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第一章・美麺を制する者、世界を制す
アスワドという国
しおりを挟むこの北の大地は寒冷地なので食材が育ちにくいが、寒冷地ならではの食材というものがあり、それが世界中で親しまれている。
もともと北は大地が広いので、農耕や狩猟などに向いているが、元々この地は狩猟を主とする人狼の民の地。農耕は盛んではなかった。
炭鉱も我が国の重要な産業のひとつである。山脈が多いから、鉱山も多い。石炭がよく取れる。
ただ、その分、火山が多いのも難点だが。
農業は稲作を中心とする大規模経営がよく行われる。特産品は主にじゃがいも、麦類、豆類、てんさい、飼料作物の牧草やデントコーンと呼ばれるとうもろこしの一種が盛況している。じゃがいもは寒冷地に適した食材であるし、あずきやインゲンなどの豆類は商品として非常に優れている。たまねぎやアスパラガス、メロンなども多産である。
稲作は平野部が主であるが、北に近い地域ほど冷害を受けやすい。
畜産は、乳用牛が盛んである。世界中の生乳の生産量の40パーセントを占めている。血の代わりに乳を渡しているといっても、過言ではない。
漁業も盛んである。ニシンや鮭、イカなどが主流である。
フェニックスヌードルの開発により、フェニックスヌードルも特産品になりつつある。特産品のバターなどと合わせた商品が売られている。
現在の諸問題は、人間の住人が少なすぎること。いまだ吸血鬼に血を略奪されるという見解があるからか。
また、道路交通の便が未だ不備であるということ。冬になると見動きが取りづらいということ。血液不足。あとは、西との境目にある島・ハーファが、カエルレウスの領土なのか、それともアスワドの領土なのかいまいち判断がつかない、というのが目下の悩みか。一応全島の60パーセントの住人をアスワドが占めているが、カエルレウスも重要な海域があるため、断固として首を縦に振らない。カエルレウスも漁業が主流武器だからな。どこまでの海域を我が国所属とするかも、目下討論中だ。
火曜日。アデリナはカルメンとグラシエラと共にじゃがいも畑の視察をしていた。じゃがいもには毒があるが、栄養価が高い。加工されて栄養価が殆どなくなっているものの、フェニックスヌードルにも入れられているくらいだ。もともとじゃがいもは南国・プルプルンが原産地だが、寒冷地での育成に向いている。百年程前に私が北国に導入した。
じゃがいもにもとうや、メークイン、インカのめざめなど様々な種類があるが、やはりメークインが一番主流の商品だろうか。
「とりあえず、他の土地を略奪する事なく、国を豊かにする方法を探さねばな」
俺は地平線をみながら言った。
「古き昔には土地の狭い国でも、豊かで平和だった国もありました。まあ、大戦でその国も潰れてしまいましたが…」
グラシエラが難解な本片手に言う。
「よりよい野菜を育てる為の研究は欠かせん」
俺は籠の中のじゃがいもを掴んだ。
「ふむ。見たことがないな…。このじゃがいもはなんという種類だ」
俺は農民のひとりに聞いた。
「シンシアです。煮崩れしにくいんですよ」
農民の少年が言った。亜麻色の髪の美少年だ。
「私が作ったんです。品種改良するのがとても大変だったんですよ」
「つい最近か?」
「はい」
少年は頷いた。
そのシンシアというじゃがいもは卵形で肉色が淡黄色であった。
「なぜシンシアという名前なんだ?」
「いえ…私の妹がシンシアと申しまして…」
少年は言う。
俺は他の野菜もみた。
温室で、さつまいもが育てられていた。
さつまいももやはりプルプルンが原産地だが、寒さに弱いので外での育成には向いていない。
ただ、痩せた土地でも育つことから飢饉の際には強い作物として栽培が重宝されている。
「この温室も、あの少年が発明したのか」
俺は感心して言った。
「はい」
グラシエラが頷く。
「あの少年、名前はなんという」
「ティブルシオでございます。なかなかの秀才でございますよ」
グラシエラが自信たっぷりに言った。
「私と師を同じくする、吸血鬼でございます」
「ほう」
頷く俺。
ティブルシオの農園には、他にもさといも、かぶ、ねぎ、ちんげんさいなどが栽培されていた。
「では、私は少し用があるので」
グラシエラが先に学院に帰る。
「ああ」
俺は頷いた。
「…だんだん、アデリナ様のいた世界に近づいていってますね」
カルメンが言った。
「ああ。ところで、この野菜はなんだ?」
また俺は質問する。
「はい、それはタアサイでございまして、カエルレウスが原産地の、寒さにあたるとより旨味が増すというこの国で生育するにはぴったりな…」
ティブルシオの説明を聞きながら、カルメンはふっと思った。
(アデリナ様のいた世界って、どんな世界なんだろう…)
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