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嵐吹きやまぬこの毎日
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不快だ。
華子穂は壁際に寄せられパーテーションで囲われたテーブルに置かれた箱やらおはじきやら、数字の書かれたカードをうんざりして見ている。
箱は横四つに仕切られており、それぞれがまた縦十一個に分けられている。
横の仕切りにはモールで飾りがしてあり、底板は横の仕切りごとに四色に分けてあった。
一番上は見本だ。おはじきが左端からそれぞれの部屋に一個づつ入っており、右端の部屋には「5」のカードが入っている。
おはじきを数えて、右端に数字のカードを置く。ただそれだけ。
そう、華子穂だって、「ただそれだけ」と思っている。
緑の部屋のおはじきは「ろく」、茶色は「さん」、青は「いち」(すべて華子穂の好きな色だ)、分かっている。馬鹿にしないでほしい。華子穂は腹立たしく思う。
だけれど、それとアラビア数字は結びつかない。
それぞれが「これだけある」のだ。
その体感覚がすべてで、目の前のカードに書かれた「線」とは無関係だ。華子穂には。
だから、こうやって訴えている。
「やりたくない!
やりたくない!」と。
だけど、先生は困った顔をするだけ。なぜこうも、この世界はいつも言葉が足りないのだろう。
たとえだ。先生たちが華子穂と違う生き物でもだ。
友佳は泣き喚きながら床に寝転がり、手足を振り回す華子穂を途方に暮れて眺めている。
この子は何なのだろう。
友佳の息子は広汎性スペクトラムだ。昔ながらの言い方をするならアスペルガー症候群。
その息子を懸命な支援で自立するまで育て、環境を整えた。
友佳にはそのことに誇りと自信があった。
だから、支援センターで働こうと決めたのだ。
実際、友佳の支援は素晴らしいものだった。
それぞれの障がい特性、育ち、そのひとの個性、家族関係、考えられるあらゆることを考慮し、支援や環境の構造化を行ってきた。
今日もレクリエーションで皆楽しそうに踊っている。(曲は映画「アナと雪の女王」のサウンドトラックだ)
この子は何なのだろう。目の前で「うぉー、うぉー」と喚く色黒の女の子を冷たい目で見下ろす。
言葉は分かっているはずのだ。数の概念も理解している。そういう反応をするのだから。
本当に発達障がいなのだろうか?
確かに精神の発達に遅れは認められるけれど、友佳にはそれは二次的なものであるように思えた。
すなわち、虐待による二次的な障がいである。
華子穂は壁際に寄せられパーテーションで囲われたテーブルに置かれた箱やらおはじきやら、数字の書かれたカードをうんざりして見ている。
箱は横四つに仕切られており、それぞれがまた縦十一個に分けられている。
横の仕切りにはモールで飾りがしてあり、底板は横の仕切りごとに四色に分けてあった。
一番上は見本だ。おはじきが左端からそれぞれの部屋に一個づつ入っており、右端の部屋には「5」のカードが入っている。
おはじきを数えて、右端に数字のカードを置く。ただそれだけ。
そう、華子穂だって、「ただそれだけ」と思っている。
緑の部屋のおはじきは「ろく」、茶色は「さん」、青は「いち」(すべて華子穂の好きな色だ)、分かっている。馬鹿にしないでほしい。華子穂は腹立たしく思う。
だけれど、それとアラビア数字は結びつかない。
それぞれが「これだけある」のだ。
その体感覚がすべてで、目の前のカードに書かれた「線」とは無関係だ。華子穂には。
だから、こうやって訴えている。
「やりたくない!
やりたくない!」と。
だけど、先生は困った顔をするだけ。なぜこうも、この世界はいつも言葉が足りないのだろう。
たとえだ。先生たちが華子穂と違う生き物でもだ。
友佳は泣き喚きながら床に寝転がり、手足を振り回す華子穂を途方に暮れて眺めている。
この子は何なのだろう。
友佳の息子は広汎性スペクトラムだ。昔ながらの言い方をするならアスペルガー症候群。
その息子を懸命な支援で自立するまで育て、環境を整えた。
友佳にはそのことに誇りと自信があった。
だから、支援センターで働こうと決めたのだ。
実際、友佳の支援は素晴らしいものだった。
それぞれの障がい特性、育ち、そのひとの個性、家族関係、考えられるあらゆることを考慮し、支援や環境の構造化を行ってきた。
今日もレクリエーションで皆楽しそうに踊っている。(曲は映画「アナと雪の女王」のサウンドトラックだ)
この子は何なのだろう。目の前で「うぉー、うぉー」と喚く色黒の女の子を冷たい目で見下ろす。
言葉は分かっているはずのだ。数の概念も理解している。そういう反応をするのだから。
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確かに精神の発達に遅れは認められるけれど、友佳にはそれは二次的なものであるように思えた。
すなわち、虐待による二次的な障がいである。
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