封印された魔王を解放してしまいましたが、私が何とかしますので放っといてください〜奇跡の力を持つ1人の女性は、2人の王子から愛を捧げられる〜
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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本章3 魔王の力
初代当主の日記
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ジュリアス達は、4日も続けて我が家を訪問しているけど、そろそろ王城へ帰らなくて大丈夫なのかしら……。
妃教育中に教師達からは、王子達は政務で忙しいと聞かされていたけど、人の話はあてにならないのね。
いつもだったら気軽にジュリアスへ声をかける事が出来るのに、顔を見た途端、昨日の口づけを思い出してしまう。
ジュリアスは何も気にしてなかったみたいだけど、私はあれからずっと気になっているんだから。
だって、私にとっては初めての経験なのよ。あんな状況で口づけなんてされたら、どんなに時間が経っても、あなたの事を忘れられないじゃない。
友達騎士なんて言える関係だって、今だけのものなのに。
カモメイル公爵直轄地の魔物達の件が落ち着いてから、口づけの事をジュリアスに問い詰めるつもりだった。
でも、亡くなったレイナ様の名前を呟いたあなたに、そんな無神経な事が出来る訳ないじゃない。
問い詰めるどころか、自分の感情がわからなくて、ジュリアスの顔を見るのも怖くて出来なかった。
あーなんで私だけが悶々としてるのよ! 声をかけるのを躊躇うなんて……。
ジュリアスの滞在中に、馬の駆り方を教えてもらいたかったけど、今日は集中できないから無理ね。
挨拶だけ済ませて、ジュリアスと距離を置こう。
馬に乗れない私は、1人で行きたいところへ自由に行けないのが不便なのよね。流石にキュアを人目に触れさせるわけにもいかないし……。
移動手段は、近いうちに何とかしなきゃ。
まあ、今日の所は、何かを読んで情報を集めよう。
精霊の力の事とか、私には分からないことが、まだまだ残ってるものね。
そうだ、地下室で時間を使うことにすれば良いんだ。
それなら、ジュリアスと離れられるもの。
それに、聖女ミレー様の父が、直接書いたものを読みたいと思っていたから丁度良いわ。
あの部屋は、父から入室許可をもらう必要があるけど、まあそれは問題はないわね。
その書物は、我が家にとって最重要なものになるから、地下室の奥で厳重に管理されている。それらは、父でさえ触れる機会がほとんどない。
その中に、重要な情報がないか探りたい。
急いでジュリアスの前から立ち去ると、引き止められる。
「リディ? 何処かへ行くなら私も同行するが?」
「大丈夫よ! 今日は地下室で読み物をするだけだから」
「ふーん……私には読むことが許されないものか?」
「それは父に聞いてみないと……でも、貴重なものだから許可が出ないかもしれないわ」
「じゃあ、一緒に行って許可を貰うだけだ」
半ば強引に、ジュリアス自ら父の承諾を得て、鍵を受け取っている。
ジュリアスから離れたいと思っていたのに、どうして真逆に話が進むのかしら。
地下室へ向かうも、あの部屋で2人きりなんて、私の身が持たない。
「ねぇ、やっぱり2人きりは良くないんじゃないかしら。あの部屋はとても狭いし、ちょっと無理があると思うの。私としては一緒に来て貰うとちょっと困る」
「もしかして私の事を意識しているのか? 昨日の事を気にしてか? それなら嬉しいが、次はリディの同意を得てするから安心してよい。困る事など何もないだろう」
「ちょっと、変なこと言わないで! 意識なんてしてないし、同意なんてする訳ないでしょう」
安心できる要素のない話に体が硬くなる。
一歩も引かないジュリアスを説得する時間が惜しくなって、引いてしまう。結局2人で地下室の初代当主に関する保管室へ向かう。やっぱり王族は自分の意見を曲げないんだから。
部屋に入るなりジュリアスが感嘆の声をあげる。
「本当に、シェルブール家は凄いな。こんな歴史的なものが、この保存状態で残っているなんて。だけど、元々は平民だった初代当主が文字を書き残しているのも驚くべき所だけどな」
「確かにそうね……」
爵位を賜るまで、初代当主は何をされていた方だったのかしら?
本棚の前で、何を読むかを思案す。だけど、背表紙でもわかる。この辺に保管しているのは、歴代当主が引き継いでいるものと同じようね。
ん? 手帳のような小さいものが何十冊もある。手袋をはめた手で、おもむろに棚から取り出し中を開く。
「ジュリアス、この小さいのは、日記みたいよ!」
初めて触れる、当時の情報を手分けして、読み込んでいく。
紙を傷めないよう、光量を抑えた石の明かりだけでは、どうしても暗い……読むのに少し時間がかかりそう。
初代当主の生前の日記。2人で読み込んだ内容を繋ぎ合わせると、信じられない事実が出てくる。
初代当主は代々続く教会の牧師で、別の教会から嫁いできた女性と結婚されていた。
その当時としては非常に珍しく識字が出来たのは、聖書を読む必要があったからだと分かる。
その中で、奇妙な記録があった。
日記なのに、それはその日に起きた出来事ではなく、過去の事を書いていた。
ミレー様が誕生した後だったにも関わらず、奥様がミレー様をお腹に宿していた時の出来事を、記憶の断片を繋ぐように書かれている。
妃教育中に教師達からは、王子達は政務で忙しいと聞かされていたけど、人の話はあてにならないのね。
いつもだったら気軽にジュリアスへ声をかける事が出来るのに、顔を見た途端、昨日の口づけを思い出してしまう。
ジュリアスは何も気にしてなかったみたいだけど、私はあれからずっと気になっているんだから。
だって、私にとっては初めての経験なのよ。あんな状況で口づけなんてされたら、どんなに時間が経っても、あなたの事を忘れられないじゃない。
友達騎士なんて言える関係だって、今だけのものなのに。
カモメイル公爵直轄地の魔物達の件が落ち着いてから、口づけの事をジュリアスに問い詰めるつもりだった。
でも、亡くなったレイナ様の名前を呟いたあなたに、そんな無神経な事が出来る訳ないじゃない。
問い詰めるどころか、自分の感情がわからなくて、ジュリアスの顔を見るのも怖くて出来なかった。
あーなんで私だけが悶々としてるのよ! 声をかけるのを躊躇うなんて……。
ジュリアスの滞在中に、馬の駆り方を教えてもらいたかったけど、今日は集中できないから無理ね。
挨拶だけ済ませて、ジュリアスと距離を置こう。
馬に乗れない私は、1人で行きたいところへ自由に行けないのが不便なのよね。流石にキュアを人目に触れさせるわけにもいかないし……。
移動手段は、近いうちに何とかしなきゃ。
まあ、今日の所は、何かを読んで情報を集めよう。
精霊の力の事とか、私には分からないことが、まだまだ残ってるものね。
そうだ、地下室で時間を使うことにすれば良いんだ。
それなら、ジュリアスと離れられるもの。
それに、聖女ミレー様の父が、直接書いたものを読みたいと思っていたから丁度良いわ。
あの部屋は、父から入室許可をもらう必要があるけど、まあそれは問題はないわね。
その書物は、我が家にとって最重要なものになるから、地下室の奥で厳重に管理されている。それらは、父でさえ触れる機会がほとんどない。
その中に、重要な情報がないか探りたい。
急いでジュリアスの前から立ち去ると、引き止められる。
「リディ? 何処かへ行くなら私も同行するが?」
「大丈夫よ! 今日は地下室で読み物をするだけだから」
「ふーん……私には読むことが許されないものか?」
「それは父に聞いてみないと……でも、貴重なものだから許可が出ないかもしれないわ」
「じゃあ、一緒に行って許可を貰うだけだ」
半ば強引に、ジュリアス自ら父の承諾を得て、鍵を受け取っている。
ジュリアスから離れたいと思っていたのに、どうして真逆に話が進むのかしら。
地下室へ向かうも、あの部屋で2人きりなんて、私の身が持たない。
「ねぇ、やっぱり2人きりは良くないんじゃないかしら。あの部屋はとても狭いし、ちょっと無理があると思うの。私としては一緒に来て貰うとちょっと困る」
「もしかして私の事を意識しているのか? 昨日の事を気にしてか? それなら嬉しいが、次はリディの同意を得てするから安心してよい。困る事など何もないだろう」
「ちょっと、変なこと言わないで! 意識なんてしてないし、同意なんてする訳ないでしょう」
安心できる要素のない話に体が硬くなる。
一歩も引かないジュリアスを説得する時間が惜しくなって、引いてしまう。結局2人で地下室の初代当主に関する保管室へ向かう。やっぱり王族は自分の意見を曲げないんだから。
部屋に入るなりジュリアスが感嘆の声をあげる。
「本当に、シェルブール家は凄いな。こんな歴史的なものが、この保存状態で残っているなんて。だけど、元々は平民だった初代当主が文字を書き残しているのも驚くべき所だけどな」
「確かにそうね……」
爵位を賜るまで、初代当主は何をされていた方だったのかしら?
本棚の前で、何を読むかを思案す。だけど、背表紙でもわかる。この辺に保管しているのは、歴代当主が引き継いでいるものと同じようね。
ん? 手帳のような小さいものが何十冊もある。手袋をはめた手で、おもむろに棚から取り出し中を開く。
「ジュリアス、この小さいのは、日記みたいよ!」
初めて触れる、当時の情報を手分けして、読み込んでいく。
紙を傷めないよう、光量を抑えた石の明かりだけでは、どうしても暗い……読むのに少し時間がかかりそう。
初代当主の生前の日記。2人で読み込んだ内容を繋ぎ合わせると、信じられない事実が出てくる。
初代当主は代々続く教会の牧師で、別の教会から嫁いできた女性と結婚されていた。
その当時としては非常に珍しく識字が出来たのは、聖書を読む必要があったからだと分かる。
その中で、奇妙な記録があった。
日記なのに、それはその日に起きた出来事ではなく、過去の事を書いていた。
ミレー様が誕生した後だったにも関わらず、奥様がミレー様をお腹に宿していた時の出来事を、記憶の断片を繋ぐように書かれている。
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