伯爵様の子供を身篭ったの…子供を生むから奥様には消えてほしいと言う若い浮気相手の女には…消えてほしい

伯爵様の子供を身篭ったの…子供を生むから奥様には消えてほしいと言う若い浮気相手の女には…消えてほしい

若い女は私の前にツカツカと歩いてくると、「わたくし、伯爵様の子供を身篭りましたの。だから、奥様には消えてほしいんです」
伯爵様の浮気相手の女は、迷いもなく私の前にくると、キッと私を睨みつけながらそう言った。
「あなた、気は確かかしら？そんなことが許されると思うの？」
「ええ、許されると思ってるわ。だってあたし、すでに伯爵様の子供を生み、育てているの。なら、もう1人生んでもいいはずよ！」
「すでに子供を生んで育ててるですって！！？あなた、そんな大事なことをどうして今まで隠してたの？」
「別に隠したくて隠していたわけではありませんけど？子供のいない奥様に事実を伝えたら気の毒かと思って、言わなかっただけですけど」
「なんですって！」
「伯爵様も言ってましたよ。あんな年増の妻よりも、かわいくてハリもあるあたしの方が好きってね」
「いずれそのハリとかわいさも失うものよ。その時、あなたはあっけなく伯爵様に捨てられるわよ…」
「はあ？あたくしが捨てられる？んなことがあるわけないじゃないの」
「いまに見てなさい」

それから8年後。

浮気相手が涙を流しながら屋敷へと走ってきてこう叫ぶ。
「奥様！ああ、奥様！伯爵様が若い女をつくり、私を捨てたんです。ああ、どうしてなのでしょう」
「ふん！この鏡で自分の姿を見てご覧なさい。まるで、10年前の若いあなたの姿とは違い、今では年増の女になってしまったのよ」
「まだ私は若いわ！10年経っても変わらないこの美貌をなんだと思ってるの」
「自分ではそう思っていても、伯爵からしたらもう若くはないのよ…あなたはただの浮気相手。だから子供がいてもあっけなく捨てられたのよ」
「捨てられた…あたしは捨てられてなんかいない！まだ伯爵様の気持ちを取り戻すことはできるわ！」
と、無駄なあがきを見せた。
「無駄よ。伯爵様は若い女が好きなんですもの。ハリと美貌のある若い女性をね…」
私だって、結婚していなければ今頃どうなっていたか…

父親が伯爵様の背負っているギャンブルの借金を立て替えたから結婚した私は絶対に離婚しないけどね。