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第1章 気が付かない3人の関係
王妃の企て
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【SIDE 王妃】
「どうしてっ! フレデリックがワーグナー公爵家の娘と婚約が決まったですって! フレデリックは、これまで陛下に、探している令嬢がいるって言い続けていたでしょう。それは何だったのよ」
それも、よりによってワーグナー公爵家の娘。
思い返しても忌々しい。
一番利用価値のある家だと思ったから、ミカエルの婚約相手の指名をした。
それなのに、何度も申し出を断ってくる非常識な家。
公爵家の人間が生意気なのよ。
王室からの婚約を断っていたくせに、どうして第1王子の婚約者になっているのよ。
国王陛下は、圧倒的にフレデリックを王太子にすると決めているのに。
それに加えて、フレデリックは、あのワーグナー公爵家まで味方に付けたというの?
これでは王太子の選考で、ミカエルが圧倒的に不利になる。
「ワーグナー公爵家は、貴族議会で絶対の権力者ですが、自分の意見を言わない当主として有名ですから、王太子の選考にも口を出すとは思えませんが」
「絶対にフレデリックを押さない保証もないでしょう。ましてや、娘がフレデリックに付いているのよ。ワーグナー家の当主が中立でいるから、大半の貴族達を、第2王子派に引き込んだのに」
「まあフレデリック殿下は、貴族達から人気がありませんからね。自ら貴族達の評判を落とす、あの視察を繰り返していますから。第1王子へ不満を持つ貴族が多いのは事実ですし、これからも変わりません。国王は第1王子、貴族は第2王子を押せば、第3の意見として、王妃様の意見も反映される。そうなれば、第2王子のミカエル殿下が王太子というシナリオに、変わりませんよ」
「でも、ワーグナー公爵家が『フレデリック』と一言発したら、全ての貴族が寝返る。そうなる前に、ワーグナー公爵家の娘を、フレデリックから引き剥がすわよ」
「どうやって?」
「フレデリックが探していた、娘が現れたらいいのよ。そうしたら、フレデリック自ら、価値のあるワーグナー家の娘を捨てて、偽物の娘を欲しがるはずよ。あの気取ったフレデリックが無様に騙されるのは楽しみじゃない」
「そう上手くいくでしょうか?」
「フレデリックが探している娘は、容姿さえ合っていればいいのよ。記憶は、事故で失ったと言えば何とかなる。ふふっ、そうすればミカエルの婚約を断ってきたワーグナー公爵家にだって、仕返しができる。願ったりかなったりだわ」
「正直言って、容姿だけで、でっち上げた娘を、あのフレデリック殿下が選ぶとは思えませんが」
「ワーグナー公爵家と引き離せないなら、フレデリックを殺す。フレデリックは、仮にもわたしの義理の息子なの。やり方はいくらでもあるわ。だけど、まずは娘の件からね。父へ詳しい情報を報告して、容姿の合う娘を用意して頂戴。瞳と髪の色さえ合えば問題ないわ」
「どうしてっ! フレデリックがワーグナー公爵家の娘と婚約が決まったですって! フレデリックは、これまで陛下に、探している令嬢がいるって言い続けていたでしょう。それは何だったのよ」
それも、よりによってワーグナー公爵家の娘。
思い返しても忌々しい。
一番利用価値のある家だと思ったから、ミカエルの婚約相手の指名をした。
それなのに、何度も申し出を断ってくる非常識な家。
公爵家の人間が生意気なのよ。
王室からの婚約を断っていたくせに、どうして第1王子の婚約者になっているのよ。
国王陛下は、圧倒的にフレデリックを王太子にすると決めているのに。
それに加えて、フレデリックは、あのワーグナー公爵家まで味方に付けたというの?
これでは王太子の選考で、ミカエルが圧倒的に不利になる。
「ワーグナー公爵家は、貴族議会で絶対の権力者ですが、自分の意見を言わない当主として有名ですから、王太子の選考にも口を出すとは思えませんが」
「絶対にフレデリックを押さない保証もないでしょう。ましてや、娘がフレデリックに付いているのよ。ワーグナー家の当主が中立でいるから、大半の貴族達を、第2王子派に引き込んだのに」
「まあフレデリック殿下は、貴族達から人気がありませんからね。自ら貴族達の評判を落とす、あの視察を繰り返していますから。第1王子へ不満を持つ貴族が多いのは事実ですし、これからも変わりません。国王は第1王子、貴族は第2王子を押せば、第3の意見として、王妃様の意見も反映される。そうなれば、第2王子のミカエル殿下が王太子というシナリオに、変わりませんよ」
「でも、ワーグナー公爵家が『フレデリック』と一言発したら、全ての貴族が寝返る。そうなる前に、ワーグナー公爵家の娘を、フレデリックから引き剥がすわよ」
「どうやって?」
「フレデリックが探していた、娘が現れたらいいのよ。そうしたら、フレデリック自ら、価値のあるワーグナー家の娘を捨てて、偽物の娘を欲しがるはずよ。あの気取ったフレデリックが無様に騙されるのは楽しみじゃない」
「そう上手くいくでしょうか?」
「フレデリックが探している娘は、容姿さえ合っていればいいのよ。記憶は、事故で失ったと言えば何とかなる。ふふっ、そうすればミカエルの婚約を断ってきたワーグナー公爵家にだって、仕返しができる。願ったりかなったりだわ」
「正直言って、容姿だけで、でっち上げた娘を、あのフレデリック殿下が選ぶとは思えませんが」
「ワーグナー公爵家と引き離せないなら、フレデリックを殺す。フレデリックは、仮にもわたしの義理の息子なの。やり方はいくらでもあるわ。だけど、まずは娘の件からね。父へ詳しい情報を報告して、容姿の合う娘を用意して頂戴。瞳と髪の色さえ合えば問題ないわ」
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