婚約破棄は致しません。ただ、あなたを主語から外しただけです』

「婚約破棄? いいえ、致しませんわ」

王太子セドリックとの婚約を解消された公爵令嬢レティシア。
だが彼女は、泣きも喚きも、復讐も選ばなかった。

ただ、冷静に状況を分析しただけ。

財政は揺らぎ、外交は不安定。
感情で動く王太子では、国家は持たない。

ならば――
市場に問い、議会に問い、制度に問えばいい。

「私は感情では裁きません。制度で処理いたします」

彼女は誰も断罪しない。
追放もしない。
貶めもしない。

ただ、国家が最適解を選ぶよう整えただけ。

その結果――
王太子は否定されることもなく、
糾弾されることもなく、
静かに“主語”から外されていく。

教科書の一行に圧縮され、
肖像は側壁へ移され、
記念碑に名は刻まれず、
そして歴史は彼の時代に名前を与えない。

これは復讐の物語ではない。

国家が合理的に判断しただけの物語。

最強のざまぁとは、
相手を傷つけることではない。

あなたがいなくても、
世界が完璧に回ると証明すること。

冷静で優雅で、そして残酷な、
“制度型ざまぁ”開幕。

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