封印された魔王を解放してしまいましたが、私が何とかしますので放っといてください〜奇跡の力を持つ1人の女性は、2人の王子から愛を捧げられる〜
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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本章1 本当の姿
最強の癒しの力(SIDEジュリアス第2王子)
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リディアンヌ嬢との時間は、シェルブール家の従者がもたらした衝撃で一変する。
この場で、癒しの力を使えるのは、私一人だろう。
負傷した伯爵夫人と令息を癒すため、私もリディアンヌ嬢の後を追う。
持たらされた情報では、令息の怪我は……既に……、救うのは無理だろう。
私の癒しの力は、傷を癒すのが精々……重篤の者を救うことはできない。
せめて、婦人だけでも。
「すまない……」、心の中でリディアンヌ嬢へ謝罪しながら走っていた。
現場に着くや否や、目に飛び込んだ衝撃!
令息は既に息も絶え絶えの状態だ。おびただしい出血で、馬車の下に血だまりを作っている。
間もなく命尽きるだろう……。そう理解し私の癒すべき対象へ……向きを変えようと思ったその矢先!
何が起きた!?
嘘だろっ!? 嘘だろ! 嘘だろ!
信じられない!
リディアンヌ嬢!!
信じられない現象が目に飛び込んだ! 令息の腕が再生した! 全ての傷が塞がった。
それも、この一瞬で。
この奇跡の事象を起こしたのは、間違いなくリディアンヌ嬢だとわかる。
「----」
現実を理解しきれていない私を置き去りにして、リディアンヌ嬢は彼女の母に触れると同時に全てを治療した。
はぁ!? 何が起きている!?
これはっ、現実か……?
私は常に冷静で、瞬時に物事を理解して的確な判断を下し、淡々とこなす。
傲慢と思われても、自分自身が優秀であると理解していたし、周囲もそのように認識しているだろう。
だが……。
目の前で起きている状況について行けず、放心状態であることはわかっている。
その瞬間、周囲に漂う精霊の力が大きく動いていることを感じた!
はっ! 全員を一気に治療するのかっ!?
……間違いないっ! 周囲一帯を癒しの力で覆った!
どうなっているのだ?
たった数分の間に、立て続けに起きているこれらの出来事……。
それは、これまでの常識も、経験値も遥かに超えている。
リディアンヌ嬢の力は、規格外だ!!
その瞬間。これまで感じていた私の疑問に答えが出た。
やはり、リディアンヌ嬢は癒しの力を使えないのではなく、使わなかっただけ。
この国の優秀な教師たちの感覚は、間違っていなかったのだ。
俄かには信じがたいほど、彼女の力の発揮速度、効果は理解の範疇を超えている。
癒しの力で空間を覆いつくすことなど、想像もできない治療方法だ。
こんな規格外の力を、国が利用しない訳がない……。
この国のみならず、近隣の国にも影響を及ぼしかねない……。
王子の妃として以上の影響力がある。悪くいえば、彼女には想像を絶する利用価値があるのだ。
そのことを恐れて、今まで彼女は何も言えなかったのか?
思考が整理された瞬間。私は兄への不快感が一層高まった。
彼女を幼いころから婚約者として決め、傍にいることができたのに……、何故、彼女の本質が分からなかったのか?
彼女は、兄に打ち明けたかったのではなかったのか?
彼女に関わることを拒絶し始めた兄。癒しの力を使えないと、早々に彼女を見限り、冷遇し続けた。彼女は冷たい態度に耐え、信じ続けていたのに。
社交界デビューの日に、兄はソフィア嬢と共に、彼女への裏切りの姿を見せつけた。
私の懐にある国王からの書簡に、彼女の署名はまだないとは言え、兄との婚約破棄は既に国王が承認した決定事項だ。
王族の決定には、彼女の意思や署名など必要ないのが事実だ。
既に国王は、この婚約を白紙にしている。彼女に署名を求めることなど、彼女を王城へ呼び戻す口実なのだから。
彼女と兄の婚約破棄は、彼女にとって良い転機になることを願う。
彼女には幸せになって欲しい。
規格外の力を持った彼女が、誰にも利用されず、愛しい人と結ばれる未来になって欲しい。
この時の私は愚か過ぎた。
自分がどれほど彼女を愛おしいと思っているのか自覚せず、第3者として、彼女の未来に幸せが訪れることを願っていた。
彼女の魅力に取り付かれて……片時も離れたくないと思う彼女のことを、悠長に考えるなど、もうできるはずがないのに。
この場で、癒しの力を使えるのは、私一人だろう。
負傷した伯爵夫人と令息を癒すため、私もリディアンヌ嬢の後を追う。
持たらされた情報では、令息の怪我は……既に……、救うのは無理だろう。
私の癒しの力は、傷を癒すのが精々……重篤の者を救うことはできない。
せめて、婦人だけでも。
「すまない……」、心の中でリディアンヌ嬢へ謝罪しながら走っていた。
現場に着くや否や、目に飛び込んだ衝撃!
令息は既に息も絶え絶えの状態だ。おびただしい出血で、馬車の下に血だまりを作っている。
間もなく命尽きるだろう……。そう理解し私の癒すべき対象へ……向きを変えようと思ったその矢先!
何が起きた!?
嘘だろっ!? 嘘だろ! 嘘だろ!
信じられない!
リディアンヌ嬢!!
信じられない現象が目に飛び込んだ! 令息の腕が再生した! 全ての傷が塞がった。
それも、この一瞬で。
この奇跡の事象を起こしたのは、間違いなくリディアンヌ嬢だとわかる。
「----」
現実を理解しきれていない私を置き去りにして、リディアンヌ嬢は彼女の母に触れると同時に全てを治療した。
はぁ!? 何が起きている!?
これはっ、現実か……?
私は常に冷静で、瞬時に物事を理解して的確な判断を下し、淡々とこなす。
傲慢と思われても、自分自身が優秀であると理解していたし、周囲もそのように認識しているだろう。
だが……。
目の前で起きている状況について行けず、放心状態であることはわかっている。
その瞬間、周囲に漂う精霊の力が大きく動いていることを感じた!
はっ! 全員を一気に治療するのかっ!?
……間違いないっ! 周囲一帯を癒しの力で覆った!
どうなっているのだ?
たった数分の間に、立て続けに起きているこれらの出来事……。
それは、これまでの常識も、経験値も遥かに超えている。
リディアンヌ嬢の力は、規格外だ!!
その瞬間。これまで感じていた私の疑問に答えが出た。
やはり、リディアンヌ嬢は癒しの力を使えないのではなく、使わなかっただけ。
この国の優秀な教師たちの感覚は、間違っていなかったのだ。
俄かには信じがたいほど、彼女の力の発揮速度、効果は理解の範疇を超えている。
癒しの力で空間を覆いつくすことなど、想像もできない治療方法だ。
こんな規格外の力を、国が利用しない訳がない……。
この国のみならず、近隣の国にも影響を及ぼしかねない……。
王子の妃として以上の影響力がある。悪くいえば、彼女には想像を絶する利用価値があるのだ。
そのことを恐れて、今まで彼女は何も言えなかったのか?
思考が整理された瞬間。私は兄への不快感が一層高まった。
彼女を幼いころから婚約者として決め、傍にいることができたのに……、何故、彼女の本質が分からなかったのか?
彼女は、兄に打ち明けたかったのではなかったのか?
彼女に関わることを拒絶し始めた兄。癒しの力を使えないと、早々に彼女を見限り、冷遇し続けた。彼女は冷たい態度に耐え、信じ続けていたのに。
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私の懐にある国王からの書簡に、彼女の署名はまだないとは言え、兄との婚約破棄は既に国王が承認した決定事項だ。
王族の決定には、彼女の意思や署名など必要ないのが事実だ。
既に国王は、この婚約を白紙にしている。彼女に署名を求めることなど、彼女を王城へ呼び戻す口実なのだから。
彼女と兄の婚約破棄は、彼女にとって良い転機になることを願う。
彼女には幸せになって欲しい。
規格外の力を持った彼女が、誰にも利用されず、愛しい人と結ばれる未来になって欲しい。
この時の私は愚か過ぎた。
自分がどれほど彼女を愛おしいと思っているのか自覚せず、第3者として、彼女の未来に幸せが訪れることを願っていた。
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