5 / 31
4
しおりを挟む
人生が変わったのは高校二年生の時。
高校生活二年目。クラスは変わったけど、あたしの生活は何も変わる要素がなかった。
あの時まではね。
学校の勉強は分からなくはないけど面白くない。
サインコサインとか、イオンカケイコウとかアステカブンメイとか、ハマる人にはハマる内容なんだろうけど、あたしにはあんまり興味が持てなかった。
あたしは趣味がないから仕方なく勉強をしているだけだし、一応一通り覚えたりしたけど、好きで学んでいるわけじゃない。
じゃあ逆に興味のあるものって何って聞かれても困るけど。
ニヒリストを気取ってるわけじゃないよ。
色々な物事には意味があると思っているもん。
具体的には知らないけど。
そういうことは知りたい人が調べればいいじゃん。
だからあたしが頑張る必要はない。
時には人を頼ることもいい事だってテレビで見たし。
都合の良い生き方があたしには合っているんだよね。
え?適当なことばっかり言ってるって?バレたか。
あはは。……一人で何を書いているんだろう。
勉強が終わったら、掃除してホームルームして荷物をまとめて学校を出て、予定があれば待ち合わせ場所に行って待ち合わせ相手と二人でホテル行って抱かれるだけ。
予定がなければ街中をぶらぶら彷徨って声を掛けてもらうのを待つ。
ひたすらその繰り返し、中学校の時からずっとそう。
そりゃあ、あたしだって高校に入った時は新生活だし友達欲しいって思ったよ?
小学校と中学校ではいじめられてたけど、高校は環境がガラリと変わるからさ、新たな一歩が踏み出せるんじゃないかと思ったわけ。
こう見えて勉強はできるから、外見さえきちんと整えれば優等生になれるのよ。
だから県内で二番目に偏差値が高い進学校に入学できた。
ここで新たな人生を始めるんだって。
でも、入学早々出鼻をくじかれるような出来事があった。
それは入学式を終えた翌日、学校生活初日のことだった。机に座って次の授業の準備をしていたら、女の子が声をかけてきた。眼鏡をかけた、肩で髪を切り揃えた地味めの女の子。友達になれるかなってちょっと嬉しかったんだけど、その子、どうやら同じ中学校の生徒だったみたい。
「奈緒ちゃんだよね?わたし、同じ二中だった美保子!覚えてる?」
もちろん覚えているわけがないから愛想笑いで誤魔化した。
「わたし、あなたに感謝してるの!わたし、小学校の頃はいじめられてたんだけど、中学校に入ったら、奈緒ちゃんがいじめの標的になってくれたから、わたし、いじめられなくなったんだ!本当にありがとう!高校でもよろしくね!」
聞いた?もう不快感マックス。
「あなたがいじめられてたおかげ」だって?
あたしはあなたを助けるためにいじめられてたわけじゃないんですけど。
この子はあたしがいじめられていて嬉しかったってこと?
そのお礼?
それを本人に堂々と伝えるってどうなのよ?
「よろしく」って、あたしはそんなこと言われてもよろしくする気はないんですけど。
そもそもあんた誰?
それからはなんか、何もかもがどうでもよくなっちゃった。
友達作りを頑張るのって疲れそうだし、期待した分、また仲間はずれにされたらガッカリだし。一人でいようと決めた。
案の定、あたしのママが殺されたこと、あたしが売春していることはクラス中に瞬く間に広がった。
みんな心なしかよそよそしくなった。
また同じかーって思って、面倒になって自分から避けるようにした。
美保子も話しかけてこようとしたみたいだけど、機嫌が悪いふりをして寄せ付けないようにした。
人生を変えるチャンスだって思っていたけど、人って簡単には変われないものだね。
それからは元通り、ピアス付けてスカート短くしてネクタイ緩めて股も緩めて。
なんかこの高校は成績さえ良ければ何も言われないから気楽だった。
髪だけは傷むから染めるのをやめた。
度重なるブリーチ で傷んだ髪は黒く戻してもパサパサ、あたしの心と同じ。
誰かあたしのオアシスになって、心を潤してくれないかしら。
髪は高いシャンプーとトリートメントでなんとかなるけど、心のトリートメントはないのかな?
まあ、こうして一年が過ぎ、あたしは高校二年生になった。
だけど、友達と何かを頑張ったとか、部活に励んだとかそういう青春らしいことは何もしてない。
したのは売春だけ。
同じ春が付くのに、こうも意味が違うなんて、言葉って不思議だね。
でも、一つの出会いがあたしの人生を変えた。
こんな運命的なことって、本当にあるんだね。
それがあたしにとって人生で大きな意味をもつ出来事だった。
彼にとって悲劇の始まりだったのかもしれないけれど。
高校生活二年目。クラスは変わったけど、あたしの生活は何も変わる要素がなかった。
あの時まではね。
学校の勉強は分からなくはないけど面白くない。
サインコサインとか、イオンカケイコウとかアステカブンメイとか、ハマる人にはハマる内容なんだろうけど、あたしにはあんまり興味が持てなかった。
あたしは趣味がないから仕方なく勉強をしているだけだし、一応一通り覚えたりしたけど、好きで学んでいるわけじゃない。
じゃあ逆に興味のあるものって何って聞かれても困るけど。
ニヒリストを気取ってるわけじゃないよ。
色々な物事には意味があると思っているもん。
具体的には知らないけど。
そういうことは知りたい人が調べればいいじゃん。
だからあたしが頑張る必要はない。
時には人を頼ることもいい事だってテレビで見たし。
都合の良い生き方があたしには合っているんだよね。
え?適当なことばっかり言ってるって?バレたか。
あはは。……一人で何を書いているんだろう。
勉強が終わったら、掃除してホームルームして荷物をまとめて学校を出て、予定があれば待ち合わせ場所に行って待ち合わせ相手と二人でホテル行って抱かれるだけ。
予定がなければ街中をぶらぶら彷徨って声を掛けてもらうのを待つ。
ひたすらその繰り返し、中学校の時からずっとそう。
そりゃあ、あたしだって高校に入った時は新生活だし友達欲しいって思ったよ?
小学校と中学校ではいじめられてたけど、高校は環境がガラリと変わるからさ、新たな一歩が踏み出せるんじゃないかと思ったわけ。
こう見えて勉強はできるから、外見さえきちんと整えれば優等生になれるのよ。
だから県内で二番目に偏差値が高い進学校に入学できた。
ここで新たな人生を始めるんだって。
でも、入学早々出鼻をくじかれるような出来事があった。
それは入学式を終えた翌日、学校生活初日のことだった。机に座って次の授業の準備をしていたら、女の子が声をかけてきた。眼鏡をかけた、肩で髪を切り揃えた地味めの女の子。友達になれるかなってちょっと嬉しかったんだけど、その子、どうやら同じ中学校の生徒だったみたい。
「奈緒ちゃんだよね?わたし、同じ二中だった美保子!覚えてる?」
もちろん覚えているわけがないから愛想笑いで誤魔化した。
「わたし、あなたに感謝してるの!わたし、小学校の頃はいじめられてたんだけど、中学校に入ったら、奈緒ちゃんがいじめの標的になってくれたから、わたし、いじめられなくなったんだ!本当にありがとう!高校でもよろしくね!」
聞いた?もう不快感マックス。
「あなたがいじめられてたおかげ」だって?
あたしはあなたを助けるためにいじめられてたわけじゃないんですけど。
この子はあたしがいじめられていて嬉しかったってこと?
そのお礼?
それを本人に堂々と伝えるってどうなのよ?
「よろしく」って、あたしはそんなこと言われてもよろしくする気はないんですけど。
そもそもあんた誰?
それからはなんか、何もかもがどうでもよくなっちゃった。
友達作りを頑張るのって疲れそうだし、期待した分、また仲間はずれにされたらガッカリだし。一人でいようと決めた。
案の定、あたしのママが殺されたこと、あたしが売春していることはクラス中に瞬く間に広がった。
みんな心なしかよそよそしくなった。
また同じかーって思って、面倒になって自分から避けるようにした。
美保子も話しかけてこようとしたみたいだけど、機嫌が悪いふりをして寄せ付けないようにした。
人生を変えるチャンスだって思っていたけど、人って簡単には変われないものだね。
それからは元通り、ピアス付けてスカート短くしてネクタイ緩めて股も緩めて。
なんかこの高校は成績さえ良ければ何も言われないから気楽だった。
髪だけは傷むから染めるのをやめた。
度重なるブリーチ で傷んだ髪は黒く戻してもパサパサ、あたしの心と同じ。
誰かあたしのオアシスになって、心を潤してくれないかしら。
髪は高いシャンプーとトリートメントでなんとかなるけど、心のトリートメントはないのかな?
まあ、こうして一年が過ぎ、あたしは高校二年生になった。
だけど、友達と何かを頑張ったとか、部活に励んだとかそういう青春らしいことは何もしてない。
したのは売春だけ。
同じ春が付くのに、こうも意味が違うなんて、言葉って不思議だね。
でも、一つの出会いがあたしの人生を変えた。
こんな運命的なことって、本当にあるんだね。
それがあたしにとって人生で大きな意味をもつ出来事だった。
彼にとって悲劇の始まりだったのかもしれないけれど。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
看病しに行ったら、当主の“眠り”になってしまった
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー全36話⭐︎
倒れた当主を看病する役目を振られた使用人リィナは、彼の部屋へ通うことになる。
栄養、灯り、静かな時間、話し相手――“眠れる夜”を整えていく。そして、回復していく当主アレクシス。けれど彼は、ある夜そっと手を握り返し、低い声で囁く。
「責任、取って?」
噂が燃える屋敷で、ふたりが守るのは“枠(ルール)”。
手だけ、時間だけ、理由にしない――鍵はリィナが握ったまま。
けれど、守ろうとするほど情は育ち、合図の灯りはいつしか「帰る」ではなく「眠る」へ変わっていく。
看病から始まった優しい夜は、静かな執着に捕まっていく。
それでも、捕獲の鍵は彼ではなく――彼女の手にある。
橘若頭と怖がり姫
真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。
その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。
高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる