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46 いざ、修学旅行へ!!

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▫︎◇▫︎

 遂に、みんなに打ち上げで『行かない』と言って怒られた修学旅行の日がやってきた。心菜は朝から心臓がバクバクと脈打って真っ青な顔で震え上がっていた。

「うぷっ、」
「あーあー、ここな、ちゃんと酔い止め飲んだの?」
「の、飲んだ………、うっぷ、」
(き、気持ち悪すぎる………)

 車酔いが酷い心菜は、バスの中で死んでいたのだ。

「………久遠にとって、旅行って天敵なんだな」
「………………そうなんだよね………。ここなって車酔いが酷いし、方向音痴だからねー………。プラス、頭が良くて気が効くからって理由で班決めでは必ずリーダーになっちゃうし、本当に、毎度酷い目に遭うんだよね………。今回くらいは、幸せな旅行になったらいいんだけれど………」

 優奈の優しい言葉に、心菜はじーんと瞳を潤ませた。

「ゆーなちゃんっ、………うっぷ、うえぇー、」
「あわわぁ!!は、吐かないでよね!?」
「………ぜ、善処する………………、うぅー、」

 心菜は窓の外を見つめながら目を閉じて、そして真っ青な顔でバスが早く目的地に着くことを望んだ。

(は、吐きそう………)

 不穏なことを考えていたことは、優奈にしばかれてしまうから、心菜だけの秘密だ。

▫︎◇▫︎

 6時間後、心菜たち学生は無事に第1の旅行地、宮島に行くために通る港に到着した。

「ここなー、起きてー。着いたよー」

 ゆさゆさと揺さぶられ、心菜はゆっくりと瞼を上げた。気分はすこぶる悪く、もう身体を起こすことすら憂鬱だ。心菜はイヤイヤと首を振って、抱き込んでいたリュックに頭を突っ込んで、もう少しだけ寝たいと抵抗を試みる。

「ここなー、修学旅行、行かないの?」
「しゅうがく、りょこう?」

 心菜はふんわりと青い顔を上げて、そしてぼーっとあたりを見回した。

「おはよう、ここな」
「おはよう、寝坊助久遠」
「!?」
(た、立花!?)

 心菜はガバッと起き上がり、目を見開いて目をパチパチとさせた。

(うぅっ、き、気持ち悪い)
「あぁー、ほら、そんなに急いで起き上がるから………。こらっ、立花。いつまで乙女の寝顔を拝んでるわけ?」
「あ、すまん」

 心菜は赤くなっているであろう顔をリュックに埋め、うぅーっと唸った。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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