封印された魔王を解放してしまいましたが、私が何とかしますので放っといてください〜奇跡の力を持つ1人の女性は、2人の王子から愛を捧げられる〜
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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本章3 魔王の力
ジュリアス第2王子の傷心
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(SIDEジュリアス第2王子)
完全に失敗した…………。
怯えさせるつもりはなかったのに、リディを怖がらせてしまった。
何としても護りたい存在なのに、私が傷つけてしまった。
リディの口から、拒絶する捨て台詞まで言わせるなんて……大失敗だ。
王城に戻る期限が迫り焦っていたが、そんな言い訳で許されることではない。
想定外の事態を引き起こし、それまでリディと一緒にいた地下室で頭を抱えたまま蹲り、その場から動けなくなっていた。
戻って来ない私を気にして、クルリが地下室にやって来たと思ったが、私の心配ではなく、開口一番に怒鳴りつけられた。
「殿下っ! いったい何をしたんですか!? リディアンヌ様が泣きながら、駆けあがって来たかと思えば、そのまま自室に閉じこもったままですよっ!! 声をおかけしましたが、全く返答もいただけません……。こんなことを聞きたくはありませんが、殿下……まさか?」
「違う! 何もしていない! いや、こちらから触れるような事はしていない! ただ、焦り過ぎて……言葉で彼女を傷つけてしまったようだ」
事の次第を伝えると、またしても怒鳴られる。
「はぁ! なんで途中まで良い雰囲気だったのに、傷つける展開になるんですか? やっと、成長してきたと思ったのにっ! どれだけ女性の心を分かってないんですか殿下は! せっかく順調だったのに、殿下自ら全て崩しましたね。信じられません!」
「私の想いを伝えたのだが……」
「女性を口説くなら、優しく囁くのが鉄則でしょう? 何故、脅してるんですか! 馬鹿ですか? シェルブール伯爵は、殿下が地下室でリディアンヌ様に無体なことをされたと思っています。ほら、もたもたしてないで、説明に行きますよ!」
「無体など、断じてそのような事はない!」
「では、殿下の言葉と表情が余程怖かったのでしょうね。可哀そうに」
****
クルリに促され、伯爵へ説明をするが、散々な言われようだった。
「当主である私が婚約に承諾がないからと言って、リディを脅したなんて全く持って信じられませんな。魔王や魔物の事で、リディの力をお貸しすることは致し方ありませんが、それ以上の事はもう構わないでやってください」
「リディを傷つけるつもりはなかったのだが、結果的にそうなった。大変申し訳ない。だが、彼女への想いは変わらない」
双方の意見は平行線だが、私は折れることはなかった。
宿への道中も、クルリからの説教と女性の口説き方の指導は延々と続いた。
早ければ、今日の夜にレイルが戻って来ると思っていたが、宿に戻って来る事はなかった。
****
私は5日目の朝も変わらずシェルブール邸へクルリと共に訪問した。
これまでは必ず朝の挨拶に来ていたリディだったが、今日は私の前に姿を現すことはない。
完全に拒まれていることを認識し、泣きそうになる。
心残りはあり過ぎるが、今日でシェルブール領を発たねばならない。
レイルが戻って来ていないのも気になるが、そのことを含めて伯爵へ、伝言を依頼する。
伯爵を介して、リディへ謝罪の言葉を伝えてもらうが、それだけでは私の気持ちが収まらない。
リディの私室の前で囁くことにする。
「昨日は、本当にすまなかった。もう、私は王都へ帰らなくてはいけない。ここを発つ前に、顔を見せてはくれないだろうか?」
「…………」
「リディの許しがあるまで、こちらから念話は使わない。困ったことがあればいつでも、相談してほしい。くれぐれも1人で無茶はしないで欲しい」
「…………」
「さよなら。必ずまた会おう」
「…………」
完全に失敗した…………。
怯えさせるつもりはなかったのに、リディを怖がらせてしまった。
何としても護りたい存在なのに、私が傷つけてしまった。
リディの口から、拒絶する捨て台詞まで言わせるなんて……大失敗だ。
王城に戻る期限が迫り焦っていたが、そんな言い訳で許されることではない。
想定外の事態を引き起こし、それまでリディと一緒にいた地下室で頭を抱えたまま蹲り、その場から動けなくなっていた。
戻って来ない私を気にして、クルリが地下室にやって来たと思ったが、私の心配ではなく、開口一番に怒鳴りつけられた。
「殿下っ! いったい何をしたんですか!? リディアンヌ様が泣きながら、駆けあがって来たかと思えば、そのまま自室に閉じこもったままですよっ!! 声をおかけしましたが、全く返答もいただけません……。こんなことを聞きたくはありませんが、殿下……まさか?」
「違う! 何もしていない! いや、こちらから触れるような事はしていない! ただ、焦り過ぎて……言葉で彼女を傷つけてしまったようだ」
事の次第を伝えると、またしても怒鳴られる。
「はぁ! なんで途中まで良い雰囲気だったのに、傷つける展開になるんですか? やっと、成長してきたと思ったのにっ! どれだけ女性の心を分かってないんですか殿下は! せっかく順調だったのに、殿下自ら全て崩しましたね。信じられません!」
「私の想いを伝えたのだが……」
「女性を口説くなら、優しく囁くのが鉄則でしょう? 何故、脅してるんですか! 馬鹿ですか? シェルブール伯爵は、殿下が地下室でリディアンヌ様に無体なことをされたと思っています。ほら、もたもたしてないで、説明に行きますよ!」
「無体など、断じてそのような事はない!」
「では、殿下の言葉と表情が余程怖かったのでしょうね。可哀そうに」
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クルリに促され、伯爵へ説明をするが、散々な言われようだった。
「当主である私が婚約に承諾がないからと言って、リディを脅したなんて全く持って信じられませんな。魔王や魔物の事で、リディの力をお貸しすることは致し方ありませんが、それ以上の事はもう構わないでやってください」
「リディを傷つけるつもりはなかったのだが、結果的にそうなった。大変申し訳ない。だが、彼女への想いは変わらない」
双方の意見は平行線だが、私は折れることはなかった。
宿への道中も、クルリからの説教と女性の口説き方の指導は延々と続いた。
早ければ、今日の夜にレイルが戻って来ると思っていたが、宿に戻って来る事はなかった。
****
私は5日目の朝も変わらずシェルブール邸へクルリと共に訪問した。
これまでは必ず朝の挨拶に来ていたリディだったが、今日は私の前に姿を現すことはない。
完全に拒まれていることを認識し、泣きそうになる。
心残りはあり過ぎるが、今日でシェルブール領を発たねばならない。
レイルが戻って来ていないのも気になるが、そのことを含めて伯爵へ、伝言を依頼する。
伯爵を介して、リディへ謝罪の言葉を伝えてもらうが、それだけでは私の気持ちが収まらない。
リディの私室の前で囁くことにする。
「昨日は、本当にすまなかった。もう、私は王都へ帰らなくてはいけない。ここを発つ前に、顔を見せてはくれないだろうか?」
「…………」
「リディの許しがあるまで、こちらから念話は使わない。困ったことがあればいつでも、相談してほしい。くれぐれも1人で無茶はしないで欲しい」
「…………」
「さよなら。必ずまた会おう」
「…………」
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