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3章 脳無舞踊~デュラハンダンス~

第37話

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「関節のチェックから始めますよ!」
 ドックではアオイさん達いつもの整備チームがスタンバイしており、到着早々機体のチェックとメンテナンスが始まった。
「バラットさんお疲れさまです、テスト見てましたよ! すごかったですね」
 コックピットを開くとアオイさんが入ってきて機器の点検をしながら話しかけてきた。
「アオイさん達にはいつもお世話になっちゃって……」
「これが仕事だし大丈夫ですよ! 機体がいくら壊れても直して見せますから!」
 流石プロって感じでかっこいい。
「胸部装甲開いてもらってもいいですか?」
「了解です」
 機体を操作して胸部装甲を開く。ここはコアユニットやコンピューターなど内部システム系のメンテナンスをするために展開できるようになっているのだ。
「機体大丈夫そうですか?」
「テストを見た感じフレームなど機体自体は問題なさそうなんですけど、関節の負荷が想像以上に掛かっているのと機体反応の低下は多分システム系の異常だと思うんですよね……」
 あの試験を見てそれが予想できるのは流石だ。
「たぶんシステム面で異常を解決できれば性能ダウンは抑えられると思うんですけどね」
「肯定します。機体自体はマナの膨大なエネルギーに十分耐えられると思われますが強度の低下する関節部及び精密機械部位のダメージが主なスペックダウンの原因と予想されます」
「クーナちゃんもやっぱりそう思いますよね? でも現行の技術だとどうしても限界があって……」
「難しいですね」
 普通に話しているのを見るとクーナもすっかりとけこんだようで安心だ。
「あ、クーナちゃん。武装研究班がバーストモードのデータを欲しいって言ってたんだけど」
「了解しました、まとめたデータを提供しておきます」
「ありがとう!」
 なんとなく予想は付くけど辰薙を作っていたチームだろうと思いそっと目を反らした。実戦で使うたびに砕いて申し訳ないとは思っている。
「バラット様は最善を尽くしていると思いますよ?」
 クーナはホントに察しがいい、アオイさんも笑っていた。
「おつかれ~」
 そんな話をしているといつの間にかレイカさんもやってきていた。テスト開始時には居たのにいつの間にかクーナに任せていなくなってた偉い人だ。
「あ、副指令お疲れさまです」
 レイカさんはザラタン・セカンド部隊の副官ということで副指令と呼ばれるようになっていた。
「ドラクスの方は大丈夫そう?」
「一応改善点は洗い出しできていますし、クーナちゃんの集めてくれたデータもあるんでリミッターの設定とOSの調整で実戦ラインにはできると思います」
「そう、よかったわ。その機体はワンオフ機だけどドラクス自体はいずれ量産ラインに乗せる予定だからデータは多い方がいいのよ」
「え? これを量産するんですか!?」
「もちろんキャストシリンダーは装備しないしコスト的にも性能は落とすわよ?」
「ですよね……」
 流石にこんなに手間のかかる機体をそのまま量産は無理がある。一応ドラクスはレクティスを近接戦重視で再設計した後継機としての立ち位置である、純粋にそのレベルにまで調整するのだろう。と思う!
「そもそもこんなじゃじゃ馬扱えるパイロットがそうそういないわよ」
 一応誉め言葉としてもらっていいのだろうか?
「ところで副指令、何か用事だったのでは?」
「あ、そうだった。クーナちゃんとバラット君借りてってもいい?」
 チラっとアオイさんを見ると微笑んで見せてくれた。
「あとは私達で出来るので大丈夫ですよ。それにあれを見せるんですよね?」
「そそ! あれを見せようと思って皆集めてたの」
「あれって?」
「それは見てからのお楽しみです!」
 アオイさんにはぐらかされてしまった。
「了解、今行きます」
 俺はアオイさんにドラクスを任せてコックピットを降りた。
「もう皆集まってるから行きましょ!」
「わかりました」
 俺達はレイカさんについていきドックを後にするのであった。
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