わたし達のストーリー

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佐々木 朋美(ささき ともみ)編

#3 頑張るお母さん

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今日から直人は保育園。

朝6:00に起きて大輔と私のお弁当作り。

昨夜のおかずのハンバーグと甘い卵焼きを焼いて、あとは冷食を詰めて最後にミニトマトを添えて完成。

作り終わった頃に大輔の支度が終わるのでそのまま弁当袋に詰めて手渡しする。

青色でストライプ柄の少しお高い良いスーツ。
髪型はオールバック風の出来る社会人って感じ。
今日もカッコいい。



「それじゃ仕事に行ってくるよ。直人のやつ、昨日行きたくないって言ってたから泣きじゃくるかもしれないからうまく頼むよ」

「はーい、わかったわよ。気を付けて行ってらっしゃい」

「行ってきます」



チュッ。



行ってきますのキスを交わし大輔は仕事へ向かった。

現在時刻は6時40分。

そろそろ直人を起こさないと。



「直人、起きなさい。朝だよー」

「うあ…おはよう…」

「今日何の日か覚えてる??」

「んー…ほいくえん…」

「そうよー今日は直人の大事な日。ほら、起きて」

「…はーい」



嫌そうな顔をしてる。寝癖を逆立てながら。

そのままリビングやってきたので、お洋服を渡して着替えてもらう。

私もそろそろ時間が無くなってきたので着替えて化粧をします。



「直人~寝癖がボンバヘッドだよ」

「え、ぼんばーまんになってる~??なおしてくる~!」

「足下ちゃんとみてよー」

「はーい!…うあぁ!」

「だから見てねって言ったでしょ」



足下の自分の鞄につまづいた。

顔から転んだのに声に出しては泣かない強い子。

目元には一粒の涙。



「イテテ…ねぐせなおしてくる~」

「気を付けてね」

「うん」



直人は右の頬をさすりながら洗面所へ向かって行った。

その間に私は荷物を詰める。

あ、着替えと化粧は勿論もう済ませてますよっ。



準備が終わった頃に直人が戻ってきた。

現在時刻は7時20分。そろそろ出なくては。



「さあ、もう時間だから出るよー」

「はーい」



鞄を背負って、直人と家を出る。

扉を開けると日差しが差し込んできた。

直人も手で光を遮る。

そのまま自転車置場まで歩いていく。


「ママ、眩しいね」

「そうだね。さ、直人乗るよっ」



自転車の後ろに乗せ、私も跨がる。

そのまま砂利道を前進していく。

舗装されていない道路、ガタガタ揺れ、直人は変な声を出している。



「あわわわわわわ」

「扇風機に声を出してる時みたいで面白いね」

「ね~。ママもやってみて~」

「あわわわわわわっ」

「あはは、おもしろ~い!」



直人はどうやら気に入ったみたい。
これなら毎日保育園に通っても大丈夫そう。



ーあれから舗装された道路に辿り着き、走り続け

現在時刻は8時20分。

ようやく保育園に着いた。

直人を自転車から降ろし保育園の入り口を通る。



「おはようございます、園長の西園寺 沙奈江(さいおんじ さなえ)と申します。遠い所からご苦労様です。」

「おはようございます。本日から直人がお世話になります。よろしくお願いします」



園内に入ると園長先生がいらっしゃった。

直人は不安げな顔で私を見上げ、服の裾を引っ張る。



「では、こちらでどうぞ。みーんなこっちで遊んでますよ」



靴を脱いで中に進むと広いホールにそこには15人程の子供達がいる。

そこには青野 史美子(あおの ふみこ)先生と書かれたプレートを付けている先生がいた。初心者マークも付いている。

私は年長さんの先生が誰なのか尋ねてみた。



「あの…園長先生、年長さんの先生は誰なんでしょうか」

「ああ、伝え忘れてましたね。あちらの方ですよ」



指を指す先に2人の先生がいる。先程の先生と30代後半くらいの少し強面の優しそうな先生。



「奥の先生でしょうか?」

「あちらの先生は4歳児を担当しております工藤 菫(くどう すみれ)先生です」



どうやら新人の先生が年長さんを担当しているようです。

少し不安です。

しかし、私の時間がギリギリになってきたので先生の元へ向かい会釈し、軽く挨拶を交わしました。



「先生のいうことしっかり聞いて良い子にしてるのよ」



よろしくお願い致します。と頭を下げ、直人に手を振り背を向ける。

すると直人が珍しく泣いた。



「うっ…う…うぇーーん!!」



私はあえて振り向かず前へ進んだ。

直人、あなたは強くなるのよ。ここで泣いてちゃ強くなれないわよ。

心でそう呟きながら保育園を出た。



自転車に乗り職場に向かう途中、遊具の小さな公園がある。

そこには青いスーツを着た男性がベンチに座って俯いている。

どうしたんでしょう、と心配になったが私は時間がないのでそのまま職場へ向かった。



現在時刻は8時50分。

仕事が始まる10分前。急いで降りて従業員入り口へ向かう。

ちなみに仕事内容はスーパーのレジ打ちです。

お家の近くではないスーパーなので知り合いに会うことはないでしょう。

入り口で仕事用の靴に履き替えエプロンをし、ネームプレートを付ける。

事務室に入り軽く挨拶をする。



「おはようございます。本日から働かせて頂きます、佐々木 朋美(ささき ともみ)と申します。よろしくお願い致します」

「おはよう。今日から色々覚えることがあって大変だろうけど頑張っていきましょう!」

「はい、よろしくお願い致します!」



挨拶を済ませて出勤の打刻を押しに向かう。

そこでふと思い出す。

あの公園で見た後ろ姿どこかで見たことあるような…。

頭の中にモヤモヤを残しながら私を高校生ぶりのアルバイトが始まったのだった。


アルパカスーパー北沢 従業員
佐々木朋美
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