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王の野望編
第26話
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「全てを話すことはできないが、
今話せることを正直に話そう。」
アリウスが私をまっすぐ見つめて言った。
彼がまず語り始めたのは、
ルースとベアトリスの事だった。
やはりアリウスは、
ルースとベアトリスが悪魔だということを知っていた。
それどころ、
ルースは十邪星のルザーフ、
ベアトリスは十邪星のバルゼビアだという。
そして、これまでのアリウスの手際の良さは、
全てルザーフに導かれたが故だった。
「悪魔の描いた道筋だったなんて・・・。」
私は絶句した。
アリウスが言うには、
なぜかルザーフとバルゼビアは私達に協力的で、
実際に今回も隠れ家を用意してくれたり、
ヴェリの護衛たちを追い払ってくれたことで、
私達がギリギリ勝つことができた。
それがルザーフ達にどんなメリットがあるのかは知らないが、
私達にメリットがあるなら、
出来るだけ利用しようとアリウスは思っていたようだ。
更に、王は悪魔だということも、
ルザーフから聞いていたという。
ルザーフが言うには、王は、これまた十邪星のアルケスが
乗り移っているらしい。
全ては、地獄門を王が開けてしまったことから始まるようだ。
王が他国を征服する力を求めて地獄門を開いてしまったことで、
悪魔がこの世界に現れ、人間界を侵食するようになり、
自身は逆にアルケスによって憑りつかれてしまったのだ。
そして、いずれ悪魔の邪魔になるであろう、
ウェナ様の力を持つという私を見つけ、即刻処分しようとした。
それが私の右腕を奪った本当の意味だった。
「アルケス・・・。それが私達の敵なのね。」
私は、この時初めて討つべき敵の正体を知った。
「私が、アルケスやルザーフを野放しにしてしまったばかりに、
君は右腕を失ってしまったし、人々が苦しんでいた。
私は、私の周りしか見れていなかったことをこの旅を通じて感じた。
このケリは私自身でつけようと思っている。
君には、辛いことばかり押し付けてしまったし、
こんな重大なことを黙っていて本当にすまないと思う。」
アリウスが沈痛な面持ちで深々と頭を下げた。
「分かりました。
確かに悪魔の言いなりになっていたのは気に食わないですけど、
そのおかげでここまでなんとかやってこれたし、
いろいろと詳しいことも分かりました。
話してくれて、ありがとうございます。」
私はアリウスに頭を上げてもらうよう促した。
「俺は・・・正直、失望しました。
なんでもっと早く言ってくれなかったんです?
仲間として信頼できなくなりそうです。」
ガイツは泣きそうな顔でアリウスに言った。
アリウスはガイツに何度も謝った。
そして、その後にこう言った、
「これから私は別行動をしようと思う。
私は、私なりのやり方で、
ルザーフと、悪魔と、決着をつける。
これは、王を止めることができなかった、
元騎士兵長としての責任でもある。」
そして、アリウスは私に印の付いた地図を渡した。
「次は北西のフルトを経由して、
その北にあるゼクートを目指せ。
フルトには十邪星のロスタート、
ゼクートにはアルケスに比肩する魔力を持つリヒヤールがいる。
リヒヤールは海の上では無類の強さを誇るが、
陸では本領は発揮できんらしい。
勝機はある。
ルザーフはそう言っていた。」
「あの、アリウス・・・」
私は、アリウスを引き留めようとするも、
彼は私の言葉を制して続けた。
「ガイツ、聖女様を頼んだぞ。
聖女様、また、生きて会うことがあれば、
全てを話すことができるかもしれんな。」
アリウスはそう言って微笑むと、走り去った。
私達が呼んでも、彼は振り返ることはなかった。
今話せることを正直に話そう。」
アリウスが私をまっすぐ見つめて言った。
彼がまず語り始めたのは、
ルースとベアトリスの事だった。
やはりアリウスは、
ルースとベアトリスが悪魔だということを知っていた。
それどころ、
ルースは十邪星のルザーフ、
ベアトリスは十邪星のバルゼビアだという。
そして、これまでのアリウスの手際の良さは、
全てルザーフに導かれたが故だった。
「悪魔の描いた道筋だったなんて・・・。」
私は絶句した。
アリウスが言うには、
なぜかルザーフとバルゼビアは私達に協力的で、
実際に今回も隠れ家を用意してくれたり、
ヴェリの護衛たちを追い払ってくれたことで、
私達がギリギリ勝つことができた。
それがルザーフ達にどんなメリットがあるのかは知らないが、
私達にメリットがあるなら、
出来るだけ利用しようとアリウスは思っていたようだ。
更に、王は悪魔だということも、
ルザーフから聞いていたという。
ルザーフが言うには、王は、これまた十邪星のアルケスが
乗り移っているらしい。
全ては、地獄門を王が開けてしまったことから始まるようだ。
王が他国を征服する力を求めて地獄門を開いてしまったことで、
悪魔がこの世界に現れ、人間界を侵食するようになり、
自身は逆にアルケスによって憑りつかれてしまったのだ。
そして、いずれ悪魔の邪魔になるであろう、
ウェナ様の力を持つという私を見つけ、即刻処分しようとした。
それが私の右腕を奪った本当の意味だった。
「アルケス・・・。それが私達の敵なのね。」
私は、この時初めて討つべき敵の正体を知った。
「私が、アルケスやルザーフを野放しにしてしまったばかりに、
君は右腕を失ってしまったし、人々が苦しんでいた。
私は、私の周りしか見れていなかったことをこの旅を通じて感じた。
このケリは私自身でつけようと思っている。
君には、辛いことばかり押し付けてしまったし、
こんな重大なことを黙っていて本当にすまないと思う。」
アリウスが沈痛な面持ちで深々と頭を下げた。
「分かりました。
確かに悪魔の言いなりになっていたのは気に食わないですけど、
そのおかげでここまでなんとかやってこれたし、
いろいろと詳しいことも分かりました。
話してくれて、ありがとうございます。」
私はアリウスに頭を上げてもらうよう促した。
「俺は・・・正直、失望しました。
なんでもっと早く言ってくれなかったんです?
仲間として信頼できなくなりそうです。」
ガイツは泣きそうな顔でアリウスに言った。
アリウスはガイツに何度も謝った。
そして、その後にこう言った、
「これから私は別行動をしようと思う。
私は、私なりのやり方で、
ルザーフと、悪魔と、決着をつける。
これは、王を止めることができなかった、
元騎士兵長としての責任でもある。」
そして、アリウスは私に印の付いた地図を渡した。
「次は北西のフルトを経由して、
その北にあるゼクートを目指せ。
フルトには十邪星のロスタート、
ゼクートにはアルケスに比肩する魔力を持つリヒヤールがいる。
リヒヤールは海の上では無類の強さを誇るが、
陸では本領は発揮できんらしい。
勝機はある。
ルザーフはそう言っていた。」
「あの、アリウス・・・」
私は、アリウスを引き留めようとするも、
彼は私の言葉を制して続けた。
「ガイツ、聖女様を頼んだぞ。
聖女様、また、生きて会うことがあれば、
全てを話すことができるかもしれんな。」
アリウスはそう言って微笑むと、走り去った。
私達が呼んでも、彼は振り返ることはなかった。
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