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新しい世界
第29話
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「もう、諦めろ。すべては終わった。
あとは、俺とイヴで新しい世界を創る。それだけだ。」
ルザーフが私に歩み寄ってくる。
アリウスが、まだ諦めずにルザーフに立ち向かうが、
ウェナ様の力である薄緑色の光を纏った剣すらも素手で受け止め投げ飛ばす。
ディメイアが光を放っても、
ルザーフを守る防御壁によって、彼は一切のダメージを受けない。
ディメイアの力も、アリウスの剣も通用しない。ウェナ様の力もだ。
更に、私達の世界も破壊されてしまった。
私には、もう何の希望も残されていない。
ルザーフがだんだん私に近づいてくる。
だめだ、もう、本当に何も考えられない・・・。
ルザーフが倒れている私に手を差しのべる。
この手を取ってしまえば、敗北を認めることになるだろう。
いや、敗北して何が悪い?
もう、ベアトリスもいない。
レイリアだって、リスバートだって、
ヨハンだっていない。
私を聖女様と慕い、楽し気に話していた彼らも、その日々も。
違う・・・ここでもし仮にルザーフを倒したところで、帰るべき場所すらないのだ。
ルザーフと共に、新しい世界を創るよりほかに、何かできることはあるのだろうか?
ない。
私には、そうする以外の選択肢が思い浮かばなかった。
私は、ルザーフの差しのべた手に、右手を伸ばす。
私が聖女と呼ばれる元となった、ウェナ様の力を宿した右手。
ウェナ様・・ごめんなさい。
貴女の創った世界を守れなかった。
貴女が創った人々の笑顔を守れなかった。
あまつさえ、その人々を守るべき右手で、
差しのべられた悪魔の手を握ろうとしている。
私は、なんて無力なんだろう・・・。
もう少しで、ルザーフの手に届く。
新しい世界を創ることが、私にとっての罪滅ぼしになるのだろう・・・。
しかし、ルザーフの手に触れるか触れないかになった瞬間、
何かを忘れているような気がした。
少し前に感じたあの感覚だ。
何を忘れているのだろう・・・。
それは、たぶんルザーフに打ち勝つ力なんかではない。
そんな強大なものではない。
だけど、忘れちゃいけないものだったはずだ。
一体何?
「どうした?」
ルザーフが、直前で手を止めた私に問う。
ルザーフの顔を見ると、なんだか胸がざわざわする。
もちろん恋なんかじゃない。
忘れてはいけない何かがチラチラとよぎる様な、そんな感覚だ。
だけど、思い出せない。
もう、面倒だ。
考えるのを止めよう。
思い出すのを止めよう。
どうせルザーフには勝てやしないのだから。
私はルザーフの手に、右手を重ねた。
そして、ルザーフが私を引き上げ、立たせる。
アリウスも、ディメイアも、ただ私を見守っている。
仕方がない。ほかに選択肢がないのだから。
私達は、玉座に向かって歩く。
ルザーフと手を重ねている私にはわかる。
そこが、新しい世界の始まりの地になるのだ。
あとは、俺とイヴで新しい世界を創る。それだけだ。」
ルザーフが私に歩み寄ってくる。
アリウスが、まだ諦めずにルザーフに立ち向かうが、
ウェナ様の力である薄緑色の光を纏った剣すらも素手で受け止め投げ飛ばす。
ディメイアが光を放っても、
ルザーフを守る防御壁によって、彼は一切のダメージを受けない。
ディメイアの力も、アリウスの剣も通用しない。ウェナ様の力もだ。
更に、私達の世界も破壊されてしまった。
私には、もう何の希望も残されていない。
ルザーフがだんだん私に近づいてくる。
だめだ、もう、本当に何も考えられない・・・。
ルザーフが倒れている私に手を差しのべる。
この手を取ってしまえば、敗北を認めることになるだろう。
いや、敗北して何が悪い?
もう、ベアトリスもいない。
レイリアだって、リスバートだって、
ヨハンだっていない。
私を聖女様と慕い、楽し気に話していた彼らも、その日々も。
違う・・・ここでもし仮にルザーフを倒したところで、帰るべき場所すらないのだ。
ルザーフと共に、新しい世界を創るよりほかに、何かできることはあるのだろうか?
ない。
私には、そうする以外の選択肢が思い浮かばなかった。
私は、ルザーフの差しのべた手に、右手を伸ばす。
私が聖女と呼ばれる元となった、ウェナ様の力を宿した右手。
ウェナ様・・ごめんなさい。
貴女の創った世界を守れなかった。
貴女が創った人々の笑顔を守れなかった。
あまつさえ、その人々を守るべき右手で、
差しのべられた悪魔の手を握ろうとしている。
私は、なんて無力なんだろう・・・。
もう少しで、ルザーフの手に届く。
新しい世界を創ることが、私にとっての罪滅ぼしになるのだろう・・・。
しかし、ルザーフの手に触れるか触れないかになった瞬間、
何かを忘れているような気がした。
少し前に感じたあの感覚だ。
何を忘れているのだろう・・・。
それは、たぶんルザーフに打ち勝つ力なんかではない。
そんな強大なものではない。
だけど、忘れちゃいけないものだったはずだ。
一体何?
「どうした?」
ルザーフが、直前で手を止めた私に問う。
ルザーフの顔を見ると、なんだか胸がざわざわする。
もちろん恋なんかじゃない。
忘れてはいけない何かがチラチラとよぎる様な、そんな感覚だ。
だけど、思い出せない。
もう、面倒だ。
考えるのを止めよう。
思い出すのを止めよう。
どうせルザーフには勝てやしないのだから。
私はルザーフの手に、右手を重ねた。
そして、ルザーフが私を引き上げ、立たせる。
アリウスも、ディメイアも、ただ私を見守っている。
仕方がない。ほかに選択肢がないのだから。
私達は、玉座に向かって歩く。
ルザーフと手を重ねている私にはわかる。
そこが、新しい世界の始まりの地になるのだ。
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