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132 保健室へ

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「違う」
「じゃあ、お前はなにが言いたいんだ?大事な大事な幼馴染とはいえ、色恋まで関わるっつーのは、正直に言ってストーカーじみてんぞ?」
「………………。分からないならいい。あんたなんかに、ここなを任せないから」
「はいはい。そーですか」

 立花はふっと笑って、とんとんと歩みを進める。生徒用の道には指定されていない所に出たが、保健室への道のりには人がいない。みんなが楽しんでいる文化祭の最中なのだから、当然の事柄だろう。この日ばかりは、保健室大好きなサボり魔も学校行事に参加しているらしい。

 ーーーコンコンコン、

「失礼します。3年2組の立花です。体調不良の子を連れてきました」
「失礼します、同じく3年2組の高梨です。付き添ってきました」
「はいは~い」

 爽やかで優しい印象の穏やかな保健室の先生は、2人の呼びかけに応じてふんわりと笑いながら現れた。

「あらあら、お熱が出ちゃったの?」
「はい。休ませてあげても構いませんか?」
「いいわよ~。えーっと、………」

 優奈の方を指差しながら首を傾げた保健室の先生に、優奈は名札を指差しながら普段とは違って穏やかな女の子らしく話し始める。

「久遠さんの幼馴染の高梨です」
「あ、そうそう。高梨さん。高梨さん、久遠さんのお熱だけ測らせておいてくれる?」
「分かりました」
「はいこれ、体温計」

 おっとりとした仕草で体温計を取り出した保健室の先生は、優奈に体温計を手渡して保健室の奥にあるベッドのベッドメイキングを開始した。

 ーーーぴぴぴっ、

「39,2度です」
「あらまあ、相当高いわね~。お母さまにお迎えに来てもらった方がいいかしらぁ~」

 先生はそう言いながら、優奈に心菜をベッドまで連れてくるように促した。相も変わらずのんびりとした雰囲気の先生に苦笑した優奈は、心菜をベッドまでエスコートしてから、制服の首元を緩めた。ハーフアップにしているせいで寝づらそうであったために、1回起こしてから髪ゴムも外す。
 そして、ぜーぜーと熱い吐息をこぼす心菜の額に手を置いて、ゆっくりと話しかけた。

「それじゃあここな、夕方に迎えに来るね」

 眠っている心菜からの返事はない。けれど、優奈は満足したかのこくんと頷いて保健室の先生の目の前に立った。

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読んでいただきありがとうございます😊😭😭

変わらずストックがないため、更新がやばいです。
更新がない日があったら、『あぁ、作者は書けなかったのだな』と思ってください。

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