箱庭の空をあげる

ゆるふわ畜生

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3.箱庭

34*.俺のものだ②

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「いっ、あっ、痛……ッ、痛い、ノル……っ」

 ぐち、と音を立てて、エットの秘所を舌先で舐める。薄い粘膜に覆われたそこを暴かれる痛みにエットが呻く。当然だろう。つい先ほどまで、あの醜悪な黒い獣によって凌辱されていたのだから。しかしノルは何も言わず、ただ黙々とそこを舐め続けた。まるで他の雄の匂いを舐め取り、自分の匂いを塗り込むように襞の間に至るまで丁寧に舐め、時折尖らせた舌先が充血した陰核を掠めれば、それだけでエットの体は心を裏切り甘い声を漏らす。

「あっ、あっ、やっ、やだぁ……っ、う、にゃあ……っ」

 度重なる性交により敏感になったそこを執拗に責め立てられ、無意識に腰が揺れる。まるで自分から強請っているかのような格好に、更に羞恥心が煽られたのか、顔を真っ赤に染めていやいやと首を振る。しかしそれを拒絶されたと感じたノルは、苛立ちをぶつけるように、ちゅう、と陰核を吸い上げた。

「みゃあっ、にゃっ、ん、あっ、あぁんっ、やだ、やだぁっ……!」

 敏感な箇所への強い刺激に耐えられず、一際高い嬌声が上がる。しかしそこに未だ含まれる拒絶に、ノルはぎり、と歯を軋ませた。

「黙れ」

「……ノ、ル?」

「拒むな」

「ひッ……⁉」

 初めて耳にするノルの地を這うような低い声に、エットは身を縮ませた。へたりと下がった耳はふるふると震え、無意識に尾を足の間挟む。今までに聞いたことがないほど重く暗いその声は、まるで呪詛のようだ。

「ノル、……っ、ノル……!」

「……」

 そこで初めてノルはゆっくりと動きを止めた。その様子にエットの胸に一筋の希望が差す。

「ノル、頼むから……落ち着いて、あいつらの思い通りになんか……ならないで……」

「……うるさい」

「ノル……?」

「うるさい‼」

  しかしそれもほんの一時のことだった。ノルは叫ぶようにそう言うと、苛立ったように舌打ちをして、乱暴にエットの腕を掴んで床へと縫い止める。

「っ……痛い、ノル、っ……!」

「うるさいと言ってる‼」

 掴まれた腕を爪を立てるほど強く掴まれ、皮膚に食い込む鋭い爪と、骨が軋むほどの力強さにエットが苦痛の声を漏らす。しかし却ってその声が興奮を煽ったのか、ノルの瞳に凶暴な光が宿る。

「の、る……」

「見せろ。隠すな」

「ッ、いたい……、尻尾、やだ……っ」

 掴んでいた腕を片方離し、もう片方の手で秘所を隠そうとする尻尾を捕まえる。ぎゅ、と根元を握れば、途端に上がる悲痛な声にノルの煮えたぎる胸がすいた。そのまま、ぐいと上に持ち上げれば、ひくひくと震える膣口が現れる。さんざん舐められ、擦られたそこは、可哀想なほどに赤く腫れ上がっていた。

「濡れてる」

「ちが……勝手に……っ」

 エットはもはや涙声だった。あのおぞましい獣に犯されて、孕まされてもなお溢さなかった涙が、今や緑色の瞳に膜を張っている。たったそれだけのことが、ひどく気分がよかった。エットは普段から我慢強くて、滅多なことで泣かないことを知っているから。でもノルの前だけではこっそり泣くことがあるのを知っているから。

「こんなに濡らして、何が違う」

「うあっ、あ、や、にゃぁあ……っ」

 人差し指でつぷりと割れ目を開き、中指を突き入れる。先程の名残だろうか、愛液がくちゅ、と音を立て、中に残っていた精液が掻き出されて、赤い媚肉と絡み合う。

「あっ、あっ、にゃあ、みゃ、んん、みゃあっ……!」

  二本の指で腹側のざらついた箇所を探り当てられ、とんとんと叩かれれば、たまらないとばかりに甘い声が上がった。同時に親指で陰核を弄ってやると、ぎゅう、と太ももで腕を挟み込まれる。どうやら絶頂が近いらしい。

「にゃ、あっ、あっ、にゃぅ、ノル、ノル……っ」

 どろどろに蕩けた甘ったるい声で呼ばれ、堪らずその唇に食らいつく。舌を絡めとり、上顎を舐め上げ、たっぷりと唾液を流し込んでやる。こくりと必死に上下する喉仏があどけなくて、愛おしい。このまま食べてしまいたいくらいだった。

「あっ、にゃ、あ、あ、~~ッッ‼」

 びくん、と大きく身体が跳ね、中の締め付けが強くなる。どうやら達したようだ。荒い呼吸を繰り返し、余韻に浸っているエットを見つめながら、ノルは検査着を寛げた。既に性器はすっかりと膨張しており、先走りを滲ませている。

「の、る……?」

「挿れるぞ」

「そん、な……、やだ、こんな……」

 弱々しく首を振るエットを無視し、濡れそぼったそこへ押し当てる。すっかりと形を覚えたそこは、待ちきれないと言わんばかりにヒクついている。

「や、やだ、お願い、ノル、のる……」

「……」

 エットの必死の懇願すら、自分に対しての拒絶に思えて腹立たしかった。あれ(、、)は受け入れたのに、俺は拒絶するのか。頭のどこかに居る冷静な自分がただの八つ当たりだと囁くが、それ以上に許せなかった。

「言ったはずだ。隠すな」

「ノ、ル……っ」

  怯えと絶望を混ぜたような緑色の瞳が、涙の膜で覆われている。ふと、その水面に映る姿が目に入った。どんな宝石よりも綺麗だと思っていたその瞳に映る自分の姿はあの黒い獣と同じように――いや、それ以上に醜かった。

「いや、ああッ……みゃあ、にゃ、ああああ……ッ‼」

 半ば強引にねじ込めば、きついながらも難なく受け入れられた。性器に生えた無数の棘が中の粘膜を擦り上げるが、きゅうきゅうと吸い付いてくる膣壁は狭い以上に心地よかった。柔らかく温かいそこは、まるで別の生き物のように蠢いてノルのものを包み込んでいる。

「動くぞ」

「まっ、待って、いま、動いちゃ、あっ、あっ、みゃあっ、あぁんっ」

 制止の言葉を振り切り、抽挿を始める。最初はゆっくりだった抽挿は次第に速くなり、肌同士がぶつかる音が響くようになる。結合部から溢れる白濁液が泡立ち、互いの下肢を汚していく。

「にゃ、あ、あ、あっ、いたいっ、痛いっ、ノル、やめ、抜い、抜いてぇ……っ」

「駄目だ」

「なん、でぇっ、にゃあっ、やら、あっ、あう、あ、みゃあぁっ」

「……まだ孕んでない」

 エットがぽろぽろと泣きじゃくりながら嫌々と首を振っているのに、ノルは何かに取り憑かれたかのように、ひたすらに腰を打ち付けた。どちゅっ、どちゅっ、と鈍い水音が鳴り、その度に結合部から溢れた粘液が飛び散る。

「にゃ、あっ、あ、うぅ、うっ、ノル、ノルぅ……っ」

「まだだ」

「ひっ、あっ、あぅ、ノル、うあっ、みゃう、みゃ……っ」

「……」

 次第にエットの反応も鈍くなり始め、虚ろな目からはぼろぼろと涙が溢れ落ちるだけで、もとよりなかった抵抗らしい抵抗すらなく、ただただ揺さぶられるだけになる。それでもノルは行為をやめようとはしなかった。ただひたすらに、目の前の雌を孕ませようとするその様子は狂気じみていると言っても良かった。

「みゃ……にゃあ、あ、……っ、……っ」

「っ、く……ッ」

 そしてやがてエットの体が痙攣のみを返すようになった頃、ようやくノルは射精した。びゅく、びゅく、と数度に分けて吐き出される精液を受け止め、さらに性器の先の棘で内壁を刺激ながらも、エットは大きな反応を返すことなく、焦点の合わない眼でノルの視線の先にあるもの――自らの子宮と卵巣を映像化したホログラムを見つめていた。
 そこでは、目に見えて変化が起こっていた。卵管は収縮し、中から降りてきたひとつの卵子へと、たった今注ぎ込まれたばかりの精子群が殺到する。無数の卵子に群がり、我先にと潜り込もうとする様は、どこか卵子そのものを支配し、服従させようとしているようにも見えた。そしてやがて、そのときが訪れる。

 ぷつ、と精子のひとつが卵胞を食い破った。受精卵となったそれはゆったりと漂いながら、ゆりかごたる子宮へと向かって、そして――

『着床した――素晴らしい……! 本当に重複妊娠が可能とは……‼』

 興奮した様子の研究員の声が響き渡るが、その場に居る誰も気にしなかった。ノルは萎えた性器を引き抜き、だらりと四肢を投げ出した状態のエットを抱き寄せる。そうして、彼の胸元に顔を埋めたまま、ぽつりと呟いた。

「………俺のものだ。俺の番だ。俺の……!」

  絞り出すような声だった。まるで血を吐くような悲痛な声色に、エットは沈みかけていた意識を必死に繋ぎ止める。繋いで欲しいと思った手は、未だ床へと縫い止められていたけれど、エットにはそんなことは気にならなかった。だって、ノルが泣いている。どんなに空腹でも、どんなに薄汚れても、どんなに惨めでも泣かなかったノルが、泣いている。あの日、もう二度と自分の足で立って歩けないかもしれないという怪我を負ってなお、それでもエットを気遣って泣かなかったノルが、泣いている。涙も出さずに、泣いているから。

「……だいじょうぶだ」

 ようやく絞り出した返事は、ひどく掠れていて情けないものだった。だけど、ノルの耳には届いていたらしい。初めてびくりと、ノルの動きが止まった。エットの腕を床へと縫い止めたまま、まるで叱られるのを待つ子供のように動けなくなっているノルへ、エットは囁きかける。

「きらいになんか、ならない」

 そうして、そっと手を伸ばした。強張った指先を包むように、掌を重ねる。重なった手は、温かかった。
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