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7つの断章編
第16話
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レイリアが起きてくると、私達はツヴァートを出発した。
次の断章は北にあるようだ。
レイリア一人では馬に乗れないため、
私と同じ馬に乗せることになった。
前回と同じ山道を通ってバーズ山脈を越え、
再びドラジアへとやってきた。
ドラジアは復興が進んでおり、街は活気にあふれていた。
街のシンボルである大工房の煙突からは白い煙が立ち上り、
巨大な積乱雲のようだった。
「断章はここから更に北西に進んだところだね。」
ベアトリスがコンパスを覗き込む。
そのままの足で断章のもとへと向かおうかと思ったが、
レイリアが疲れていないかと心配になり、
私は彼女の顔を伺った。
馬での移動に慣れていないためか、
酷く疲れた顔をしていたので、一旦街で休憩をとることにした。
ルザーフの使い魔に先を越されてしまうかもしれないが、
一応、私達も既に2つの断章を持っている。
この断章が奪われたりしなければ、
ルザーフが大いなる力を手に入れることはないだろう。
そう思ったところで、
ルザーフが私達から断章を奪うために、
使者を放つことも予測しておかなければいけないと思った。
そこで、レイリアのことはリスバートに任せておいて、
私はベアトリスと二人で、街の人気の少ない公園で、
断章のことについて相談することにした。
ベアトリスが言うには、コンパスは台座の位置が分かるものであって、
断章そのものの位置を示しているわけではないらしい。
だから、台座から離れた断章は、コンパスでは位置を追うことができないらしいが、
断章自体が特殊な魔力を帯びているため、
強い魔力を持つものが断章そのものに近づけば、
気配程度は感じることができてしまうらしい。
そのため、ルザーフが世界中に使者を放ち、しらみつぶしに探せば、
私達が断章を所持していることはすぐにバレるかもしれないとのことだった。
ある程度断章を集めたら、
断章をバレないように保管しておく必要があるかもしれない。
「魔力を遮断するなら、銀が効果的だと聞いたことがある。」
ベアトリスの口から有効的な手段が語られるも、私は落胆した。
銀・・・。
銀の金庫のようなものがあれば、
バレずに保管できるかもしれないということだろうが、
銀はとても私のようなものが簡単に手に入れることができる代物ではない。
しかも、それで金庫を作る程の量となれば、
豪邸の一軒くらいは建つくらいの値段にはなるだろう。
「現実的ではないわね。」
私は諦めて別の手はないかと考えた。
「そういえば、この街でルザーフが私にくれた服についていたタリスマンは!?」
ドラジアの街が思い出させてくれたのか、私に名案が浮かんだ。
「だから、あれがその銀で出来たタリスマンなんだって。
それに、あれは身につけたものの魔力を抑えるものであって、
遮断するものとはちょっと違う。」
残念ながら、私の名案はベアトリスに即座に否定されてしまった。
「銀ってものは、そんなに手に入りにくいのかい?」
ベアトリスが不思議そうに私に尋ねる。
「普通手に入らないわよ。
とても豪華な装飾品に少量使われる程度で、
それですら大富豪とか王様くらいしか身に着けていないんだから。」
ならば、ルザーフはどうやって?私は言いながら疑問が湧いてきた。
「あのタリスマンはどうしたの?」
私はベアトリスに尋ね返した。
「銀なんて、ちょっと色仕掛けしたらたくさんもらえたよ。
あたしもあいつもそういうの得意だから。」
なるほど、そういうことか。
お金を持っている人間から騙し取ったり、奪ったりすれば、
タリスマンを作る程度の銀は確かに簡単に集まりそうだ。
しかし、私がいながらそういった行いをベアトリスに許すわけにはいかない。
しかも、ちまちま集めて金庫ができるころまでには相当時間がかかりそうだ。
大富豪や、王様の友達でもいればなぁ・・・!?。
そこで、ようやく私は気付いた。
ヨハンがいることに。
私は無理を承知でヨハンに書状を書いた。
邪悪な悪魔から世界を守るために、銀で出来た金庫が欲しいと。
例え王であろうと、
ヨハンの性格を考えると民から接収するということはないだろうし、
国の金に手を付けることもしないだろうけど、
ヨハンなら、きっと何とかしてくれると信じることにした。
次の断章は北にあるようだ。
レイリア一人では馬に乗れないため、
私と同じ馬に乗せることになった。
前回と同じ山道を通ってバーズ山脈を越え、
再びドラジアへとやってきた。
ドラジアは復興が進んでおり、街は活気にあふれていた。
街のシンボルである大工房の煙突からは白い煙が立ち上り、
巨大な積乱雲のようだった。
「断章はここから更に北西に進んだところだね。」
ベアトリスがコンパスを覗き込む。
そのままの足で断章のもとへと向かおうかと思ったが、
レイリアが疲れていないかと心配になり、
私は彼女の顔を伺った。
馬での移動に慣れていないためか、
酷く疲れた顔をしていたので、一旦街で休憩をとることにした。
ルザーフの使い魔に先を越されてしまうかもしれないが、
一応、私達も既に2つの断章を持っている。
この断章が奪われたりしなければ、
ルザーフが大いなる力を手に入れることはないだろう。
そう思ったところで、
ルザーフが私達から断章を奪うために、
使者を放つことも予測しておかなければいけないと思った。
そこで、レイリアのことはリスバートに任せておいて、
私はベアトリスと二人で、街の人気の少ない公園で、
断章のことについて相談することにした。
ベアトリスが言うには、コンパスは台座の位置が分かるものであって、
断章そのものの位置を示しているわけではないらしい。
だから、台座から離れた断章は、コンパスでは位置を追うことができないらしいが、
断章自体が特殊な魔力を帯びているため、
強い魔力を持つものが断章そのものに近づけば、
気配程度は感じることができてしまうらしい。
そのため、ルザーフが世界中に使者を放ち、しらみつぶしに探せば、
私達が断章を所持していることはすぐにバレるかもしれないとのことだった。
ある程度断章を集めたら、
断章をバレないように保管しておく必要があるかもしれない。
「魔力を遮断するなら、銀が効果的だと聞いたことがある。」
ベアトリスの口から有効的な手段が語られるも、私は落胆した。
銀・・・。
銀の金庫のようなものがあれば、
バレずに保管できるかもしれないということだろうが、
銀はとても私のようなものが簡単に手に入れることができる代物ではない。
しかも、それで金庫を作る程の量となれば、
豪邸の一軒くらいは建つくらいの値段にはなるだろう。
「現実的ではないわね。」
私は諦めて別の手はないかと考えた。
「そういえば、この街でルザーフが私にくれた服についていたタリスマンは!?」
ドラジアの街が思い出させてくれたのか、私に名案が浮かんだ。
「だから、あれがその銀で出来たタリスマンなんだって。
それに、あれは身につけたものの魔力を抑えるものであって、
遮断するものとはちょっと違う。」
残念ながら、私の名案はベアトリスに即座に否定されてしまった。
「銀ってものは、そんなに手に入りにくいのかい?」
ベアトリスが不思議そうに私に尋ねる。
「普通手に入らないわよ。
とても豪華な装飾品に少量使われる程度で、
それですら大富豪とか王様くらいしか身に着けていないんだから。」
ならば、ルザーフはどうやって?私は言いながら疑問が湧いてきた。
「あのタリスマンはどうしたの?」
私はベアトリスに尋ね返した。
「銀なんて、ちょっと色仕掛けしたらたくさんもらえたよ。
あたしもあいつもそういうの得意だから。」
なるほど、そういうことか。
お金を持っている人間から騙し取ったり、奪ったりすれば、
タリスマンを作る程度の銀は確かに簡単に集まりそうだ。
しかし、私がいながらそういった行いをベアトリスに許すわけにはいかない。
しかも、ちまちま集めて金庫ができるころまでには相当時間がかかりそうだ。
大富豪や、王様の友達でもいればなぁ・・・!?。
そこで、ようやく私は気付いた。
ヨハンがいることに。
私は無理を承知でヨハンに書状を書いた。
邪悪な悪魔から世界を守るために、銀で出来た金庫が欲しいと。
例え王であろうと、
ヨハンの性格を考えると民から接収するということはないだろうし、
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