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紫陽花の花言葉とともに
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今日は六月の何日、何曜日だろうか。
何日も同じような激しい雨が続き、今日も雨が降っていた。
そんな日に私は、一人でカフェに来ていた。
紅茶を飲みながら、思い耽って外を眺めると、店のガラス張り越しに、カフェの花壇に綺麗に咲いている紫陽花の花が見えた。 赤、青、紫と鮮やかに彩られた三色の紫陽花に私は、見入っていた。率直に綺麗だと思った。でも私は紫陽花という花を到底、好きにはなれなかった。
というのも、紫陽花を綺麗だが、怖い花であると認識してしまったからである。
私は、幼い頃、自由研究で色々な花の花言葉とその特徴について調べていた。
紫陽花を調べると、食中毒になる麻痺毒があるとされ、花言葉は「移り気」、「浮気」、「無常」というネガティブな意味があった。
それを私はずっと覚えていて、ある時、紫陽花が嫌いになった。そのある時は、今から二週間ほど前のことだった。
私はいつもの様に彼とデートをしていた。街を歩き、買い物をして、休憩にカフェでくつろぐ。いつもの様にとは、こんなルーティーンだ。
でも彼は、いつもの様子では無かった。どこかソワソワとして、時計や携帯を何度も見ていた。
あの時も、今私がいるカフェに、2人で入っていた。
飲み物を注文して、少し経った後に、事件は起こった。
「佑太くん」
彼氏の名前が綺麗な声で呼ばれ、彼が後ろを振り向いた。
私もその方向を見ると、背の高いスラッとしたモデルのような美しい女性が立っていた。背が低く地味な私とは正反対の見た目をしていた。
「どういうこと?」
私が自然と口に出た言葉だった。
彼は困惑し、相手の女も困惑していた。
私は2人に目もくれず、彼がなにか言い訳をして私にしがみつこうとしたが、それを振り払ってその場を去った。
飲みかけのアイスティーだけがその場に残っていた。
私は、その後正式に彼氏と別れた。
彼の言い分としては、私と冷めていた時にあの美人な女性に言い寄られ、目移りしてしまい、まんまとハニートラップにかかったらしかった。
私は、それを聞いてひとつも同情しようとは思わなかった。目移りしてしまったのは仕方ない。だが、私にそれを隠し通して、今までずっと嘘をついていたのが許せなかった。
私はその浮気を引きづっていたから、今こうして綺麗な紫陽花を見て、一人、憂いているのである。
紫陽花の花言葉を知らなければ、良かったのにと思う。そうすればこの綺麗な花を嫌いにならず、私は好きになっていただろう。
紫陽花を見ながら、花言葉を改めて思い返す。移り気、浮気、無常。なぜ、人は浮気をしてしまうのだろう。私は到底理解が出来なかった。私の浮気の知識はトレンディドラマでしかない。そこでの浮気は、人生の巡り合わせでたまたま運命的にそうなってしまうような描かれ方をする。でも、現実の浮気はそうでは無いと思っている。結局、浮気をする人は、恋人に冷め、恋人を捨てようとするが捨てる勇気も無く、逃げで浮気をするのだと私は解釈した。それが一番相手を傷つけるとも知らず、人の思いを考えられない最低人間のすることである。何度も会っていたなら尚更、浮気された方の気持ちを考えて何処かで踏みとどまるべきである。例え、トレンディドラマのような運命的な出会いをしたとしてもだ。
一途な、私が馬鹿みたいだ。確かにあの美女とは真逆で、地味で背も低く、オシャレでも無いかもしれない。でも、私は、誰よりも彼を思っていたのだ。
そこで、私はある事を思い出した。
紫陽花には色別の花言葉があるということを。
花壇には植えられていなかった、緑の紫陽花の花言葉にはひたむきな愛、白の紫陽花の花言葉には一途な愛がある。
まさに私に相応しい花言葉だと思った。
紫陽花を一括りにして、嫌いになっていた私が馬鹿らしくなった。
私は、カフェを後にして、緑と白の紫陽花を探しに行くことにした。
私が後にしたカフェにはあの時のアイスティーとは違い、まだほんのりと暖かい飲みかけの紅茶が残されていた。
何日も同じような激しい雨が続き、今日も雨が降っていた。
そんな日に私は、一人でカフェに来ていた。
紅茶を飲みながら、思い耽って外を眺めると、店のガラス張り越しに、カフェの花壇に綺麗に咲いている紫陽花の花が見えた。 赤、青、紫と鮮やかに彩られた三色の紫陽花に私は、見入っていた。率直に綺麗だと思った。でも私は紫陽花という花を到底、好きにはなれなかった。
というのも、紫陽花を綺麗だが、怖い花であると認識してしまったからである。
私は、幼い頃、自由研究で色々な花の花言葉とその特徴について調べていた。
紫陽花を調べると、食中毒になる麻痺毒があるとされ、花言葉は「移り気」、「浮気」、「無常」というネガティブな意味があった。
それを私はずっと覚えていて、ある時、紫陽花が嫌いになった。そのある時は、今から二週間ほど前のことだった。
私はいつもの様に彼とデートをしていた。街を歩き、買い物をして、休憩にカフェでくつろぐ。いつもの様にとは、こんなルーティーンだ。
でも彼は、いつもの様子では無かった。どこかソワソワとして、時計や携帯を何度も見ていた。
あの時も、今私がいるカフェに、2人で入っていた。
飲み物を注文して、少し経った後に、事件は起こった。
「佑太くん」
彼氏の名前が綺麗な声で呼ばれ、彼が後ろを振り向いた。
私もその方向を見ると、背の高いスラッとしたモデルのような美しい女性が立っていた。背が低く地味な私とは正反対の見た目をしていた。
「どういうこと?」
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飲みかけのアイスティーだけがその場に残っていた。
私は、その後正式に彼氏と別れた。
彼の言い分としては、私と冷めていた時にあの美人な女性に言い寄られ、目移りしてしまい、まんまとハニートラップにかかったらしかった。
私は、それを聞いてひとつも同情しようとは思わなかった。目移りしてしまったのは仕方ない。だが、私にそれを隠し通して、今までずっと嘘をついていたのが許せなかった。
私はその浮気を引きづっていたから、今こうして綺麗な紫陽花を見て、一人、憂いているのである。
紫陽花の花言葉を知らなければ、良かったのにと思う。そうすればこの綺麗な花を嫌いにならず、私は好きになっていただろう。
紫陽花を見ながら、花言葉を改めて思い返す。移り気、浮気、無常。なぜ、人は浮気をしてしまうのだろう。私は到底理解が出来なかった。私の浮気の知識はトレンディドラマでしかない。そこでの浮気は、人生の巡り合わせでたまたま運命的にそうなってしまうような描かれ方をする。でも、現実の浮気はそうでは無いと思っている。結局、浮気をする人は、恋人に冷め、恋人を捨てようとするが捨てる勇気も無く、逃げで浮気をするのだと私は解釈した。それが一番相手を傷つけるとも知らず、人の思いを考えられない最低人間のすることである。何度も会っていたなら尚更、浮気された方の気持ちを考えて何処かで踏みとどまるべきである。例え、トレンディドラマのような運命的な出会いをしたとしてもだ。
一途な、私が馬鹿みたいだ。確かにあの美女とは真逆で、地味で背も低く、オシャレでも無いかもしれない。でも、私は、誰よりも彼を思っていたのだ。
そこで、私はある事を思い出した。
紫陽花には色別の花言葉があるということを。
花壇には植えられていなかった、緑の紫陽花の花言葉にはひたむきな愛、白の紫陽花の花言葉には一途な愛がある。
まさに私に相応しい花言葉だと思った。
紫陽花を一括りにして、嫌いになっていた私が馬鹿らしくなった。
私は、カフェを後にして、緑と白の紫陽花を探しに行くことにした。
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