春に落ちる恋

まめ太郎

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 母さんは夕方、出勤して行った。
 俺と将仁さんは二人で、食事の後片付けをして、交代で風呂に入った。
 居間でテレビを見ながら、将仁さんは残りの日本酒をぼんやりと飲んでいる。
 俺はどうしてもその味が好きになれず、隣でりんごジュースを飲んでいた。

「そろそろ寝るか?」
 将仁さんの問いかけに頷いて、二階に上がった。
 六畳の部屋に布団を並べて敷いて、電気を消した。夏用のレースのカーテンが、少し開いた窓からの風で波打っている。
「そっちいってもいいですか?」
「だめだ」
 将仁さんがにべもなく断る。
「なんで?」
「鶴子さんが夜中帰ってきたらどうする」
「そんなことめったにないよ」
「めったになくとも可能性があるなら駄目だ。俺は息子の情事なんて、鶴子さんに見せたくない」 
 俺は下唇を噛むと、無理やり将仁さんの布団に潜り込んだ。
「おいっ」
 将仁さんが上半身を起こす。
「将仁さんはさ、俺としたくないの?俺はしたいのに」
「そんなこと言ってねえだろ」
 将仁さんの声が急に小さくなる。
「将仁さんが本社に行ったら当分忙しくて、こうやって一緒に寝る機会も減るだろうし。だから今のうち、たくさん将仁さんに触りたいし、触られたい。そう思うのは駄目なこと?」
「春……」
 将仁さんは困り果てたという表情で俺を見る。
 俺は決意すると、いきなり将仁さんのパジャマの下とパンツを降ろした。
「何すん…」
「良かった。将仁さんも勃ってる」
 そう指摘すると、将仁さんの顔が薄暗闇でも分かるくらい赤らんだ。
 腹に付くように反ったたくましい男根は太い血管を幾筋も浮かび上がらせていた。
 俺の視線を受け、先端からはとろりと蜜が滴り、血管の上を滑り落ちる。
 重ったるげな双珠は白濁を貯め込み、固く、持ち上がっていた。俺はその袋を手に持ち、軽く揺すった。
「これ、きつくない?」
 そう聞きながら、下唇をぺろりと舐めた。
 将仁さんがはあと息をつき、俺に覆いかぶさる。
「声我慢しろよ」
 そう言われて、俺はうっとりと微笑んだ。
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