凪の潮騒

水戸けい

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 じわじわと、甘い痺れがあふれ出て、体に広がっていく。もどかしいばかりの刺激に、激しいものを知っている欲の獣が身を震わせ、熱い息を吐き出した。

「ぁ、は――」

「伊佐……」

 じわじわと欲があぶられ、胎内からとろりと蜜が溢れ出す。じれったいほど執拗に、丁寧に、乳房を捏ねて頂を抓み、臍にまで舌を這わせる宗也の行為は、奪うような激しい熱の幸正ばかりを覚えている肌に辛く、もどかしい。もっと激しくと、意識とは別の部分が快楽を求め、熱を求め、蜜を溢れさせて下肢を濡らし、垂れた液がまた――初めて宗也と肌を重ねた時のように、尻の谷を伝った。

「ぁ、は――」

「伊佐……まるで、川のようだな」

「や、ぁ――見る、なぁ……」

 口ではそう言いながら、刺激欲しさに私は足を開く。求めるように赤く熟れた媚肉を見せる自分の浅ましさに、幻のようにはかない宗也の存在をしっかりと、この身を持って伝えたいという思いに、軽いめまいを覚えながら。

「ぁ、は――」

 つぷん、と指が埋められた。そこは、しとどに濡れた場所では無く、受け入れる場所では無い所――宗也が私と繋がった箇所――尻の奥にある孔だった。たっぷりと私の蜜をつけた宗也の指が、そこを淫肉に変えて蠕動させる。そこを刺激されるたびに蜜があふれ、そちらが熱くてたまらなくなる。胎内の奥が掻きまわされたいと叫び、体中を駆け巡り、肌をどろどろに溶かしていく。

「伊佐――すごいな……どこから、こんなに溢れてくるのか」

「ぃあっ、ひ、ぃ……ぁ、は、ぁあ――」

 もどかしすぎて苦しく、辛い。涙が滲み零れるのを拭う余裕も無く、私は髪を振り乱して本来の受け入れる場所を掻きまわしてほしいと、身をくねらせた。宗也は後孔ばかりを責めたてて、そこをほぐすために蜜を掬う時のみ媚肉に触れるだけで、そこを刺激しようとはしない。

「ぁ、はぁあ――ぅ、ううっ……」

 欲しいと、口に乗せることが出来ない私を宗也は無表情に――けれど息を荒くし、肌を朱に染めて乱し続ける。

「――っあ」

 ぐいと身を起され、背後から抱きしめられたかと思えば、後孔に熱く硬いものが押し当てられ、身構える前に突き上げられた。
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