行き遅れの王女様は年下イケメン公爵と恋に落ちる?

雪乃

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第一章  出会い?

穴があったら入りたい

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 私は何だかんだとこの年下の公爵に丸めこまれた感がいなめないのだが、今やっと2人でホールへと向かって歩いている。



 そう…私が大人しくホールへ行かないと言ったものだから…あれからも私が根をあげるまでの間、首筋や耳朶みみたぶ…そして何故か唇ではなく――――を彼のねっとりと熱い舌で舐めあげられたり、何度もまれてしまった。




 私は淑女しゅくじょだと言うのに、その行為ではしたなくも声を…それも変な声を漏らしてしまうし、この様な羞恥には当然耐えられなかった。



 それにまた人がやってくるのではないかと言う…恐怖感もある、だから――――泣く泣く承知してしまったわ。


 
 そうしてようやく私の身体から離れてくれた公爵なんだけど…今1つ離れがたそうに、手だけは握り締めている。



 こうして腕をからませていても…。



 大体だいたい私は最早ホールへ戻る気なんて本当になかったのよ。



 後で何と言われようとも…早く自室へ戻りたい――――ただそれだけ。



 年下の男性にいいようにあつわれた事への自己嫌悪と羞恥が自身の心の中で、張り裂けそうなくらい暴れ回っていたのだから…。



 この乱れた心を早く収めたい…そして何時もの自分へ戻りたいとアンは今、心から願っていたのだが…相手はそうさせてはくれなかった。



「ダメですよ…今自室へ引っ込んでしまわれたらそれこそ貴族達の格好の餌…と言うものでしょう。ここは自然にホールへ戻る事をお勧めしますよ。勿論…私も一緒でね」




 甘い…酷く甘過ぎる声で公爵はそっと耳元へささやいてくる。



 はっきり言ってこの行為も止めて欲しい。



 くすぐったくて仕方ないもの。



 本当に…この噂の中へ行くのはイヤだけど、ここまで来たのならば…もう仕方のない事。 




 諦めの心境ってモノよね。



 ―――――だけど…この1歩は勇気がいるわっっ。



 そんな私の緊張が公爵に伝わったのか…それとも気まぐれなのかは分からない。



「愛しいアン…緊張しないで、私が傍にいるのだから…」



 ――――はっきり言ってその言葉が信じられないのだけどっっ!!



 本当に気まぐれで悪戯いたずら好きな男性ひとなのだわ。



 困った坊や…だわね。



 こうなればヤケクソ…そう思わねば先へ進めない。



 庭園からホールへと私達は1歩…入って行く。



 それまでざわざわと音楽に雑談ばかりで騒がしかったホールが、そう…この一瞬で雑談はなくなり…波をうったかの様に静かになった。



 それでも音楽はかなでられているのだけど…。




 そしてなにより視線が痛いっっ。



 こんなにも注目されるなんて…きっと暇な貴族達の余興よきょうの1つとしてなのか、それとも――――隣にいる年下のイケメン公爵にご執心の令嬢が、私をうらんでいるのか…。



 でもだとしたらそれは誤解です。



 私はれっきとした被害者なのだから…。




 この悪戯好きの坊やのお陰で私は今…とんでもない事になっているのですからね。



 そこの所はどうかご理解下さいませ。




 そして――――ホールは自然と私達を囲む様な形になっているのだけれど、やってきましたわ…このイヤ~な視線。



 視線の先を見てみると…ほら、如何いかにも…ぶすっと…失礼…大変ご機嫌斜めなお兄様、王太子殿下とその横で凄くたのしそうに微笑んでいるお義姉さまのマリーローズがいらっしゃるわ。




 勿論――――両肩をフルフルと震わされているお父様とそれを愉しんでいらっしゃるお母様もね。




 あぁ…私、穴があったら今とっても入ってしまいたいっっ。



 お父様がお許し下さるのであれば、今直ぐにでも庭園に穴を掘りたいですわ。
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