゃべっているのだろうか?
声がとても近くで響く。

「・メイ・・ならば・・・いけません。」
以前見たウェナと呼ばれた女性が、
私に向かって穏やかに話しかける。

「あの人の絶望を受け止めてあげられるのは私だけ。」

「イヴ?イヴ?」
ガイツの声が聞こえて我に返った。
「あの人ってだれだ?」
ガイツが不思議そうな顔で私の顔を覗き込む。

「私、何か言ってた?」
気付くとヴェリの球は消えていた。

「あの人の絶望を受け止めてあげられるのは私だけとかなんとか。」
ガイツは私がイメージの中で唯一ハッキリと聞いた言葉を、
そっくりそのまま答えた。
「それだけ?」
私が問うと、

ガイツは釈然としない顔で、
「それだけだけど?」
と、答えた。

ウェナ様が言っていた、なんとかメイなんとか。
あれはきっとイメージの中の「私」の名前だろう。
私には、一つ思い浮かぶ言葉があった。

十邪星の一人だ。

ウェナ様とディメイアが双子?
私の力は聖母ウェナ様のものじゃなく、悪魔ディメイアのもの?

それ以上考えると、行ってはいけない場所へと心が迷い込みそうで、
こんな考えには何の根拠もない、と、私は振り払った。

「一度、君たちに話しておきたいことがあるんだ。」
アリウスが、重そうに口を開いた。

「私も、聞いておかなければならないと思っていました。」
私も重く口を開いた。
これからアリウスの口から何が語られるのかが怖かった。
嘘なのか、本当なのか。
また、それがどういう意味を持つのか含めて・・・。
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