小さな別れは、淡く儚い恋を呼ぶ

桐生桜月姫

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129 食べ歩き

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 わくわくとした気分で回るのは、楽しい雰囲気の子どもらしい飲食店と、景品有りの運勝負っぽいミニゲーム。どれもこれも目が行ってしまい、心菜はわくわくと変な方向を向いてしまう。そして、変な方向に足を向けてしまう。

「あっ、これ美味しそう!!」

 心菜の手には既にわたあめとチョコバナナ、そしてソフトクリームが握られている。

「ふふんふふ~ん♪」
「………まだ食べるのか………………」

 横に付き合わされている立花の手には、心菜の半分だけ食べたたこ焼きにお好み焼き、バターコーンが握られている。

「………半分って、俺全部食べられるのか………………?」

 ふるふると身体を震わせながら、立花は苦しいお腹でどんどん胃の中に校内にある飲食店で買ったものを詰め込んでいく。
 心菜はそんな彼のことを一瞥もせずに、焼きそばを購入した。

「ふふふっ、美味しそう………!!」
「おいおい………っ!!まだ食うのかよ!?」

 心菜は焼きそばを半分全て啜ると、彼にぽいっと手渡した。

「次は甘いものが欲しいな………」
「………甘いものは全部自分で食えよ?」
「わかってるって。というか、渡しているのは器を半分に分けてもらうことができるものだけじゃない。口つけたものなんて、渡すわけないでしょう?」

 心菜はそう言うと、カフェラテを購入する。

「………フロートが欲しかったな~」
「無茶を言うな。無茶を。つーか、ソフトクリームがあったことすら、いろいろおかしいんだぞ!?」
「はいはい」

 ーーーちゅー、

 お口の中に、クリーミーな牛乳と甘みが強いコーヒーの味が一気に広がる。

「………もうちょっと甘さ控えめがよかった」

 そう言いながら全部を一気に飲み切った心菜に、立花は冷たい目を向ける。

「甘いものが欲しいつったのはお前だろ………。つーか、フロートが良かったんじゃないのか!?」
「ここまで甘かったら、フロートはかえって美味しくなくなるわ。それどころか、私基準で言ったら、コーヒーがもうちょっとだけ多い方が好みね」
「こだわりが多い………!!」
「ふふふっ!!」

 心菜は楽しげに笑って、赤みの差した頬でころころと微笑んだ。

「ゆーなちゃんとも食べ歩きしたいな~!!」
「………久遠、お前なんかおかしいぞ………?」

 立花の言葉にも我関せず。心菜はルンルンとした足取りで、今度はクレープを購入し始めた。

********************

読んでいただきありがとうございます😊😊😊

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