【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫

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46 要らない商会

「では、愚かな兄上でよろしければ、お渡しするよ。塔に閉じ込めるのにもお金がかかるからね。」

 レイナードはひょいっと肩をすくめた。

「感謝いたしますわ。有効に活用させていただきますわね。」
「あぁ。………一国の王子を相手にしてこき使うと言えるご令嬢は、世界中探しても君くらいだろうね。」
「お褒めに預かり光栄ですわ。」

 メアリーは美しい微笑みを浮かべて扇子をぱらりと開いた。
 指先にまで気を使われた美しい動きだった。

「ねぇ、コレット様、メアリー様とお呼びしてもいいですか?」
「……えぇ、構いませんわ。私もキャサリン様とお呼びしても構いませんか?」
「えぇ!!私、とっても嬉しいわ!!」

 キラッキラとした笑みを浮かべたキャサリンにメアリーは小さく威嚇したが、キャサリンには抵抗できない子猫が怯えて震えながら毛を逆立てているようにしか見えなかった。

「よかったね、キャサリン。」
「えぇ!!私、とっても嬉しいわ!!」

 レイナードとキャサリンの会話をどこか遠くの世界のことのように見ていたメアリーは、ふと思いついたことをギルバートに質問した。

「ねぇギル、この国の王族が贔屓にしている商会はどこなの?」
「………現王妃、君の言う馬鹿クソゴミ屑虫野郎の母親の実家だよ。」
「そう、商会名は?」
「グロッサム商会。」

 ギルバートの言葉にメアリーは小さく口の端を上げ、悪い笑みを浮かべた。

「ふん、弱小の威張り商会ね。」
「潰すのかい?」
「えぇ、この機会に潰すわ。」
「それは楽しそうだ。」
「やることは何1つとしてないのに?」
「それでもあのクソババァの実家が潰れるのは楽しそうじゃないか!!」
「王妃のことが嫌いなのね。」
「あぁ、嫌いだよ。」

 ギルバートもメアリーと似たような悪い笑みを浮かべ、悪い男女は獲物を見つけた猛獣のような視線を、息子の失脚によって打ちひしがれている王妃に向けた。

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