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序章
人生詰んで? いえいえもしかして詰まれたのかもしれない
しおりを挟む「ふーんこれが今回の依頼なのね」
「ええこれが赤髪の魔女への依頼よ。レベルはSランク」
「あら、最高レベルじゃない」
「然もタイムリミットは今日を入れて二日」
「ちょ、ちょっと待ってよっっ。幾らなんでも二日は――――」
「依頼主の時間がもうないのよ。もう待ってはいられない状態だから大陸一の冒険者である赤髪の魔女への依頼となったのよ」
「はぁ……まあ状況はわからなくもないわよね。命が懸かっているとなれば大金を積んででも手に入れたいわよね」
少し癖のある艶やかな赤毛交じりの金色の髪を大きく揺らしつつ、溜息を吐くと共にがっくりと肩を落とす。
「でも依頼内容が内容だけに……ね」
「まあね、簡単に成し遂げられる内容ではないけれども、でもいいマール。言い換えれば赤髪の魔女である貴女にしか出来ないと判断されたからこその依頼なのよっっ」
「はぁ……」
「この依頼が無事成し遂げられれば、もう誰も貴女に敵うものなんていないわっっ」
「へえ……」
「そうっ、言葉通り大陸、いいえこの世界随一の冒険者よ!!」
「あーはいはい」
マールと呼ばれし赤髪の魔女は、今一持ち込まれた依頼に意欲が湧かないらしく、相方の相槌を打つ返事もかなりいい加減なもの。
そう、如何に赤髪の魔女と異名を持つ彼女でも今回の依頼だけは少し、いやいやかなり慎重にならざるを得ないのだっっ。
何故ならその依頼とは――――。
メーディス帝国の中心に座す荘厳華麗……若しくは絢爛豪華、宮殿の外装は確かに美しく、またその造形美には誰もが憧れと尊敬を抱いてしまうのも頷けるだろう。
だがしかしその外面とは違い宮殿内は、いいやその建物全体が壮大な難攻不落の要塞であると言ってもいいっっ。
そう誰もが断言するだろう。
メーディス帝国の歴史は古く、この世界に最初に興っただろう四つの国の一つでもある。
それ故宮殿内には歴史と言う名の最早お金では買えない宝物が沢山眠っている為に、盗賊達が事あるごとに宮殿内へ足を踏み入れたとか。
無事に宝を手に入れ、名を売り己の名声を高める為なのか。
はたまたその宝への興味故なのかもしれない。
盗賊――――または冒険者と言う名の盗人達が、勇者を気取り魔王……いやいやそこには人間しか存在はしていないのだが、何を履き違えてか、次代と共に数多くの盗賊が宮殿内で今も眠る宝物へと挑んでいくのだ。
そしてマールが最も恐れるのは断じて自身が盗賊だからという訳ではない。
彼女は冒険者ではあるが、何も宝を欲している訳でもないのだ。
確かに世界各国を旅して今年で十年。
最初こそは戸惑った事もあったのだが今はかなりこの生活を楽しんでいる。
当初の目的こそはもう彼女自身覚えていないらしいけれども、マールはその様な些事には全く気にしない。
明るくまた素直で大らかな性格は、行く先々の国や街であっという間に人気者へとなってしまう。
先日まで滞在していた国の公爵子息より行き成り求婚をされた程――――なのである。
本人曰く公爵子息への恋情等微塵もなく、貴族平民問わず態度は皆平等にしていた筈なのに……と何度も解せないと言わんばかりに首を何度も捻っていた。
一応速攻で返事はNOと答えたのだが、相手はその返事に怯む事無く毎日大輪の薔薇の花束やプレゼントを持参し、マールの止まる宿へと日参した。
そうしてそれに辟易とした彼女は相方と共にこのメーディスへと移動……逃げてきた。
一応その国とメーディスの関係は余り良くはない。
もし戦端が開いたとしても勝利を収めるのはメーディスなのは間違いない。
周辺国の力関係等を考えた上での新たな場所だった筈。
そう面倒な公爵子息の間の手に捕まる事にならないで済むと確信していたのにも拘らず依頼を受けた翌日の昼下がり、彼女は何故か激しく自身の選んだ全てを後悔していた。
何故なら目の前には先日まで物凄く鬱陶しいと思った公爵子息が、何気に可愛らしいと思えて仕方がない。
「――――ねぇ私の前で何処へ脳ミソを散歩させているのかな? 私の愛おしい婚約者殿」
一瞬で部屋中の温度が氷点下?
いやいやその様な可愛らしい下がり方じゃあないっっ。
もうここは極寒のシベリア?
若しくは南極か北極??
温度計はないけれどもきっと-50℃くらいは下がってない!?
そもそもそんな所で人類は生存出来るのでしょうかっっ。
誰か教えて下さいっっ。
そして目の前の魔王を今直ぐ倒してっっ!!
それから私は一言問いたいっっ
そもそも私は何時婚約をしていたのかしら???
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