TSして魔法少女になった俺は、ダンジョンをカワイく攻略配信する~ダンジョン配信は今、カワイイの時代へ~

あけちともあき

文字の大きさ
62 / 373
マシロ、配信を目論む編

第62話 計算通り!

しおりを挟む
 紅野シロコの配信にて、彼女が焦りながら報告をしている様を眺める俺。

『みみみみ、みんなー! 大変ッスよー! あ、あ、あの黒胡椒スパイスちゃんから! お誘いが来ちゃったッス! コラボ! コラボのー!!』

 十人ちょっといる同接が、わいわいと盛り上がる。
 こういうアットホームな雰囲気もいいものじゃないか。
 だがこの同接数で危険なダンジョンに挑むのは感心しないな。

 知らない若者が若気の至りで突撃するのは止められない。
 個人の自由だからだ。

 だが、それが大変よく見知った仲であるマシロならどうか。
 いかーん!
 許せるわけがない。

 せめて俺が同接を増やす手伝いをして、彼女の身の安全を確保したい。
 さらに言えば、配信者としてのいろはを教えてやらねば。

 俺は使命感に燃えていた!

『なんだかんだで主様、あのマシロって娘のことを気にかけてますよねえ』

「同じ大学の後輩だし、入社した時から俺が面倒見てるからな……」

 年度が5年ちょっと離れているので、実際に顔を合わせたことはない。
 だが、OB参加OKの飲み会に行った時、新入生だったマシロを見たことがある気がする。
 学校関連ではその程度の付き合いでも、同じ大学の出だというのはやはりシンパシーを感じる。

 それが俺の直接の部下になり、ここまでまるまる一年の付き合いがあるというのは、やはり何らかの縁があるのだろう。
 なんかマシロ一家が、俺の堀を埋めて彼女とくっつけようとしてきているのは解せぬが。

 さて、約束の時間だ。
 俺はマンションを出ると、電車に乗り込んだ。
 そして予定していたダンジョンの近くに到着。

 既に野次馬がやって来ている。
 マシロが迂闊に配信場所を漏らしたためである。
 このあたりのガードの甘さも色々教えていかねばな……!

 そこは個人経営だった廃病院。
 噂によると、治療に失敗して患者から訴えられ、医者が夜逃げした病院だとか。そして夜な夜な、死んだ患者の怨霊が出る……といわれている。
 が、実際は違う。

 後継者がいなかったので医者が引退したあと、病院は役割を終えた。
 空き家になった病院に、ウェイウェイ言う若者が入って来てパーティをし、酒で酔っ払って空き瓶で滑って転んで頭を打って死に、その無念さから怨霊になってダンジョン化したのだ。

 はー!
 しょーもな!!

「医者の人、完全に風評被害じゃんかねえ!!」

 既に物陰でスパイスへの変身を終えた俺は、ぷりぷり怒った!
 アホやるのはいいけど他人に迷惑かけるんじゃなーい!

 ダンミーにもその旨が書かれているが、集まっている野次馬はそんなこと聞いちゃいないのだ。

「治療失敗で怨霊が……」「逃げ出した医者が……」

 はー、風評被害!!
 思わず配信前なのに、野次馬に話しかけちゃったよ。

「ちょっとちょっと、チミたちー」

「はっ、その声は!」「ウワーッ!! スパイスちゃん!!」

「そう、スパイスだよー。ちなみにこのダンジョンは! お医者さんはなーんも関係ありません!!」

 ここからシロコとの合流場面の撮影が始まってるよ!
 一般の人達はフロッピーが顔と声を加工してるからね!

「中に入り込んだ若人が、若気の至りで若気の至りを振り回して、若気の至り死したら怨霊になったの! よろしい?」

「わかりました!」「すごくわかりやすかった」

 物わかりのいいリスナーは好きだよぉ。

『主様が投げキッスしたらふたりともメロメロでしたねー!! 魔女の色気というものをマスターしてきましたね!』

「よせよー、おじさんなのにー」

『色っぽい魔女であることに性別なんか関係ありませんよー!』

 ほんとうー?

 そんなこんなで野次馬なリスナーたちとわちゃわちゃ喋っていたら、向こうから黒いコートの女がやって来た。
 そして、近くに来てパッとコートを脱ぐ!

 へ、へ、変態だー!!
 って思ったら、もうバーチャライズを終えたマシロじゃん。
 ここではシロコと呼んでおこう。

「は、は、は、初めましてッス! 紅野シロコッス! こ、今回はお誘いいただき光栄ッス!!」

 ガチガチに緊張してるじゃん。
 声と口調がまんまマシロなんだよなあ……。

「やあやあシロコちゃん! スパイスだよー! 今日はよろしくね! 先輩配信者としてー、心得みたいなものをたくさん教えちゃう! ダンジョンは常に危険地帯だけど、攻略は楽しくやっていこうねえ」

「はいッス!」

 ということで、スパイスとシロコが揃ったところを、野次馬リスナーたちがパシャパシャ撮影した。
 大いに宣伝してくれたまえ!

 なに、PickPockで動画にして流す?
 どうぞどうぞ。
 シロコをちょっとでも有名にして同接を増やすのだ!

 ファーストバズりが無ければ、配信者は上には行けない。

 ちなみに。
 人間の時は、俺の方がマシロより頭一つ近く背が高いのだが。
 スパイスになるとシロコの方が頭一つ背が高い。

 うーん、スパイスは相当ちっちゃくなってるからねー!
 あっ、シロコ、どさくさに紛れてスパイスの頭を撫でているな!

 そういうのは周りから見ると、てぇてぇ、という概念に通ずる。
 よく分かってるじゃないか、許そう。
 でも一応次からは許可を取ろうな。

 PickPockに流れた動画は大いに若者たちの耳目を集めたらしい。
 開始した配信に、どんどん人が集まってくる。

 コラボ配信のいいところは、コラボした相手にも同接によるブーストが掛かる所だね。
 弱点は、同接ブーストが分配されるから、見た目の同接数ほどのパワーが出ない所。

 なので、同接数に差がある同士のコラボはダンジョンとのパワーバランスを慎重に見極めねばなのだ。

 ま、今回のダンジョンなら楽勝よ、ラクショー!

『ん主ぃ、フレイヤも慢心して主にぶっ飛ばされたぞぉ』

「おっととと!! 気を引き締めないと! そんじゃあ配信、行ってみるかあ!」

『こちらが画面です。どうぞ主様』

 フロッピーの呼びかけに応えて、俺はそっちに笑顔を向けた。

「どーもっ! こんちゃー! スパイスでーす!! 今日はコラボだよー!!」
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ゴボウでモンスターを倒したら、トップ配信者になりました。

あけちともあき
ファンタジー
冴えない高校生女子、きら星はづき(配信ネーム)。 彼女は陰キャな自分を変えるため、今巷で話題のダンジョン配信をしようと思い立つ。 初配信の同接はわずか3人。 しかしその配信でゴボウを使ってゴブリンを撃退した切り抜き動画が作られ、はづきはSNSのトレンドに。 はづきのチャンネルの登録者数は増え、有名冒険配信会社の所属配信者と偶然コラボしたことで、さらにはづきの名前は知れ渡る。 ついには超有名配信者に言及されるほどにまで名前が広がるが、そこから逆恨みした超有名配信者のガチ恋勢により、あわやダンジョン内でアカウントBANに。 だが、そこから華麗に復活した姿が、今までで最高のバズりを引き起こす。 増え続ける登録者数と、留まる事を知らない同接の増加。 ついには、親しくなった有名会社の配信者の本格デビュー配信に呼ばれ、正式にコラボ。 トップ配信者への道をひた走ることになってしまったはづき。 そこへ、おバカな迷惑系アワチューバーが引き起こしたモンスタースタンピード、『ダンジョンハザード』がおそいかかり……。 これまで培ったコネと、大量の同接の力ではづきはこれを鎮圧することになる。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

処理中です...