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「そういうの、気にしなくてもいいって言ったのに」
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その声の平坦さに、恭平は息を呑む。
「あ、ああ」
「そっか」
憮然とした譲が、恭平の手を引いて歩き出す。それは嫉妬をしているように見えて、まさかそんなと思いながら譲の引くに任せて、恭平は足を動かした。
「譲、どこに」
言いさして、恭平は唇を引き結んだ。譲がためらうことなく一番近くのラブホテルに足を踏み入れ、受付の前に立つ。
「一泊、お願いします」
しっかりとした譲の声に、恭平は驚愕した。酔っぱらっているとはいえ、まさか譲が自分から入っていくとは思わなかった。
鍵を受け取った譲が、恭平の手を引いたままエレベーターに乗り込み、ボタンを押す。無言で階数を示すランプを見つめる強張った譲の横顔を、恭平は信じられない思いで見つめた。
目的の階に到着したエレベーターの扉が開ききる前に、譲が飛び出す。手を引かれるままに、恭平は歩いた。部屋の鍵を差し込み中に入り、淫具などが並ぶ棚があるのと、ガラス張りの浴室があるほかは、ビジネスホテルと変わらぬ室内を見回し、譲は恭平の手を離してへたり込み、深く長いため息をついた。
「譲?」
「ああ。やっぱ、こういうのは男がさ、なんていうのかな。いや、恭平は男なんだけど、ほら。俺が彼氏の役割だしさ」
眉を下げて力なく、照れくさそうにする譲に微笑んで、恭平は横にしゃがんだ。譲が自分からホテルに入ったのは、彼女である『薫』に先行されまいとしただけだったのかと、恭平は複雑な気持ちになった。譲は『恭平』とではなく『薫』とホテルに泊まるのだと、そう思って緊張をしていたのか。
「そういうの、気にしなくてもいいって言ったのに」
薫のままの口調で恭平が言えば
「恭平は、彼女が先にホテルに入って部屋を頼んだって経験、ないだろ」
ため息交じりに、少し苛立ったように譲が言う。
譲はただ気負いすぎていただけなのだと、わかっていたはずなのに落胆する自分に呆れつつ、恭平は室内にある小さな自動販売機に小銭を入れて、水を買った。
「譲」
「ありがとう」
差し出せば、大きなため息をついて受け取った譲が、喉を鳴らして一気に飲み干す。
「シャワー浴びたら、すっきりするぜ」
恭平は言葉づかいを戻した。
「あ、ああ」
「そっか」
憮然とした譲が、恭平の手を引いて歩き出す。それは嫉妬をしているように見えて、まさかそんなと思いながら譲の引くに任せて、恭平は足を動かした。
「譲、どこに」
言いさして、恭平は唇を引き結んだ。譲がためらうことなく一番近くのラブホテルに足を踏み入れ、受付の前に立つ。
「一泊、お願いします」
しっかりとした譲の声に、恭平は驚愕した。酔っぱらっているとはいえ、まさか譲が自分から入っていくとは思わなかった。
鍵を受け取った譲が、恭平の手を引いたままエレベーターに乗り込み、ボタンを押す。無言で階数を示すランプを見つめる強張った譲の横顔を、恭平は信じられない思いで見つめた。
目的の階に到着したエレベーターの扉が開ききる前に、譲が飛び出す。手を引かれるままに、恭平は歩いた。部屋の鍵を差し込み中に入り、淫具などが並ぶ棚があるのと、ガラス張りの浴室があるほかは、ビジネスホテルと変わらぬ室内を見回し、譲は恭平の手を離してへたり込み、深く長いため息をついた。
「譲?」
「ああ。やっぱ、こういうのは男がさ、なんていうのかな。いや、恭平は男なんだけど、ほら。俺が彼氏の役割だしさ」
眉を下げて力なく、照れくさそうにする譲に微笑んで、恭平は横にしゃがんだ。譲が自分からホテルに入ったのは、彼女である『薫』に先行されまいとしただけだったのかと、恭平は複雑な気持ちになった。譲は『恭平』とではなく『薫』とホテルに泊まるのだと、そう思って緊張をしていたのか。
「そういうの、気にしなくてもいいって言ったのに」
薫のままの口調で恭平が言えば
「恭平は、彼女が先にホテルに入って部屋を頼んだって経験、ないだろ」
ため息交じりに、少し苛立ったように譲が言う。
譲はただ気負いすぎていただけなのだと、わかっていたはずなのに落胆する自分に呆れつつ、恭平は室内にある小さな自動販売機に小銭を入れて、水を買った。
「譲」
「ありがとう」
差し出せば、大きなため息をついて受け取った譲が、喉を鳴らして一気に飲み干す。
「シャワー浴びたら、すっきりするぜ」
恭平は言葉づかいを戻した。
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※マシュマロ【https://bit.ly/3QSv9o7】
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