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冤罪
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《1番線、列車が参ります、危ないですから、黄色い線の内側をーーーーーーーーーーー》
アナウンスが聞こえ、まもなくしていつも乗っている電車がホームに到着した。
ドアが開いて、一斉に人がなだれ込みながら降りてきて、その後、僕はこの電車に乗った。
あれだけ人が降りたはずなのに、この電車は、満員電車だった。
とても息苦しい。肺と心臓が締め付けられるような具合の密着度で、車内はかなりの湿度で暑かった。
この電車は、通勤通学ラッシュの時間帯は、いつもこうである。
今の僕の体勢は本当に辛かった。左手で吊革を持ち、背中にはリュック、右手には部活動の為のカバンと大荷物で左手右手両方痺れを切らしていたし、腰も痛かった。
この苦痛かは逃れるには、あと五駅分も耐えなければならない。
僕は、思わずふうっと小さく息を吐いた。
じわりと汗をかきながら、ようやく次の駅で降りるところまできた。
ようやくか、、そう思っていると
《まもなく、〇〇ー、〇〇、右側の扉が開きますのでーーー》
というアナウンスが流れる。
右側か、、、
今僕がいるのは左側の扉であり、逆方向だった。
その右側扉まで辿り着く道の隙間は無いに等しかった。
これを片手で持っていくスペースはないな、、、
僕は、右手に持っている大きなサイズの部活カバンを見つめつつ、そう思った。
《到着致しましたー、〇〇、〇〇ーーー》
どう出るかを考えているうちにもう、電車は駅に到達していた。
僕は、吊革から手を離し、部活カバンを両手で抱きかかえるように持ちながら、出ていこうとする。
この狭い隙間を、押し退けながら強引に行くのは、気が引けたが、通れるスペースがなかったから仕方なかった。
何とか通れたと思った時に、悲鳴。
なんだ?と思って後ろを振り返ると、僕よりも一回り背の小さい女子高生が僕のことを指さしていた。
「あの人、チカンです。」
その言葉が耳に入った瞬間、条件反射的に僕はその場から逃げ出していた。全力疾走で。
僕は、息を切らしながら、一生懸命、今までにないほど力を出して走った。
その間、あの時の瞬間がフラッシュバックする。
僕を指さしながら、心の底から嫌悪したような睨み顔で見つめてくる女子高生と、それに驚き、ざわつく周り。目の情報はここで止まっていたが、その後逃げ出した僕を、追いかけてくる足音を、僕の耳はキャッチしていた。
やばい。追いつかれたら、人生終わる。
死ぬ気で走れ、速く、もっと速く。
心臓は、バクバクと鼓動を上げていっている。それは、ただ走っていることよりも、今置かれている状況の方が影響している。汗もそうだ。まさに冷や汗を全身にかいていた。
どれほど走ったか分からないところで、僕は、息がきれて力尽きた。
さすがに、ここまで逃げれば大丈夫、だろう。
体が壊れるかと思った。特に心臓と肺。
冤罪はたまったもんじゃない。これで、何もしてない僕の人生が全て狂ってしまうのだ。
ぜえぜえと息をしながらそんなことを考え、僕は歩道の真ん中で地に伏していた。
そんな僕の肩をトントンと軽く誰かが叩いてきた。
ドキッとして僕は、振り返ると、見覚えのない女子高生が立っていた。
「よう、君が、チカン野郎か」
「違うっ、違うんだよ、僕はやってないっ!」
「ごめん、冗談、冗談だよ笑」
「あはっ、あたし、あの子の友達だよ?隣にあの電車に一緒に乗ってたし、ずっと見てた。」
「それなら、、」
「うん。君はやってない。他の人は見てなかったかもしれないけど、あたしはちゃんと見てたから大丈夫だよ。」
でも、、と僕は思った。
あの時、追いかけてきたのは彼女1人の足音じゃなく複数人いたからだ。
「あーえーっと、ほかの追っ手のことは気にしなくていいよ。あたしが、陸上部ですから!っ一人でジューブンです!って言っておいたし。」
「そうなんだ、、、よかった。」
「でもホント災難だったねー、良子、チョット天然なとこあるからなー」
「やばい、もうこんな時間だ、行かなきゃ」
「え、あ?学校?いやでも、遅刻確定じゃん。サボろうよ」
「え?」
「ほら、コレ見て」
彼女は、派手なケースに包まれたスマホを見せてきた。スマホの画面には、オシャレなカフェの画像が映っていた。
「ココ、いこうよ。あたしの友達が悪いことしちゃったし、、奢るよ?」
「本当にいいの?」
正直、奢ってくれる、しかもこんなに可愛い女子高生と行けるなんて、こんなチャンス中々ないと思ってしまい、規範よりも、欲望が勝ってしまった。
「うん!」
彼女が明るくそう答える。
「じゃあ行こうか」
そう言って、僕は立ち上がった。冤罪は、とても不運であり、この上なく最悪な事だが、誰か一人でも見てくれている人は居る。そう思えた。だからこの世の中も捨てたもんじゃない。彼女と出逢えた運命に感謝して、今後、このようなことが起こらないように、日々を真面目に生きていこう。
(はぁーーー~、、、)
(ほんっと、男って単純だなぁwwwww)
(なにが、「うん。君はやってない。他の人は見てなかったかもしれないけど、あたしはちゃんと見てたから大丈夫だよ。」だよwwwww、私くっさ!臭すぎでしょこのセリフ!wwwwwwww)
(最初っからあんたの事見てたけど、それは顔だけだって..w顔が好みだったから見てただけで痴漢したとかしてないとかキョーミないんだよ笑、私普通に性格より顔の方が優先だし笑)
(はぁー、まあ、気を取り直してくれたなら好都合だけどね、ちょうど彼氏と別れたところだしラッキー、これも運命かな。さーてと、今日も一日、楽しみますか!)
ー人は、自分が思っている以上に、他人に興味が無い。そして、普段の生活の中に埋もれている些細な事は、見えていたとしても認識しない。たとえ知覚してもすぐに忘れてしまう。そういう生き物である。だからこそ、人生の重大な判断においては、もっと慎重になるべきではないかと思うー
アナウンスが聞こえ、まもなくしていつも乗っている電車がホームに到着した。
ドアが開いて、一斉に人がなだれ込みながら降りてきて、その後、僕はこの電車に乗った。
あれだけ人が降りたはずなのに、この電車は、満員電車だった。
とても息苦しい。肺と心臓が締め付けられるような具合の密着度で、車内はかなりの湿度で暑かった。
この電車は、通勤通学ラッシュの時間帯は、いつもこうである。
今の僕の体勢は本当に辛かった。左手で吊革を持ち、背中にはリュック、右手には部活動の為のカバンと大荷物で左手右手両方痺れを切らしていたし、腰も痛かった。
この苦痛かは逃れるには、あと五駅分も耐えなければならない。
僕は、思わずふうっと小さく息を吐いた。
じわりと汗をかきながら、ようやく次の駅で降りるところまできた。
ようやくか、、そう思っていると
《まもなく、〇〇ー、〇〇、右側の扉が開きますのでーーー》
というアナウンスが流れる。
右側か、、、
今僕がいるのは左側の扉であり、逆方向だった。
その右側扉まで辿り着く道の隙間は無いに等しかった。
これを片手で持っていくスペースはないな、、、
僕は、右手に持っている大きなサイズの部活カバンを見つめつつ、そう思った。
《到着致しましたー、〇〇、〇〇ーーー》
どう出るかを考えているうちにもう、電車は駅に到達していた。
僕は、吊革から手を離し、部活カバンを両手で抱きかかえるように持ちながら、出ていこうとする。
この狭い隙間を、押し退けながら強引に行くのは、気が引けたが、通れるスペースがなかったから仕方なかった。
何とか通れたと思った時に、悲鳴。
なんだ?と思って後ろを振り返ると、僕よりも一回り背の小さい女子高生が僕のことを指さしていた。
「あの人、チカンです。」
その言葉が耳に入った瞬間、条件反射的に僕はその場から逃げ出していた。全力疾走で。
僕は、息を切らしながら、一生懸命、今までにないほど力を出して走った。
その間、あの時の瞬間がフラッシュバックする。
僕を指さしながら、心の底から嫌悪したような睨み顔で見つめてくる女子高生と、それに驚き、ざわつく周り。目の情報はここで止まっていたが、その後逃げ出した僕を、追いかけてくる足音を、僕の耳はキャッチしていた。
やばい。追いつかれたら、人生終わる。
死ぬ気で走れ、速く、もっと速く。
心臓は、バクバクと鼓動を上げていっている。それは、ただ走っていることよりも、今置かれている状況の方が影響している。汗もそうだ。まさに冷や汗を全身にかいていた。
どれほど走ったか分からないところで、僕は、息がきれて力尽きた。
さすがに、ここまで逃げれば大丈夫、だろう。
体が壊れるかと思った。特に心臓と肺。
冤罪はたまったもんじゃない。これで、何もしてない僕の人生が全て狂ってしまうのだ。
ぜえぜえと息をしながらそんなことを考え、僕は歩道の真ん中で地に伏していた。
そんな僕の肩をトントンと軽く誰かが叩いてきた。
ドキッとして僕は、振り返ると、見覚えのない女子高生が立っていた。
「よう、君が、チカン野郎か」
「違うっ、違うんだよ、僕はやってないっ!」
「ごめん、冗談、冗談だよ笑」
「あはっ、あたし、あの子の友達だよ?隣にあの電車に一緒に乗ってたし、ずっと見てた。」
「それなら、、」
「うん。君はやってない。他の人は見てなかったかもしれないけど、あたしはちゃんと見てたから大丈夫だよ。」
でも、、と僕は思った。
あの時、追いかけてきたのは彼女1人の足音じゃなく複数人いたからだ。
「あーえーっと、ほかの追っ手のことは気にしなくていいよ。あたしが、陸上部ですから!っ一人でジューブンです!って言っておいたし。」
「そうなんだ、、、よかった。」
「でもホント災難だったねー、良子、チョット天然なとこあるからなー」
「やばい、もうこんな時間だ、行かなきゃ」
「え、あ?学校?いやでも、遅刻確定じゃん。サボろうよ」
「え?」
「ほら、コレ見て」
彼女は、派手なケースに包まれたスマホを見せてきた。スマホの画面には、オシャレなカフェの画像が映っていた。
「ココ、いこうよ。あたしの友達が悪いことしちゃったし、、奢るよ?」
「本当にいいの?」
正直、奢ってくれる、しかもこんなに可愛い女子高生と行けるなんて、こんなチャンス中々ないと思ってしまい、規範よりも、欲望が勝ってしまった。
「うん!」
彼女が明るくそう答える。
「じゃあ行こうか」
そう言って、僕は立ち上がった。冤罪は、とても不運であり、この上なく最悪な事だが、誰か一人でも見てくれている人は居る。そう思えた。だからこの世の中も捨てたもんじゃない。彼女と出逢えた運命に感謝して、今後、このようなことが起こらないように、日々を真面目に生きていこう。
(はぁーーー~、、、)
(ほんっと、男って単純だなぁwwwww)
(なにが、「うん。君はやってない。他の人は見てなかったかもしれないけど、あたしはちゃんと見てたから大丈夫だよ。」だよwwwww、私くっさ!臭すぎでしょこのセリフ!wwwwwwww)
(最初っからあんたの事見てたけど、それは顔だけだって..w顔が好みだったから見てただけで痴漢したとかしてないとかキョーミないんだよ笑、私普通に性格より顔の方が優先だし笑)
(はぁー、まあ、気を取り直してくれたなら好都合だけどね、ちょうど彼氏と別れたところだしラッキー、これも運命かな。さーてと、今日も一日、楽しみますか!)
ー人は、自分が思っている以上に、他人に興味が無い。そして、普段の生活の中に埋もれている些細な事は、見えていたとしても認識しない。たとえ知覚してもすぐに忘れてしまう。そういう生き物である。だからこそ、人生の重大な判断においては、もっと慎重になるべきではないかと思うー
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