バッドエンドの女神

かないみのる

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 その日は放課後、約束があった。



 帰りのホームルームを終えると、私は待ち合わせ場所に向かうべく、急いで学校を出た。

その日会う予定の相手は、自分の気に入らない事があるとヒステリックを起こすから、あまり待たせられない。

結構気を使うのよね。

ランニングをしている運動部の集団に追い越されたり、自転車とすれ違ったりしながら、あたしは歩いた。



 あたしは歩くのが好き。

青空の下、陽の光を浴びて、柔らかい風に吹かれながら空を見上げて歩みを進めると、心の疲れが洗い流されていくみたい。

時にはイヤホンでお気に入りの音楽を聴きながら、時には小鳥の囀りに耳を傾けながら、足を動かしリズムを取る。

足に馴染んだローファーが地面を蹴ると心地がいい。

たまに虹やひこうき雲が空に現れて気分が上がる時もある。

ご近所さんにヒソヒソ陰口を言われるのは嫌だけど、そこさえ耳を塞げば癒しの時間を送ることができる。



 歩いていると、うちの高校の制服を着た男の子二人があたしを追い越した。

そのうち一人がこちらを振り返り、あたしを見て何か言いたそうにした。

けれど、もう一人に「前見ないとあぶねーぞ」という言葉をかけられ、去っていってしまった。



 誰だろう?あたしは数少ない顔を覚えている人物を思い浮かべた。

しかし誰にも当てはまらなかった。

基本的に学校の同級生はカボチャだと思っているから、クラスの人の顔は殆ど思い出せない。

カボチャの違いが分かるほどカボチャ通ではないしね。

少ない脳細胞を無理矢理活性化させたけど、さっきの男子生徒が誰なのか分からなかった。



 待ち合わせ場所の公園に行くと、約束の相手は噴水の前のベンチに座って本を読んでいた。

待ち合わせの時って大抵文庫本を読むと思うんだけど、彼はハードカバーの重そうな本を読んでいた。


腕が痛くならないのかな?



「穂高、お待たせ」


「ああ、お疲れ」



 穂高は本に栞を挟んで閉じ、あたしを見上げた。

猛禽類のように力強く鋭い目であたしを見る。



「その本、重くないの?」



 あたしは思っていたことをそのまま口にした。



「重いよ。でも、思い入れのある作品だから、持ち歩いてる」


クラフト紙のブックカバーが傷んでいる。相当読み込んでいるのだろう。



「どんな話?」


「年端の行かない少年が、美しい人妻に恋をする話」


「どろっどろじゃん」


「まあね。俺のバイブル」


 穂高はあたしが売春を始めた頃から続いているお得意様。たぶん四番目くらいにあたしを買った人。



「俺も君を買いたいんだけど」



 タヌキおじさんとホテルへ行き、ひとしきり愛し合って別れてすぐのところで、声をかけてきたのが穂高だった。

最初は何を言っているのか分からなかったけど、売春の事を言っているのだとすぐに理解した。



「え?お兄さんが?あたしを買う?どうして?」



 あたしは穂高を不気味に感じた。

今はいろいろな人に抱かれてきたから違和感はないけど、当時はまだおじさんにしか抱かれていなかったから、穂高のことが異質に見えた。

まだ若いし、見た目もそんなに悪くないから、そもそもナンパすれば付いていきそうな子はたくさんいそうだけど、なんでわざわざ高いお金をかけてあたしを買うのだろう。今までの相手と違って不信感があった。



「君を買いたいからだよ。金はあるから心配しないで。乱暴なこともしない。騙されたと思って、一回お願いしたい」



 穂高は有無を言わさぬ命令口調で言ってきた。

鋭い眼光で射すくめられてあたしは怯んでしまった。

どうしようか迷っているうちに腕を掴まれ、強引に穂高の住むアパートに連れ込まれた。

今思うと、あれは完全に誘拐だったな。監禁されて犯されて殺される。

そう思い、泣き出しそうになったが、穂高は思いの外あたしに優しく接してくれた。



「怖いことはしないから安心して」



 玄関で腰を抜かし座り込んでしまったあたしを、穂高はそう言って頭を撫でてくれた。そして抱き上げられた。



「ごめんね。無理矢理に連れてきて悪かった」



 あたしは何も言わなかった。恐怖感と困惑で感情が整理できなくなっていた。



「でも、もう引き下がれないから」



 あたしは穂高にベッドへ押し倒されて、服を脱がされた。下着姿になり、今にも泣き出しそうな顔で穂高を見た時、あたしの気持ちを察したのか、穂高はこう言った。



「大丈夫。君を好きになったりはしない。だからストーカーとかにはならないから安心して。君は俺の好きな人に似ているんだ。好きな人の変わりにするだけだよ」



 何が大丈夫なのか全然わからなかった。

はっきりと、好きにならないと言われたのはショックだったけど、ちょっと怖い人だったし面倒な事になるよりはいいかと思って受け入れた。



 穂高はあたしの身体に触れて、自分の欲求を満たした。

あたしは混乱していて、早く終わらないかなって、そればかり考えて、ずっと天井を見ていた。

タヌキおじさんと違ってあまり身体の相性は良くなかったけど、思ったより優しく抱いてくれて、乱暴に連れてこられた分そのギャップに少しだけ惹かれた。

あたしは完全にマグロ状態だったけど、それでも穂高はあたしのことを気に入ったようで、事を終えた後、今後関係を続けるよう執拗に迫ってきた。

抱かれた後でも穂高への不審感を完全に拭うことはできなかったけど、他に断る理由もなかったからOKした。



 連絡先を交換すると、穂高は不思議なことに、恋愛をしないようにと束縛をしてきた。

なんで?って聞いたけど、適当にはぐらかされて教えてくれなかった。

まあ、どうせ人並みの恋愛なんてできないと思っていたし、深く考えずに受け入れてしまった。



 あの時のあたしは本当に馬鹿だったと思う。

でも、当時は人付き合いにも慣れていなくて経験も浅かったから仕方なかったんだ。



 それからは穂高とは月に一、二回くらいの頻度で会っていた。



「なんでその本がそんなに好きなの?」



 本を鞄にしまっている穂高にあたしは聞いた。

別にその本にも穂高にもそんなに興味があるわけじゃなかったけど、特に話すこともなかったから話を続けただけ。



「小学生が書いた本なんだ。今は絶版になっている。小学生とは思えない緻密な心理描写が見事なんだ」


「ふーん」


「歳を重ねれば重ねるほどこの本の良さがわかるようになる」


「年寄りくさいなあ。穂高、そんなに歳とってないでしょ?」


「今年で二十七だね」


「まだまだ子どもじゃん」


「高校生に子どもって言われるとはね」


 穂高は右頬を吊り上げて皮肉な笑みを浮かべた。

穂高はあまり笑わない人で、たまに微笑んでも目だけは冷たくてアンバランス。

あたしは穂高の笑顔が苦手だった。

不吉な表情にあたしは少し背筋に冷たいものを感じた。



「あたしはおじさん達と寝てるからね。精神が少し大人なの」



 不安を打ち消すように、あたしは茶化した。

すると穂高は鋭い視線を向けてきた。



「奈緒、おじさんと寝てるとかデカい声で言わないで。もっとお淑やかに」



 穂高が冷たい目で睨む。あたしは慌てて口をつぐんだ。

心臓が飛び出るのではないかというくらい鼓動が速くなる。

饒舌になりすぎたと反省した。



 あたしと穂高は二人で近くのホテルに入った。

 穂高はあたしを優しく大切に抱いてくれるけど、目だけは冷たくて恐い。

理想が高くて、変なことを言うと怒られるから基本的には黙っている。

なんでこんな人と関係を続けているんだろうって自分でも疑問だけど、あたしが余計なことさえ言わなければ病的なまでに優しく抱いてくれるから、ダラダラと関係を続けているのが正直なところ。



「はい」



 事を終えると、穂高はATMから下ろしてきたばかりなのか封筒に入れたままで現金を渡してきた。

あたしはお礼を言って封筒を受け取った。

穂高は働いているように見えないけど、Webライターというのをしているらしく、稼ぎはそこそこいいらしい。

世の中にはいろいろな仕事があるんだね。

社会に出ていないあたしにはどんな仕事なのかわからないけど。



 あたしはベッドに座って何も考えずに上を向いていた。

このホテルには家庭用のプラネタリウムが備え付けられていて、天井には無数の星が映し出されていた。

あたしは天井を流れる星を眺めて、穂高はソファに座ってあたしを見ていた。



「奈緒は美しいね」


「ありがとう」


「女性はとても美しい」


「そう?」


「でも、いつか醜くなる時がくる。いつだと思う?」


「年老いた時?」


「違う」


「太った時?」


「違う」


「わかんないよ」


「母親になった時だよ」


「母親に?」


「子どもを妊った瞬間から女は母になる。もう女じゃなくなるんだ」



 それは極論じゃないか?

母親だって美しいよって思ったけど、怒られるのが嫌だったから黙って頷いた。

そして天井のオリオン座が動くのをぼんやりと見ていた。



「奈緒は母親になんかなってはいけないよ」


「うん、わかった」


「だから、恋なんてしないようにね」


「わかってるよ」


 その時は、あたしは穂高の言うことを簡単に考えていた。

きっと恋をできるような人付き合いなんてこの先無いし、穂高との関係もそのうち終わるだろう。

とりあえず今は黙って穂高の言う事を聞いておけばいい。

何度でも言うけど、あたしは本当に浅はかで馬鹿だった。



「奈緒、カルメンって知ってる?」


「カルメン?あのオペラの?」


「そう」


「中学生の時に芸術鑑賞会で観たよ。大好き。特にハバネラのメロディ」


 中学生時代の記憶がよみがえる。

カルメン役の綺麗な女性が歩きながら歌うシーンは今でも鮮明に思い出せる。



「内容は覚えている?」



 穂高は語り始めた。



「ドン・ホセという兵隊が、ジプシーのカルメンに誘惑されて恋に落ちるんだ。婚約者のミカエラがいるというのにね。しかしカルメンは真面目な性格のドン・ホセにすぐ飽きてしまう。そして闘牛士のエスカミーリョに恋をする。ドン・ホセはミカエラの説得にも動じず、カルメンに愛を伝えるが、カルメンの心は動かない。カルメンの愛が自分に向かないとわかったドン・ホセはカルメンを殺してしまう」


「うん。切ないよね」



 実際、ドン・ホセがカルメンを刺すシーンはあまりの切なさ、やり切れなさに涙を流した。

こんなに苦しむなんて、恋は残酷だな、なんて思っていた。



「奈緒は、男を狂わす女が悪いと思う?勝手に狂う男が悪いと思う?」



 穂高はソファに肘をついて質問を投げかけてきた。



「これはどっちが悪いとかいう話ではないんじゃない?」


「イエスかノーかで答えられる質問をしたんだよ?質問にだけ答えるように」



 穂高にピシャリと言われた。



「うーん、一概には言えないけど、カルメンの話に限って言えば、婚約者のいる男性に手を出してさっさと捨てるカルメンは酷いと思うし、感情に任せて殺人をするドン・ホセも良くないと思う。まあ、相性がわるかったんじゃない?」


「確かに規律を重んじる兵隊のドン・ホセと、自由を愛するジプシーのカルメンじゃ相性が悪かった」



 でもね、と穂高は続ける。


「俺はドン・ホセの気持ちがわかるんだ」


「ドン・ホセの気持ち?」


「好きな女に狂ってしまう気持ちだよ」



 そういえば穂高には好きな人がいるんだった。

あたしはあくまでその代わり。

あたしを代わりにするくらいだから、穂高の恋はうまくいっていないのだろう。

それでも諦め切れていないなんて、よっぽど好きなんだろうな。

あたしは人を好きになったことなんてないから分からないけど。



「俺は、ドン・ホセを狂わせたカルメンが悪いと思うね。だから、殺されても仕方がないよ」


「でも、殺さない方法もあったんじゃないかな?カルメンのことを諦めてミカエラの元へ戻るとか。元婚約者の一途なミカエラなら、一度はカルメンのところへ行ったとはいえ、ホセのこと受け入れてくれる気がするし」


「そんな単純な話じゃないんだよ」



 穂高はあたしの意見を否定した。

いつだってそう、自分から聞いておきながら、とにかくあたしの意見には首を横に振った。

それがあたしは嫌だった。自分の意見を決して曲げない姿勢に、狂気が垣間見えるようで気味が悪かった。



「奈緒はなんでそんなに殺人が駄目だとこだわるわけ?」



 あたしは穂高の常識はずれの言葉に困惑した。

穂高は自分の言っていることが正しいと信じて疑っていない様子だ。



「こだわるも何も、法律で禁じられているじゃん」


「恋って理屈で説明できないくらい複雑なんだよ。だから恋愛における殺人は致し方ないと思うね。恋をしたことのない奈緒にはわからないだろうけど」



 恋をするなと言っておきながらその言種はないのではないか。

あたしは憤った。

やっぱり穂高は少しおかしい。

あたしはプラネタリウムの電源を切った。

そろそろホテルの滞在時間が三時間を超える。急いで出なければ。



 急いで服を着るあたしをよそに、穂高はあたしの一挙手一投足を眺めていた。



 翌日の水曜日の二時間目、選択科目の授業だった。

うちの高校は二年生で文系に進むか理系に進むかを選べるんだけど、あたしは理系に進んだ。

理系に進むと理科は二科目学ぶことになり、化学が必修で、もう一科目は物理、生物、地学から選択する。

あたしは物理を選択した。

物理は隣のクラスの物理選択者と合同で、うちの教室で授業だから移動は無し。

休み時間をフルに使える。

あたしは自分の席について外を眺めていた。

しばらくすると、隣に男の子が座った。

その子は、昨日自転車に乗って私を追い越していった男の子の一人だった。

振り向いた方ね。

少し髪が長くて、よく見ると結構かわいい顔をしている。

偏見だけど、歳上のお姉さんにモテそうだ。



 その子が、急に話かけてきた。



「ねえねえ、二中の諏訪部さんだよね?僕も二中だったんだ。霜田幸祐っていうんだ。二年生の時同じクラスだったんだけど、覚えている?」



 教科書とノートを机に並べながらその子は言った。

のんびりのほほんとした愛嬌のある顔で、人当たりは良さそう。

でも目立つタイプではないなと辛口のレビューをする。

残念ながらあたしは彼を全く覚えていなかった。



「へー、そうなんだ」



 あたしは素気なく答えた。

中学校の同級生なんて碌なものじゃない。

美保子に話しかけられた時と同じような事を言われるのかと思うと気が萎える。



「諏訪部さんと同じ高校だったなんて、知らなかったよ。一年生の時は何組だったの?」



 霜田は続けた。

なんと馴れ馴れしいことか。

あたしはそもそもあんたを知らないんだけど。



「一組」


「そうなんだ。僕は六組だから、教室離れていたし、全然接点なかったんだね」


「よくあたしのことなんて覚えていたね」


「だって諏訪部さん、目立ってたから有名だったもん」



 その言葉に、あたしは苛立った。

あたしが目立つような事をしていたのは、決して前向きな理由ではない。

何も知らないから色々と言えるのだろうが、人には言われて嫌なことだってあるのだ。

これだから同年代の子と話すと、碌なことがない。



「なに?あたしがいじめられてたおかげで自分がいじめられなくてよかった?」



 皮肉をたっぷりと込めた口調で言った。

しかしあたしの嫌味にも動ずることなく霜田は続けた。



「何それ、すごい被害妄想」


「違うの?前に別の子からそう言われたから」


「僕もいじめられてたんだもん。そんな失礼な事言わないよ」



 あたしは少し驚いた。

こんな人懐っこいような彼でもいじめに合うのか。

それと同時にバツの悪さも感じた。彼もいじめ経験者だというのに、いじめとは無関係な人間だと思って冷たくあしらってしまった。

いじめを経験している人って多いんだね。

昨今の教育環境の悪化は目に余る、なんてじじくさい事を考える。

何も知らないとはいえ、あたしも彼に失礼な態度取っちゃったかな。



「まあ、程度の差はあるだろうけど、いじめを受ける辛さは分かるよ。だから君がいじめられてよかったなんて微塵も思わないね」



 霜田はけろりと言ってのけた。

あまりにあっけらかんとしていたので、本当にいじめられていたのか怪しい。

いや、それはあたしも同じか。



「それで、あたしに何か用?」



 あたしは刺々しい口調で言った。

このまま話していると、余計なことを言いそうで不安になる。

口は災いの元って言うし、早く会話を終わらせてしまいたい。



「用事なんてないよ。話したかったから話しかけただけだよ」



 霜田はいけしゃあしゃあと答えた。なんなんだ、こいつは。



「霜田、ちょっとここの問題教えてくれない?今日先生に当てられる可能性高いんだよ。急ぎで頼む」


「いいけど僕に分かる問題かな?」


「速度の合成のところ。俺ベクトル苦手でさあ」


「ああ、そこなら教えられるよ。ノート見せて」



 他の子に話しかけられてあたし達の会話は終わった。

一方的に終わらせられたと言うのが近い。

何なんだ、馬鹿にしているのかこいつは。

急に話しかけてきて、急に終わらせて。

さっきまで早く話を切り上げたいと思っていたのに、勝手に切り上げられてムッとするあたしも大概だけど。



 でも、あたしは会話を終えて妙な充足感を感じていた。

話している最中はソワソワと不安で仕方なかったのに、どうしてだろう?

同年代の子と話したのが久しぶりだったからかな?

霜田の雰囲気があたしの波長と合っていたのかもしれない。



 あたしは外を眺めた。

雲の切れ間から光の柱が何本か出ていた。


天使の梯子だ。


天使の梯子って、チンダル現象っていう物理とか化学で説明できる現象らしい。

名付けた人はロマンチックだね。

そんな事を誰かに言ったら、なんでそんな物理現象をロマンチックな名前で呼んで喜んでいるの?って馬鹿にされるかもしれないけど、あたしは天使の梯子って呼び方が好きだし、綺麗だから見るとラッキーって気持ちになる。

碌な事のないあたしの人生では、小さな事が嬉しくてたまらないんだよね。


 こういう小さな幸せの積み重ねだと思うんだ、幸せな人生って。


 話が逸れたけど、これがあたしの人生の転機、霜田幸祐との出会いだった。
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