《完》ようこそ、願い叶える『あやかし書堂』へ

桐生桜月姫

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「ふふふ、ありがとう。」

 雅楽はきらきらスマイル継続でにこっと笑った。

「はぁー、そなたは存外扱い易い類の二ン、……なのか?」

 揺尾はぐっと不自然に言葉を区切ったあと、先ほどまでは“”と読んでいたところに“”という言葉をあてがった。

「苦しそうに言い換えなくても“ニンゲン”で良いのに………。私、悪意や害意には慣れているつもりよ?」

 雅楽はキョトンとした無表情で真っ直ぐと揺尾を見やった。

「……そなたは我の知る“ニンゲン”とはどこか違う。だから、そなたを“ニンゲン”と形容してはいけない気がした。ただの自己満足、それだけだ。だから、そなたが気にする要素はそもそも存在しない。」

「そう……。じゃあ、あなたの好きにすれば良いわ。」

「……普通そこは“ありがとう”ではないのか?」

「私にお礼を言う必要性があるかしら?」

「……そなたは本当にニンゲンか!?」

 雅楽は素っ頓狂な悲鳴をあげる揺尾に絶対零度な目を向けました。

「……貴方の人間に対するその偏見は何なのかしら。はぁー、ひとまず、貴方の思う人間について教えてくれるかしら?」

 揺尾は顰めっ面をしながら指折りニンゲンの偏見を述べた。

「・自分勝手。
 ・表では愛想笑いで、裏、本性は醜い。
 ・相手のご機嫌を取ろうと必死。
 ・自分の良いように物事を受け取る。
 ・脆い、すぐに壊れる
 ・思い通りにいかないと狂う。
 ……うむ、これぐらいだな。これが長い間ニンゲンと関わってきた我の思うニンゲンだ。」

「……偏見まっしぐららでどこから突っ込めばいいのか分からないわね。うん、その考えはひとまずぜーんぶ捨てなさい。」

「そんなに酷いか!?」

「えぇ。」

 雅楽は至極当然そうにあっさりと頷いた。
 そして腕を組みながら横目で揺尾が動揺している様子を眺めた。

「人間も妖怪もののけと同じで全員が同じ生き物ではないわ。1人1人にそれぞれの意思と感情と個性があり、育った環境によって考え方も変わる。全く同じ人間なんて1人も存在しない。もう1度作り出そうとして作り出せるような存在ではないの、1度死んだらそれまでなのよ。」

「……そうだな。妖怪も何らかの拍子に消えてしまえばそれまでだ。2度と戻ってこない。いくら懇願しようとも誰が懇願しようとも、決して消えて、……亡くなってしまった妖怪が隔離世かくりよに戻ってくることはない。決してありえない。」

 揺尾の声音は自分に言い聞かせているかのようだった。

*******************

読んでいただきありがとうございます♪♪♪

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