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第一章 決起
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ふっと息を抜いた烏有は、書き上げたばかりの文を読み直し、筆をおいた。あとは墨が乾くのを待ち、押印して郵亭の受付に出すのみだ。
扉を叩く音がして、耳を澄ませば声がした。
「お茶をお持ち致しました」
「ああ」
短く答えれば、少女が茶と焼菓子を持って入ってきた。少女に茶代を支払えば、会釈をした彼女はニコリともせずに去っていった。
烏有がいるのは、書簡などを各所へ配送する郵亭の二階にある、書茶室と呼ばれる個室だった。蕪雑と約束をした翌日、府を造る旨を岐に住む知人へ伝えるために、甲柄に戻り、ここに入った。ここならば必要な道具はすべてそろっているし、それなりの金を払えば、内密に送付の手続きをおこなえる。
烏有は茶をすすり、宛名に目を落とす。そこには各地の府から届く報告書を管轄している、官僚の名前が書かれていた。ただの楽士がそんな相手に直接、文を送れるはずがない。しかし、それを可能にするものを、烏有は持っていた。
「僕からの文だと知ったら、どう思うかな」
ぽつりとこぼした烏有は、革袋から見事な細工の施された、翡翠の印を取り出した。墨の乾きを確認し、文を降りたたむと、宛名を記した包みに入れて、封をする。そこに、墨をたっぷりとつけた翡翠の印を押し当てて、差出人の署名に鶴楽と記した。
重労働を終えた者に似た息を吐き、烏有は小窓の外に視線を投げる。灰色の雲が空を覆っているからか、人通りは少ない。
「まさかこんなふうに、この印を使う日がくるなんて、思わなかったな」
印の墨を、備え付けの布で丁寧に拭って、革袋に入れる。これさえあれば、烏有は岐の太政官にも、直接に文を送ることができる。無用の長物だと思いつつ、持ち歩いていたものが役に立つ日がこようとは、夢にも思っていなかった。
烏有にこれを使わせたのは、蕪雑の純朴な願いだった。
この世は神に等しい申皇が治めている。その下に神との行儀を受け持つ神祇官と、地上の行政を受け持つ太政官が置かれていた。
岐を中心に人々は生きている。ゆえにそこは、中枢と呼ばれていた。各地に点在する豪族は、太政官から派遣された領主に管理される。それらの地は“府”と呼ばれ、そうでない場所は“国”と呼ばれた。“国”は申皇に認められていない土地とされ、中枢からの恩恵は受けられない。豪族らは“府”となりたいがために、各地を流浪し神事を行う下級の神祇官へ、領主をいただきたいと願い出る。あるいは”国”を見つけた神祇官が、それを上へと報告し、太政官から視察団が送られて、認定されれば“府”となった。
よって、よほどでなければ、国は必ず“府”と変わり、岐より派遣された領主が、中枢の常識を持っての統治を豪族に指導、監視をするため、どの地もおおかた、身分に関する意識は似通っていた。
「工夫や農夫が、人としての尊厳を奪われない国……か」
そんな国があると記されている書物があった。多くの者が住み働いているからこそ、国となる。生み出す力のある者を、統治する者は敬わなければならない。でなければ、なにも生み出せぬ統治者は、ただ渇いて朽ちるだけだろう。
それは異教の書物だった。本当に、そんな国があるのかと烏有は驚き、見てみたいと望んだ。だが、それを口に出すのは憚られた。それはつまり、申皇のなさり方を否定するものだからだ。申の一族は人として降りられた神の末裔であり、天上の神の御使いでもある。その威光をわずかでも傷つける発言が、できようはずもない。
民は神のために地上を豊かにするものであり、その神の意思を伝え支える官僚は、選ばれし者とされている。神祇官が神事のたびに歴史として、それらの教えを伝えることで、申皇の統べる土地のすべてに、生み出すものを最下級とする認識が定着していた。
烏有は蕪雑の「人を大切に扱う府」という言葉に惹かれた。そういう府がないわけではないが、烏有が書物に見た国のように、官僚よりも民が上とするものではない。官僚こそが、さまざまなものを作り生み出す民に生かされている、という意識を持った府は、どこにもなかった。
「蕪雑なら、そのような国を造れるかもしれない」
自ら頭目となったわけではなく、人々に慕われ、いつの間にか中心となっていた蕪雑なら、書物の国を現実のものとできるのではないか。
その気持ちが興国の提案となって、口をついて出てしまった。頭目となっても、自分よりも優れた者がいると意識している蕪雑が統治をすれば、世の常識がくつがえるのではないか。
烏有は呼び鈴を鳴らした。さきほど茶を運んできた少女が現れる。
「間違いなく届けてくれよ」
文とともに手間賃を渡すと、少女は頭を下げて去った。
書茶室で書かれた文を受け取るのは、文字の読めない少女と決まっている。どこの室内で書かれたものかがわからないよう、郵亭馬車が到着する日まで、ひとまとめにして保管される。どこの誰がどこ宛に文を書いたのか、警兵官が郵官を尋問しても漏れることはない。そのぶん値段は跳ね上がるが、烏有は届け先の官僚に支払いを求める、信用書面も添えていた。それを使える人間も、その存在を知っている者も、限られている。
烏有は腰に下げている横笛を、袋の上から撫でた。彼の商売道具には、こういう場所での優待と信用を受けるために使用する、身分証明となる印が刻まれている。
山中で蕪雑たちに襲われたとき、彼等がこの印の意味を知っていたなら、こんなふうにはなっていなかったろう。彼等は烏有から奪えるものが、わずかな金と横笛だけと知り、夜の山道は危ないからと、彼等のねぐらへ連れ帰った。
「まったく、不思議な連中だよ」
烏有はゆったりと茶と菓子を味わう。彼等は、菓子を口にしたことはないだろう。あったとしても、小麦粉を練って油で揚げたものに、蜜をかけた程度のものに違いない。
「自分が作り、生み出したものであるのに、その口に入れることなく命を終える者もいる」
それが常識となっている世の中が、烏有は不思議だった。
口に入れるよりも、売るほうが生活の糧となる。
調理などの加工を施す道具や技術を、有していない。
ほかにも、さまざまな理由があるだろう。なるほどそうかと、いったんは納得をするのだが、しばらくすると腑に落ちないものを感じてしまう。
烏有は焼菓子をしげしげとながめた。これの材料となるものを育てた者は、食べてみたいと思うだろうか。どうでもいいと、考えているのかもしれない。
「妙なことを気にすると、叔父上にもよく言われたな」
口辺に郷愁の笑みを漂わせた烏有は、菓子をかじった。ほろほろと口内で崩れるそれは、頭の芯がゆるむほどに甘かった。
扉を叩く音がして、耳を澄ませば声がした。
「お茶をお持ち致しました」
「ああ」
短く答えれば、少女が茶と焼菓子を持って入ってきた。少女に茶代を支払えば、会釈をした彼女はニコリともせずに去っていった。
烏有がいるのは、書簡などを各所へ配送する郵亭の二階にある、書茶室と呼ばれる個室だった。蕪雑と約束をした翌日、府を造る旨を岐に住む知人へ伝えるために、甲柄に戻り、ここに入った。ここならば必要な道具はすべてそろっているし、それなりの金を払えば、内密に送付の手続きをおこなえる。
烏有は茶をすすり、宛名に目を落とす。そこには各地の府から届く報告書を管轄している、官僚の名前が書かれていた。ただの楽士がそんな相手に直接、文を送れるはずがない。しかし、それを可能にするものを、烏有は持っていた。
「僕からの文だと知ったら、どう思うかな」
ぽつりとこぼした烏有は、革袋から見事な細工の施された、翡翠の印を取り出した。墨の乾きを確認し、文を降りたたむと、宛名を記した包みに入れて、封をする。そこに、墨をたっぷりとつけた翡翠の印を押し当てて、差出人の署名に鶴楽と記した。
重労働を終えた者に似た息を吐き、烏有は小窓の外に視線を投げる。灰色の雲が空を覆っているからか、人通りは少ない。
「まさかこんなふうに、この印を使う日がくるなんて、思わなかったな」
印の墨を、備え付けの布で丁寧に拭って、革袋に入れる。これさえあれば、烏有は岐の太政官にも、直接に文を送ることができる。無用の長物だと思いつつ、持ち歩いていたものが役に立つ日がこようとは、夢にも思っていなかった。
烏有にこれを使わせたのは、蕪雑の純朴な願いだった。
この世は神に等しい申皇が治めている。その下に神との行儀を受け持つ神祇官と、地上の行政を受け持つ太政官が置かれていた。
岐を中心に人々は生きている。ゆえにそこは、中枢と呼ばれていた。各地に点在する豪族は、太政官から派遣された領主に管理される。それらの地は“府”と呼ばれ、そうでない場所は“国”と呼ばれた。“国”は申皇に認められていない土地とされ、中枢からの恩恵は受けられない。豪族らは“府”となりたいがために、各地を流浪し神事を行う下級の神祇官へ、領主をいただきたいと願い出る。あるいは”国”を見つけた神祇官が、それを上へと報告し、太政官から視察団が送られて、認定されれば“府”となった。
よって、よほどでなければ、国は必ず“府”と変わり、岐より派遣された領主が、中枢の常識を持っての統治を豪族に指導、監視をするため、どの地もおおかた、身分に関する意識は似通っていた。
「工夫や農夫が、人としての尊厳を奪われない国……か」
そんな国があると記されている書物があった。多くの者が住み働いているからこそ、国となる。生み出す力のある者を、統治する者は敬わなければならない。でなければ、なにも生み出せぬ統治者は、ただ渇いて朽ちるだけだろう。
それは異教の書物だった。本当に、そんな国があるのかと烏有は驚き、見てみたいと望んだ。だが、それを口に出すのは憚られた。それはつまり、申皇のなさり方を否定するものだからだ。申の一族は人として降りられた神の末裔であり、天上の神の御使いでもある。その威光をわずかでも傷つける発言が、できようはずもない。
民は神のために地上を豊かにするものであり、その神の意思を伝え支える官僚は、選ばれし者とされている。神祇官が神事のたびに歴史として、それらの教えを伝えることで、申皇の統べる土地のすべてに、生み出すものを最下級とする認識が定着していた。
烏有は蕪雑の「人を大切に扱う府」という言葉に惹かれた。そういう府がないわけではないが、烏有が書物に見た国のように、官僚よりも民が上とするものではない。官僚こそが、さまざまなものを作り生み出す民に生かされている、という意識を持った府は、どこにもなかった。
「蕪雑なら、そのような国を造れるかもしれない」
自ら頭目となったわけではなく、人々に慕われ、いつの間にか中心となっていた蕪雑なら、書物の国を現実のものとできるのではないか。
その気持ちが興国の提案となって、口をついて出てしまった。頭目となっても、自分よりも優れた者がいると意識している蕪雑が統治をすれば、世の常識がくつがえるのではないか。
烏有は呼び鈴を鳴らした。さきほど茶を運んできた少女が現れる。
「間違いなく届けてくれよ」
文とともに手間賃を渡すと、少女は頭を下げて去った。
書茶室で書かれた文を受け取るのは、文字の読めない少女と決まっている。どこの室内で書かれたものかがわからないよう、郵亭馬車が到着する日まで、ひとまとめにして保管される。どこの誰がどこ宛に文を書いたのか、警兵官が郵官を尋問しても漏れることはない。そのぶん値段は跳ね上がるが、烏有は届け先の官僚に支払いを求める、信用書面も添えていた。それを使える人間も、その存在を知っている者も、限られている。
烏有は腰に下げている横笛を、袋の上から撫でた。彼の商売道具には、こういう場所での優待と信用を受けるために使用する、身分証明となる印が刻まれている。
山中で蕪雑たちに襲われたとき、彼等がこの印の意味を知っていたなら、こんなふうにはなっていなかったろう。彼等は烏有から奪えるものが、わずかな金と横笛だけと知り、夜の山道は危ないからと、彼等のねぐらへ連れ帰った。
「まったく、不思議な連中だよ」
烏有はゆったりと茶と菓子を味わう。彼等は、菓子を口にしたことはないだろう。あったとしても、小麦粉を練って油で揚げたものに、蜜をかけた程度のものに違いない。
「自分が作り、生み出したものであるのに、その口に入れることなく命を終える者もいる」
それが常識となっている世の中が、烏有は不思議だった。
口に入れるよりも、売るほうが生活の糧となる。
調理などの加工を施す道具や技術を、有していない。
ほかにも、さまざまな理由があるだろう。なるほどそうかと、いったんは納得をするのだが、しばらくすると腑に落ちないものを感じてしまう。
烏有は焼菓子をしげしげとながめた。これの材料となるものを育てた者は、食べてみたいと思うだろうか。どうでもいいと、考えているのかもしれない。
「妙なことを気にすると、叔父上にもよく言われたな」
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