64 / 121
7つの断章編
第14話
しおりを挟む
洞窟の奥に、また、人為的に作られたと思われる台座と、
その上に光る金属片があった。
ベアトリスが金属片をつまみ上げると、
それは光を失った。1つ目の断章とあまり大きさも形も変わりなく見える。
「これで2個目だな。」
ベアトリスは断章をそのまま私に手渡した。
私は念のため、レイリアに見られないうちに皮袋にしまい込んだ。
少し遅れて、レイリアとリスバートがやってくる。
「用事がすんだら、街へ戻ろうか。」
リスバートは、あえてなのか分からないが、
断章という言葉を使わなかった。
レイリアからの反応は特にないようだ。
彼女は、汚れたり傷ついた服が気になるのか、
私達の行動よりも、自分の服に関心があるようだった。
やっぱり、ベアトリスが言っていた、
ルザーフの使い魔かもしれないというのは、気にしすぎなのだろうか。
ベアトリスは自分の感が外れたのが気に食わないのか、
レイリアをしばらく見つめた後、少し不貞腐れながら
「あぁ。」とだけ返事をした。
ツヴァートの街に帰ると、宿をとって、休憩をした。
リスバートだけ別の部屋で、
私とベアトリス、レイリアが同じ部屋だ。
とはいえ、ベアトリスはすぐに外へ出ていってしまい、
私とレイリアだけが残された。
私は、沈黙を埋めるため、あのことを聞いてみることにした。
「そういえば、私も気になっていたんだけど、
どうしてあの洞窟にいたのか聞いてもいい?」
私はベアトリスと違い、優しくレイリアに尋ねた。
「私、家がないって言ったでしょ?
人間のお金を持ってないから、
泊まる場所もなくて・・・。
洞窟を見つけては、そこで寝泊まりしていたの。」
そして、良い洞窟を見つけたと思ったら、洞窟の奥であの悪魔に出くわしてしまい、
謝って出ていこうとしたが、執拗に追い掛け回されてしまったらしい。
敵も、既に断章を一つ私たちに奪われたことに気付いていたのだろうか。
ルザーフの使い魔も断章を奪われまいと躍起になっているみたいだ。
そんな時に、少女とはいえ断章の洞窟に立ち入るものがあれば、
排除もしたくなるに違いない。
レイリアも、タイミングの悪いときに迷い込んでしまったものだ。
言われてみれば、確かに、
私たちが洞窟の外へ退避したときもカマキリ型の悪魔は執拗に追い回してきた。
だからこそ、空からの奇襲攻撃に成功したわけだが・・・。
そして、その後、私は衝撃的な事実を聞いてしまった。
「私の母の名前は、ロスタートといいます。
つい先日、ようやく母のいるこの世界に来れたので、
母に会いに行く途中なんです。」
私は言葉を失った。
少女にどう言えばいいのだろう。
彼女の母親のロスタートが、あの十邪星のロスタートと同一なのだとしたら、
それを葬ってしまったのは、私だ。
「ロスタートって、十邪星の?」
私は恐る恐る聞いてみた。
少女は顔を輝かせて頷く。
まさか、ロスタートに娘がいただなんて・・・。
「母を知っているんですか?」
今までで一番うれしそうな声で少女が言う。
私は、ますますロスタートのことを話すわけにはいかなくなった。
「えぇ・・、人間達も十邪星のことは昔話でよく知ってるわ・・・。」
私は、当たり障りのない話をしてごまかした。
少女はもっと具体的な話を期待していたのだろう。
私の期待外れの言葉に心底がっかりしているようだ。
どうしよう・・・。
旅を続けていれば、
やがてロスタートを倒したフルトにも立ち寄ることになるかもしれない。
そのとき、ロスタートを倒した聖女様とでも呼ばれようものなら、
知られたくない真実が、彼女の耳に入ってしまうかもしれない。
フルトではガイツの石像が建つという話もしていたから、
私とガイツがロスタートを倒したことはフルトの街中に広まっていることだろう。
私は、その後レイリアとの話に身が入らず、
早々に切り上げて、ベッドに倒れ込んだ。
凄くまずいことになってしまった・・・。
その上に光る金属片があった。
ベアトリスが金属片をつまみ上げると、
それは光を失った。1つ目の断章とあまり大きさも形も変わりなく見える。
「これで2個目だな。」
ベアトリスは断章をそのまま私に手渡した。
私は念のため、レイリアに見られないうちに皮袋にしまい込んだ。
少し遅れて、レイリアとリスバートがやってくる。
「用事がすんだら、街へ戻ろうか。」
リスバートは、あえてなのか分からないが、
断章という言葉を使わなかった。
レイリアからの反応は特にないようだ。
彼女は、汚れたり傷ついた服が気になるのか、
私達の行動よりも、自分の服に関心があるようだった。
やっぱり、ベアトリスが言っていた、
ルザーフの使い魔かもしれないというのは、気にしすぎなのだろうか。
ベアトリスは自分の感が外れたのが気に食わないのか、
レイリアをしばらく見つめた後、少し不貞腐れながら
「あぁ。」とだけ返事をした。
ツヴァートの街に帰ると、宿をとって、休憩をした。
リスバートだけ別の部屋で、
私とベアトリス、レイリアが同じ部屋だ。
とはいえ、ベアトリスはすぐに外へ出ていってしまい、
私とレイリアだけが残された。
私は、沈黙を埋めるため、あのことを聞いてみることにした。
「そういえば、私も気になっていたんだけど、
どうしてあの洞窟にいたのか聞いてもいい?」
私はベアトリスと違い、優しくレイリアに尋ねた。
「私、家がないって言ったでしょ?
人間のお金を持ってないから、
泊まる場所もなくて・・・。
洞窟を見つけては、そこで寝泊まりしていたの。」
そして、良い洞窟を見つけたと思ったら、洞窟の奥であの悪魔に出くわしてしまい、
謝って出ていこうとしたが、執拗に追い掛け回されてしまったらしい。
敵も、既に断章を一つ私たちに奪われたことに気付いていたのだろうか。
ルザーフの使い魔も断章を奪われまいと躍起になっているみたいだ。
そんな時に、少女とはいえ断章の洞窟に立ち入るものがあれば、
排除もしたくなるに違いない。
レイリアも、タイミングの悪いときに迷い込んでしまったものだ。
言われてみれば、確かに、
私たちが洞窟の外へ退避したときもカマキリ型の悪魔は執拗に追い回してきた。
だからこそ、空からの奇襲攻撃に成功したわけだが・・・。
そして、その後、私は衝撃的な事実を聞いてしまった。
「私の母の名前は、ロスタートといいます。
つい先日、ようやく母のいるこの世界に来れたので、
母に会いに行く途中なんです。」
私は言葉を失った。
少女にどう言えばいいのだろう。
彼女の母親のロスタートが、あの十邪星のロスタートと同一なのだとしたら、
それを葬ってしまったのは、私だ。
「ロスタートって、十邪星の?」
私は恐る恐る聞いてみた。
少女は顔を輝かせて頷く。
まさか、ロスタートに娘がいただなんて・・・。
「母を知っているんですか?」
今までで一番うれしそうな声で少女が言う。
私は、ますますロスタートのことを話すわけにはいかなくなった。
「えぇ・・、人間達も十邪星のことは昔話でよく知ってるわ・・・。」
私は、当たり障りのない話をしてごまかした。
少女はもっと具体的な話を期待していたのだろう。
私の期待外れの言葉に心底がっかりしているようだ。
どうしよう・・・。
旅を続けていれば、
やがてロスタートを倒したフルトにも立ち寄ることになるかもしれない。
そのとき、ロスタートを倒した聖女様とでも呼ばれようものなら、
知られたくない真実が、彼女の耳に入ってしまうかもしれない。
フルトではガイツの石像が建つという話もしていたから、
私とガイツがロスタートを倒したことはフルトの街中に広まっていることだろう。
私は、その後レイリアとの話に身が入らず、
早々に切り上げて、ベッドに倒れ込んだ。
凄くまずいことになってしまった・・・。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
短編)どうぞ、勝手に滅んでください。
黑野羊
恋愛
二度も捨てられた聖女です。真実の愛を見つけたので、国は救いません。
あらすじ)
大陸中央にあるルオーゴ王国で、国を守る結界を維持してきた聖女ロザリア。
政略のため王太子と婚約していた彼女は、突如『真の聖女』が現れたとして婚約を破棄され、聖女の座を追われてしまう。さらに、代わりに婚姻しろと命じられた聖騎士からも拒絶され、実家にも見捨てられたロザリアは、『最果ての修道院』へと追放された。
けれど彼女はそこで、地位や栄光、贅沢などとはほど遠い、無条件に寄り添ってくれる『真実の愛』と穏やかな日々を手にいれる。
やがて聖女を失った王国は、崩壊へ向かっていき――。
ーーー
※カクヨム、なろうにも掲載しています
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
潮海璃月
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる