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本編
1 私はリーゼロット リーゼSide
しおりを挟む「お母様、今日はどうしても行かねばならないのでしょうか」
「あぁ可愛い私のリーゼ。その様な我儘を言わないで頂戴な」
何が我儘だ!!
私はリーゼロット・マルティーナ・デ・ブラゥネ。
もう直ぐ7歳になるの。
この世界でも有数……いいえ多分トップクラスの国力共に軍事力を誇るメーディス帝国、ベークマン侯爵家の娘。
今日はお母様の従姉妹であり、姉妹の様に仲の良い皇妃様主催のお茶会が宮殿内にて催される。
何時もはお母様お一人でご出席されるのだけれども、今日に限って何故か私も一緒に行く事になったの。
そして私は何かを感じずにいられない。
何故なら本来であれば伯母である皇妃様とお会い出来るのですもの。
皇妃様はとてもお美しく、またお優しい御方。
多くの側妃方ともその溢れんばかりの慈愛で以って、当代皇帝陛下の後宮は平和そのものだと言うわ。
年に数回しかお会い出来ない皇妃様は姪の私に対しても実の娘の様に、そうね。
『私に娘がいれば貴女の様な娘であればいいのに……』
等と至極光栄な事を仰られるの。
皇妃様には現在第一皇子――――つまり皇太子殿下しか御子がいない。
本当であれば皇女殿下がいらっしゃった筈なのだけれど、お可哀想な事に皇女殿下は生後間もなく身罷られてしまわれたの。
原因は不明。
でも当時の皇妃様は大層悲しんでおられたらしい。
えぇ今でも私が宮殿へ伺候した時には心より喜んでおられる半面、身罷られた皇女殿下を思い出されてしまうらしい。
そして私はとても複雑な気分にもなる。
まぁ話は少し逸れたわね。
はっきり言って私はお馬鹿ではない。
自分で言うのもなんだけれど、私は少しばかり頭の出来がいい。
また学ぶ事、新しい知識を得る事は何よりも大好物なの。
それは侯爵令嬢としての礼儀作法から始まり、この国の歴史や世界の成り立ち。
また経済学から交渉術に至るまで、まだ7歳だけれども普通の大人よりも知識はあるわ。
えぇ知識だけ……ね。
何故なら私はまだ7歳。
ここが重要。
その7歳のお子様に期待をする大人なんて何処にもいやしないもの。
あぁ両親や屋敷の者は別よ。
あくまでもこれは一般論でしかない。
まして社交界へのデビューもまだだしね。
とは言っても自発的に社交界へデビューするのはあまり好きでないのかもしれない。
勿論年相応のお友達はいてよ。
でも子供社会だと言うのにも拘らず、皆が口にするのは社交界への憧れと今注目される数人の貴公子について……かしら。
どちらにしても私には全くと言っていい程興味のないお話しばかり。
そんな他愛もない、中身のないお話しをするくらいならば、私は美味しいお菓子の一つでも食べていた方が有意義と言うもの。
因みに昨今その話題の筆頭に挙がっているのは、我が帝国の皇太子殿下だったりする。
ヴィルヴェルト・イザーク・ユリアーン・デ・ミュルデル皇太子殿下は御年15歳。
未だ決まった婚約者はいないらしい。
らしい……と言うのは、私にとって全く興味がないと思って欲しい。
眉目秀麗、冷静沈着凍れる冬の星の如き見目麗しい御方らしい。
私も数回しかお会いした事……従兄だと言うのにも拘らず、余り記憶にはないと言うか全く興味がない。
そして今日我が母によるお茶会への出席命令。
実に嫌な予感しかない私はあらゆる伝手を行使し、本日催されるお茶会について調べたの。
えぇ嫌な予感は見事的中。
そのお茶会には皇太子殿下もご出席されるとか。
でもそれだけじゃあない!!
私を含め、様々な家の令嬢達が出席するのは、お茶会と称した集団見合いであったのだっっ!!
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