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63 通知表
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『通知表』、それは全国の子供が長期休みに入る前に抱えるもっとも嫌なことベスト3に入る、地獄の評価シートだ。
そして、心菜は通知表を手に、心の中で大きな悲鳴をあげていた。
(ぎゃああああぁぁぁぁぁ!!)
5段階評価中で3の評価のものがあったのだ。5教科、数学・国語・英語・理科・社会は全て5で、体育が5、技術・家庭科が5、美術が4、そして地獄の3は音楽だ。
心菜は音楽のことがずっと苦手だった。特に歌や楽譜の暗記、作者の成り立ちが苦手なのだ。中学に入ってから、心菜は音楽を必死に頑張り、どうにかこうにか、4と5を彷徨っていた。だが、ここにきて初めて3を取ってしまったのだ。
(やばい!やばいやばいやばいやばい、やばい!!)
美術も、心菜は初めて4を取ってしまった。なんという屈辱だろうか。心菜はぐっとくちびるを噛み締めて、プルプル震える手で通知表をぐしゃっとしかけた。
「ん?ここなどうしたん?」
「………………ゆーなちゃん………、うわーん!!音楽教えてー!!」
「ん、無理。私、音楽晩年2だから」
ブイッとピースサインを作った優奈に、心菜は頬を引き攣らせた。そしてガクッと項垂れた。誰も頼れないと悟ったのだ。
「………あー、ここな?立花に教わったら?あいつ、小学校の頃から金管、吹奏楽やってたみたいだから、音楽得意だって聞いたことがあるよ?」
「………マジ?」
ばっと顔を上げた心菜に、優奈は思いっきり苦笑した。そんなことも知らなかったのかと言いたげな表情に、心菜はむうっとくちびるを尖らせる。
(私、2次元の人間になんて興味ないし)
心菜は人間そのものに興味がない。クラスメイトの名前を1年間で全員覚えられたらすごいね!!というレベルで、毎年誰とも関わりを持たないのだ。
(だって、関わってもいいことないし)
小学校の頃に面倒くさいめにあってきた心菜は、ほうっとため息をついた後に、優奈との会話に再び集中した。
「マジマジ」
「よし、教わってこよう」
がこっと椅子から立ち上がった心菜は、拳を握りしめた。成績を上げるためならば、例え数学で1度敗北を経験させられ、ムカつく相手でも相手を下げる心菜なのである。
「いってらー、」
「………ゆーなちゃんもだよ?」
*******************
読んでいただきありがとうございます😊😊😊
『通知表』、それは全国の子供が長期休みに入る前に抱えるもっとも嫌なことベスト3に入る、地獄の評価シートだ。
そして、心菜は通知表を手に、心の中で大きな悲鳴をあげていた。
(ぎゃああああぁぁぁぁぁ!!)
5段階評価中で3の評価のものがあったのだ。5教科、数学・国語・英語・理科・社会は全て5で、体育が5、技術・家庭科が5、美術が4、そして地獄の3は音楽だ。
心菜は音楽のことがずっと苦手だった。特に歌や楽譜の暗記、作者の成り立ちが苦手なのだ。中学に入ってから、心菜は音楽を必死に頑張り、どうにかこうにか、4と5を彷徨っていた。だが、ここにきて初めて3を取ってしまったのだ。
(やばい!やばいやばいやばいやばい、やばい!!)
美術も、心菜は初めて4を取ってしまった。なんという屈辱だろうか。心菜はぐっとくちびるを噛み締めて、プルプル震える手で通知表をぐしゃっとしかけた。
「ん?ここなどうしたん?」
「………………ゆーなちゃん………、うわーん!!音楽教えてー!!」
「ん、無理。私、音楽晩年2だから」
ブイッとピースサインを作った優奈に、心菜は頬を引き攣らせた。そしてガクッと項垂れた。誰も頼れないと悟ったのだ。
「………あー、ここな?立花に教わったら?あいつ、小学校の頃から金管、吹奏楽やってたみたいだから、音楽得意だって聞いたことがあるよ?」
「………マジ?」
ばっと顔を上げた心菜に、優奈は思いっきり苦笑した。そんなことも知らなかったのかと言いたげな表情に、心菜はむうっとくちびるを尖らせる。
(私、2次元の人間になんて興味ないし)
心菜は人間そのものに興味がない。クラスメイトの名前を1年間で全員覚えられたらすごいね!!というレベルで、毎年誰とも関わりを持たないのだ。
(だって、関わってもいいことないし)
小学校の頃に面倒くさいめにあってきた心菜は、ほうっとため息をついた後に、優奈との会話に再び集中した。
「マジマジ」
「よし、教わってこよう」
がこっと椅子から立ち上がった心菜は、拳を握りしめた。成績を上げるためならば、例え数学で1度敗北を経験させられ、ムカつく相手でも相手を下げる心菜なのである。
「いってらー、」
「………ゆーなちゃんもだよ?」
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読んでいただきありがとうございます😊😊😊
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