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挿話
6歳のマックス
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【SIDE 6歳の弟マックス】
姉といってもほとんど同じ時間に生まれたのに、どうして僕がアリーチェを姉上と呼ばなきゃいけないんだ。
なんなんだアリーチェは? いちいち腹が立つ。
本の中の作り話が現実に起きると勝手に妄想する痛い性格。くだらない話をして、いつも笑っている。
それなのに、こと勉強に関しては、僕以上に理解が早いだって。いつも馬鹿話しているアリーチェが、そんな訳ないだろう。
家庭教師達が、僕のことをけしかける嘘としか思えない。
悔しいからアリーチェが勉強しているところへ押しかけた。
少しだけ困った顔をしたくせに、何が一緒の方が楽しいからって笑うんだよ。
本当に、むしゃくしゃさせる性格だ。
家庭教師から1回教わっただけでは、僕は分からなかった。だけど、アリーチェは、ちゃんと分かってた。
そのせいで、僕が分かるまでアリーチェを待たせてしまう。
その度に、アリーチェは、もう1回聞けばもっと分かるからって、僕を絶対に責めないでくれる。
初めは嫌がらせのつもりだったのに、アリーチェが全然嫌がらないから、なんか申し訳なくなってきた。
嫌がらせのために、アリーチェの布団に一緒に入って寝るって言えば、困った顔をしたくせに、「マックスが寂しくないように一緒にいてあげる」って、どうしてそんなこと言えるんだよ。本当に頭がおかしなやつだ。これと姉弟だってのが、恥ずかしい。
口先だけだと思って、わざとにしがみ付いて寝てやった。
アリーチェを困らせるための嫌がらせだった。
なのに、優しく撫でてくれて、むしゃくしゃしてた気持ちがどこかに行って、アリーチェが温かくて離れたくなくなった。
僕が父上の言いつけを守らなくて怒られたとき、やってもいない姉も僕を庇って一緒に怒られてくれた。
アリーチェは怒られた後も呑気に笑ってた。
双子っていっても、僕とは全然似ていない。
僕は叱られたことがショックで、落ち込んでるのに、どうして、一緒に叱られたアリーチェは笑っているんだ。
僕に気にするなって呑気に笑いかけて、どれだけ阿呆なんだよ。
アリーチェが、公爵家の名前に恥ずかしい性格で、本当に腹が立つ。
この夏、我が家へ頻繁に来てくれていた祖母が亡くなった。
いつも、僕たちの知らない話をしてくれる大好きな祖母だった。
それから少しずつアリーチェの様子がおかしかった。
叱られても、嫌がらせされても、笑い飛ばしていたアリーチェが笑わなくなった。
人には元気になれだの、ちゃんとご飯を食べろと言うくせに、アリーチェは、ご飯を食べずに、ぼーッとしている。
自分の異変に気付いていないんだ。
いつも人のことばかりを考えているから、こんなことになるんだよ。
いつもアリーチェが話していた、王子様の話を聞かせたけど上の空で、いつになったら元気なアリーチェになってくれるのか心配になる。
いつもみたいに呑気に笑っててくれないと、本当に寂しいから。
姉本人は何ともないと思っているけど、屋敷中の人間が姉の体調を気にするようになった。
本人は気付いていないけど、2週間以上まともにご飯も食べずに、今までどおりに勉強を続けている。
僕は分かっている。
ワーグナー公爵家は、僕ではなく姉が継ぐべきだと。
姉が、そらんじている建国史。
僕は姉のように言えるわけもなく、書かれている内容も分からない。
姉のお陰で家庭教師の勉強になんとか、しがみ付いているだけなんだ。
姉がいなければ、僕は何でも卒なくこなせると調子に乗っていたはずだ。
そんな僕のことを、絶対に馬鹿にしない姉。あまりにも、人が好過ぎて心配だ。
母が姉を屋敷の外へ連れ出してくれた。
勉強だって、姉がいないと全然やる気が出ない。
姉の呑気な王子様の話を聞かないと、詰まらないのはなぜだろう。
姉がいないと、全然駄目な1日だった。
それに、姉を困らせるために一緒に寝ていたのに、いないと寂しくて本当に眠れない。
神様、もう大好きな姉に意地悪はしないから、姉を早く元気にしてください。
姉がいないと僕は寂しいから、できれば、もう2度と僕の傍を離れないようにしてください。お願いします。
姉といってもほとんど同じ時間に生まれたのに、どうして僕がアリーチェを姉上と呼ばなきゃいけないんだ。
なんなんだアリーチェは? いちいち腹が立つ。
本の中の作り話が現実に起きると勝手に妄想する痛い性格。くだらない話をして、いつも笑っている。
それなのに、こと勉強に関しては、僕以上に理解が早いだって。いつも馬鹿話しているアリーチェが、そんな訳ないだろう。
家庭教師達が、僕のことをけしかける嘘としか思えない。
悔しいからアリーチェが勉強しているところへ押しかけた。
少しだけ困った顔をしたくせに、何が一緒の方が楽しいからって笑うんだよ。
本当に、むしゃくしゃさせる性格だ。
家庭教師から1回教わっただけでは、僕は分からなかった。だけど、アリーチェは、ちゃんと分かってた。
そのせいで、僕が分かるまでアリーチェを待たせてしまう。
その度に、アリーチェは、もう1回聞けばもっと分かるからって、僕を絶対に責めないでくれる。
初めは嫌がらせのつもりだったのに、アリーチェが全然嫌がらないから、なんか申し訳なくなってきた。
嫌がらせのために、アリーチェの布団に一緒に入って寝るって言えば、困った顔をしたくせに、「マックスが寂しくないように一緒にいてあげる」って、どうしてそんなこと言えるんだよ。本当に頭がおかしなやつだ。これと姉弟だってのが、恥ずかしい。
口先だけだと思って、わざとにしがみ付いて寝てやった。
アリーチェを困らせるための嫌がらせだった。
なのに、優しく撫でてくれて、むしゃくしゃしてた気持ちがどこかに行って、アリーチェが温かくて離れたくなくなった。
僕が父上の言いつけを守らなくて怒られたとき、やってもいない姉も僕を庇って一緒に怒られてくれた。
アリーチェは怒られた後も呑気に笑ってた。
双子っていっても、僕とは全然似ていない。
僕は叱られたことがショックで、落ち込んでるのに、どうして、一緒に叱られたアリーチェは笑っているんだ。
僕に気にするなって呑気に笑いかけて、どれだけ阿呆なんだよ。
アリーチェが、公爵家の名前に恥ずかしい性格で、本当に腹が立つ。
この夏、我が家へ頻繁に来てくれていた祖母が亡くなった。
いつも、僕たちの知らない話をしてくれる大好きな祖母だった。
それから少しずつアリーチェの様子がおかしかった。
叱られても、嫌がらせされても、笑い飛ばしていたアリーチェが笑わなくなった。
人には元気になれだの、ちゃんとご飯を食べろと言うくせに、アリーチェは、ご飯を食べずに、ぼーッとしている。
自分の異変に気付いていないんだ。
いつも人のことばかりを考えているから、こんなことになるんだよ。
いつもアリーチェが話していた、王子様の話を聞かせたけど上の空で、いつになったら元気なアリーチェになってくれるのか心配になる。
いつもみたいに呑気に笑っててくれないと、本当に寂しいから。
姉本人は何ともないと思っているけど、屋敷中の人間が姉の体調を気にするようになった。
本人は気付いていないけど、2週間以上まともにご飯も食べずに、今までどおりに勉強を続けている。
僕は分かっている。
ワーグナー公爵家は、僕ではなく姉が継ぐべきだと。
姉が、そらんじている建国史。
僕は姉のように言えるわけもなく、書かれている内容も分からない。
姉のお陰で家庭教師の勉強になんとか、しがみ付いているだけなんだ。
姉がいなければ、僕は何でも卒なくこなせると調子に乗っていたはずだ。
そんな僕のことを、絶対に馬鹿にしない姉。あまりにも、人が好過ぎて心配だ。
母が姉を屋敷の外へ連れ出してくれた。
勉強だって、姉がいないと全然やる気が出ない。
姉の呑気な王子様の話を聞かないと、詰まらないのはなぜだろう。
姉がいないと、全然駄目な1日だった。
それに、姉を困らせるために一緒に寝ていたのに、いないと寂しくて本当に眠れない。
神様、もう大好きな姉に意地悪はしないから、姉を早く元気にしてください。
姉がいないと僕は寂しいから、できれば、もう2度と僕の傍を離れないようにしてください。お願いします。
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