封印された魔王を解放してしまいましたが、私が何とかしますので放っといてください〜奇跡の力を持つ1人の女性は、2人の王子から愛を捧げられる〜
瑞貴◆後悔してる/手違いの妻2巻発売!
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本章3 魔王の力
リディの想い
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邸の地下室でジュリアスと一緒に初代当主の日記に目を通した。
聖女様に、そんな秘密があったなんて…………。聖女様自身はこの事を知っていたのかしら?
私が魔王だけを復活させてしまったこの状況。
これからの未来がどうなってしまうのか? 計り知れないことになってしまったけど、悪いことしか思いつかない。
1人では心細すぎて、ジュリアスの温もりに甘えたかった…………。
ジュリアスをこれ以上私の事に巻き込む事は出来ない。この国の王子なのだから、友達というだけで付き合わせる訳には絶対にいかない。なのに、ジュリアス? 私の事を妃にしたいって? どうして突然?
ごめんなさい……、ジュリアスの気持ちに全く気付いていなくて。なんで、私はこうも鈍いのかしら? 違うわよ、鈍くなんてないわ! だって、そんな様子なかったじゃない?
私に突然口づけをして、あなたは平然としてたじゃない? 私だけジュリアスの事を意識して顔を真っ直ぐ見れなくなったのに。
だって、あなたは至って普通に、私の横で他の女性の名前を呼んでいたじゃない? ジュリアスの声で他の女性の名前を聞いて、私だけ嫌な感情が湧いたなんて……。事故で亡くなった方へ抱く事なんて許されない、恥ずべき感情をあなたに悟られないように、気付かない振りをしていたのに。
私のあなたへの想いは、この国の王子へは抱いてはいけない感情だってわかっていたから、……気づいてしまったこの気持ちを押し込めていたのに。
どうして?
あんな真剣な想いを向けてくれるジュリアスの気持ちは、嬉しいに決まってる。だけど、喜びで浮かれた感情をあなたに向ける事は出来ない。
だって、あなたはこの国の王子だから……。ジュリアスじゃなくて、王子の事は絶対に受け入れられない。
王城で生活するのは、私が私でいられなくなるもの。
笑う事も許されず、行動も制限され続ける暮らし。
シェルブール領に戻ってから、キュアと一緒に自由に飛び回って本当の自分をやっと取り戻せたの。
自分がしたいことを素直にそのまま出来るのよ。こんな素晴らしい毎日を、手放すなんてもう考えられない。
私にとって王城は、冷え切った感情しか想像出来ない窮屈すぎる。そんな場所へは、もう行きたくない。
何より、聖女様の事を知った後では、あなたの気持ちに答える事はできない。
私が解放した魔王は、私が何とかしなくてはいけないから。
たとえ、私が500年前の聖女ミレー様と同じ道を辿っても…………。
私の果たすべき役割は、魔王を封印することだって理解したわ。
……だから。この国の王位継承権を持つジュリアスが、こんなことに振り回されてはいけない。
家族以外で人生初めて私の事を愛しいと言ってくれるあなたの気持ちは、私の心の中に封印する。ありがとうジュリアス、嬉しかった。
今ならまだ、2人とも踏み止まれる。
あなたを守るためには、私が一緒に居てはいけない…………。
愛しいからこそ、共に歩むことはできない。
恐怖、悲しみ、喜び、切なさ……一遍に色んな気持ちが押し寄せて、私は自室に籠ったまま、動けなくなる。止めようとしても自分の意思は働かず、止め処なく溢れ続ける涙。
コンコン
私の部屋の扉をノックする音の後直ぐにジュリアスの声が聞こえる。
「リディ……」
顔を見たら決意が鈍ってしまう。こんな態度のまま、最後なんて……ごめんなさい。
「さよなら。必ずまた会おう」
さよなら……最初で最後の愛しい男性…………。
****
ジュリアスが王都に戻ってから、私はキュアと連日森の様子を確認している。
一度癒しの力で覆った後からは、森自体が適切に森の再生ができているようね。
まだ、大きな影響が出ていないようで安堵する。
レイルは、ジュリアスの元婚約者を事故に合わせた男を監禁するために、モンテール侯爵領へ向かった後、戻って来ていなかった。
だけど、ジュリアスが王都へ経って2日後の朝早く我が家に現れた。
聖女様に、そんな秘密があったなんて…………。聖女様自身はこの事を知っていたのかしら?
私が魔王だけを復活させてしまったこの状況。
これからの未来がどうなってしまうのか? 計り知れないことになってしまったけど、悪いことしか思いつかない。
1人では心細すぎて、ジュリアスの温もりに甘えたかった…………。
ジュリアスをこれ以上私の事に巻き込む事は出来ない。この国の王子なのだから、友達というだけで付き合わせる訳には絶対にいかない。なのに、ジュリアス? 私の事を妃にしたいって? どうして突然?
ごめんなさい……、ジュリアスの気持ちに全く気付いていなくて。なんで、私はこうも鈍いのかしら? 違うわよ、鈍くなんてないわ! だって、そんな様子なかったじゃない?
私に突然口づけをして、あなたは平然としてたじゃない? 私だけジュリアスの事を意識して顔を真っ直ぐ見れなくなったのに。
だって、あなたは至って普通に、私の横で他の女性の名前を呼んでいたじゃない? ジュリアスの声で他の女性の名前を聞いて、私だけ嫌な感情が湧いたなんて……。事故で亡くなった方へ抱く事なんて許されない、恥ずべき感情をあなたに悟られないように、気付かない振りをしていたのに。
私のあなたへの想いは、この国の王子へは抱いてはいけない感情だってわかっていたから、……気づいてしまったこの気持ちを押し込めていたのに。
どうして?
あんな真剣な想いを向けてくれるジュリアスの気持ちは、嬉しいに決まってる。だけど、喜びで浮かれた感情をあなたに向ける事は出来ない。
だって、あなたはこの国の王子だから……。ジュリアスじゃなくて、王子の事は絶対に受け入れられない。
王城で生活するのは、私が私でいられなくなるもの。
笑う事も許されず、行動も制限され続ける暮らし。
シェルブール領に戻ってから、キュアと一緒に自由に飛び回って本当の自分をやっと取り戻せたの。
自分がしたいことを素直にそのまま出来るのよ。こんな素晴らしい毎日を、手放すなんてもう考えられない。
私にとって王城は、冷え切った感情しか想像出来ない窮屈すぎる。そんな場所へは、もう行きたくない。
何より、聖女様の事を知った後では、あなたの気持ちに答える事はできない。
私が解放した魔王は、私が何とかしなくてはいけないから。
たとえ、私が500年前の聖女ミレー様と同じ道を辿っても…………。
私の果たすべき役割は、魔王を封印することだって理解したわ。
……だから。この国の王位継承権を持つジュリアスが、こんなことに振り回されてはいけない。
家族以外で人生初めて私の事を愛しいと言ってくれるあなたの気持ちは、私の心の中に封印する。ありがとうジュリアス、嬉しかった。
今ならまだ、2人とも踏み止まれる。
あなたを守るためには、私が一緒に居てはいけない…………。
愛しいからこそ、共に歩むことはできない。
恐怖、悲しみ、喜び、切なさ……一遍に色んな気持ちが押し寄せて、私は自室に籠ったまま、動けなくなる。止めようとしても自分の意思は働かず、止め処なく溢れ続ける涙。
コンコン
私の部屋の扉をノックする音の後直ぐにジュリアスの声が聞こえる。
「リディ……」
顔を見たら決意が鈍ってしまう。こんな態度のまま、最後なんて……ごめんなさい。
「さよなら。必ずまた会おう」
さよなら……最初で最後の愛しい男性…………。
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ジュリアスが王都に戻ってから、私はキュアと連日森の様子を確認している。
一度癒しの力で覆った後からは、森自体が適切に森の再生ができているようね。
まだ、大きな影響が出ていないようで安堵する。
レイルは、ジュリアスの元婚約者を事故に合わせた男を監禁するために、モンテール侯爵領へ向かった後、戻って来ていなかった。
だけど、ジュリアスが王都へ経って2日後の朝早く我が家に現れた。
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