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61 期末テスト

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▫︎◇▫︎

 数日後、期末テストに向けて心菜たちは図書館にてお勉強会を開いていた。メインでしごかれるのは、成績がやばい優奈と有栖川。心菜は英語をメインで教え、立花は数学、新谷は歴史や地理、門川はオールラウンダーだ。ちなみに、勉強が得意組全員の1番の得意科目はダントツ数学だ。休み時間に各々が難しい問題を持ってきては全員でよく睨めっこをしている。

「うがああああぁぁぁぁ!!分からん!!控えめに言って分からん!!」

 雄叫びを上げた有栖川に、周囲からの絶対零度の視線が刺さる。みんな必死になってお勉強している中で雄叫びを上げてしまったのだから、当然の反応だろう。有栖川は新谷からぽこぽこと軽く頭を投げられ、頭を下げさせられていた。心菜はそんな風景を平和だなー、と眺めながら、テスト範囲のテキストにサラサラと解答を書き込んでいく。

「うえ、久遠早くない?」
「………丸つけしてないから」
「うわっ、それ後から大変なやつじゃん」
「そうとも言う」

 それでもなお一切丸つけをせずに突っ切る心菜は、存外ずぶといのかもしれない。

「で?ゆーなちゃんはどこまでいったの?」
「2、2ページくらい?」

 焦った表情でテキストを隠しながら言う優奈に、心菜はほとほと呆れた表情を向けて満面の笑みで首を傾げた。優奈はあははと頬を引き攣らせる。

「1時間もお勉強会してたのに?」
「て、てへ?」
「可愛くないから」

 これ見よがしにため息をついた心菜に、優奈はごんと額を机にぶつけながらもういやー!!と突っ伏した。

「………テスト終わったら秘蔵の漫画10冊貸してあげる」
「まじ!?」
「まじ。イラスト集込みで。結構値の張るやつだよ~。………だから頑張ろう?」
「うん!!」

 カリカリというより、ガリガリと勉強を再開した優奈を見た心菜は、苦笑した後にまた自分のお勉強を再開した。心菜は帰ってから読むネット漫画やネット小説のことを考えながら、家に帰って勉強をしなくてもいいように必死になって、テキストに向けて手を動かすのだった。

(漫画、何かそうかな………)

 ちなみに、テストは皆無事に赤点なしで通過し、心菜は立花に数学の点を負けてムッキー!!となったのだった。得意科目で負けることほど悔しいものはないことを学んだ心菜なのだった。

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読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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