貴重な男の中で一番優しいのは俺らしい

クローバー

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お菓子を配ったらしい

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ガラガラッ



「おはよー!皆!」

「「おはよー、松本くん!」」



学校に着いて教室に一人・・で入る。

雫さんは、「一緒に入ると注目浴びちゃうから、先に行くね!」と言って俺よりも先に教室にいる。

妬まれるのが嫌なのだろう。

…少し寂しい。



それは仕方ないとして、今日はクラスの皆に俺の手作りのクッキーを渡そうと思う。

目的は勿論、早くクラスメイトの好感度を上げて仲良くなりたいからだ。



「皆、お菓子いらない?実は作りすぎちゃってさ、食べきれなくて。貰ってくれない…かな?」



「作りすぎた」というのは勿論嘘だ。

実は、妹にバレないように隙を見て作っていたのだ!



まあ、妹には特別に「いつもありがと!大切な妹へ、お兄ちゃんより!」ってメッセージつけて、家にハート型のクッキーを置いてあるから大丈夫だろう。

帰った時の反応が楽しみだ。



((松本くんが私たちに!?…学校来てよかった!!))



「ありがとう!大切にいただくね!」

「松本くんの手作り!?一生大切にするね!」

「ぜ、全部私が!!」

「…はっ、これは夢!?」



一生大切にされても困るので食べて欲しいし、夢では無いので安心してほしい。

それにしても皆、いいリアクションをしてくれる。



「取り敢えず、一人二枚ずつくらい取って欲しいかな。出来れば今日中に食べてね!」



そう言って俺は女の子に、バスケットに入ったクッキーを取ってもらう!

直ぐに食べる子やじっくりと少しずつ食べる子、眺めてボーっとしている子など、反応はそれぞれだった。

女の子一人一人に近付いて少しだけ会話が出来たのも嬉しかった。



「「美味しい!凄く美味しいよ!」」

((修史くんかっこいいし、しかも、お菓子作りも出来るなんて!!なんて素敵なんだろう!))



食べてくれた女の子達は美味しいと言ってくれたし、喜んでくれたのでよかった。

前の世界で、料理だけでなくお菓子作りを練習しといて良かった。

うん?何故練習していたかだって?

…不純な理由はないよ!女の子餌付けしたいとか考えてにゃいよ!



「口に合ったようで良かったよ!また、作りすぎちゃうかもしれないから、その時はよろしくね!」

「「その時はぜひ私に「いや、私に「そこはわたくし「あんたは黙ってなさい!」」



このクラスは仲良しだと思った。

クリスマスとかにもう一回やってみようかな。



餌付けが終わった俺は…間違えた。

女子にお菓子をあげた俺は、自分の席に着いた。



「雫さんも、後ちょうど二枚あるから食べてくれないかな?」

「あ、ありがとう…ございます。頂きます」

「じゃあ、口少し開けて!」

「えっ!?…あっ…はい」



パクッ!…モグモグ



雫さんがゆっくりと開いた口にクッキーをそっと入れた。

雫さんは目をぱちくりさせながらゆっくりと、口の奥へクッキーを運んで咀嚼した。



「お、美味しいです。ちょっとびっくりしましたけど。でも、その…なんだか嬉しいです!」



口に手を当てながら、嬉しそうに雫さんは笑った。



「そっか、良かった!じゃあ、もう1個ね、はい、あーん!」

「あ、あーん。モグモグ…。うん!やっぱりすごく美味しいです!」



美少女に生まれてはじめて「はい、あーん!」が成功した、歴史に残る瞬間だった。

自然な流れで出来たので、自分を褒めた。

…いや、自然なのか?



まあ、それはいいがあっさりと流れで俺の言うことを聞いた雫さんに、少し危機感を覚えた。

流石にもう少し警戒するかと思ったからね。

素直な子だ。

…これから楽しみだ。



(雫さんは、素直に言うこと聞いちゃうのか、それとも押しに弱いのかタ分からないけど、悪い男にだけは引っ掛からないといいな。…俺がそこら辺をこれからしっかり、ちょうきょ…教えてあげるかな。)



素直に行動してくれることは、あんなことやこんなことの時には、とても嬉しい。

しかし、俺以外の男には気を付けて欲しいと思った。

前の世界で女性にいいように使われて捨てられた頃の俺に、少し似てると感じた。



クラスの女子に「はい、あーん」をしている姿を見られたかと思ったが、クラスの女子は俺のクッキーの余韻に浸っていて誰も見てはいなかった。

「私にもあーんして!」とか言われたかったかもしれない。



(…あれ!?私、もしかして松本くんとカップルみたいな事しちゃった!?今になってだけど…すごく恥ずかしい!)



少し時間が経ってから、自分のしたことに気付いたのか雫さんは、顔を真っ赤にして机に突っ伏していた。

俺を意識してくれたみたいなのでしてやったりだ。



雫さんにクッキーをあげたところで、クッキーは無くなった。

無くなったが、まだ天音さんと早香さんには渡していなかった。

だが、大丈夫だ。



二人は入学初日から俺と仲良くしてくれた、一番の友達だ。

なので、二人には特別に、ハート型のクッキーをいれて包装した箱を用意していたのだ!

ドキッとしてくれれば嬉しい。

雫さんと愛奈には、それはまた今度あげたい。



「おはよう、天音さん」

「ん!おはよ」

「はい、手作りクッキーだよ!」

「おっ!嬉しいね、サンキュ!」



いきなり渡したのに天音さんは全然動揺しなかった。

とてもあっさりとしたやり取りだが、気を使わなくていい友達って感じがして居心地が良かった。

あまり表情は変わらなくても、凄く喜んでいるのが俺には分かったからね。



その後、天音さんと雑談をしていると、教室の後ろのドアが勢い良く開いて、早香さんが入ってきた。



「おっはよー!松本くん、天音!」

「おはよう、今日も元気で素敵だね!」

「おは!」



二人で挨拶を返した。



「え!?す、素敵!?松本くんが私の事を素敵って…。えへへ、素敵かぁ…。素敵…。…魅力的で可愛い女の子だなんて…。」

「おーい、修史くんはそこまで言ってないぞー!帰ってこーい!」



早香さんは脳内がお花畑に行ってしまわれたようだ。

顔がにやけすぎて、可愛い顔が…可愛いのは変わってなかった。



「早香さんにも、俺の手作りクッキーあげるね。はい、受け取って!」



早香さんの机にそっと箱を置いた。



「え!?いいの!?あ、ありがとう!えへへ~、松本くん!すっごく嬉しいよ!」



早香さんはにっこりと笑った。

結婚したくなった。

それくらい毎日見たいと思える笑顔だった。



(ああ、やっぱり女の子の喜ぶ姿は格別だな。やって良かった!)



皆の笑顔を見て、俺も幸せな気持ちになった。

自分でもあざとい行動とは思うけれど、お互いに嬉しくなれるならこれからもあざとく生きたい。





ー キーンコーンカーンコーン ー



お昼の時間になった。

いつもと違うことは三人でお昼を食べていると言うことだ。



「…と言うわけで、仲良くなったんだよ!」

「なるほどね、雫と修史くんは電車同じだったんだ!へぇー!」

「って事は…修史くん…電車通学なんだね。…そっか」

(私の自転車の後ろに毎日乗って欲しかったなー。うう~、一緒に登校したかったよぉ!)



俺が雫さんをお昼に誘って、天音さんと早香さんに仲良くなった経緯を説明した。

二人とも雫さんとそれなりに話したことある様子だったので良かった。

…約一名、落ち込んでいたが。



そんなこんなで、これからは基本この三人で行動することになりそうだ。

高校に馴染めるか心配だったが、いい友達に出会えてよかった。





お昼休みも終わりになりそうなときに、愛奈が廊下から手招きしていたので、行ってみた。



「修史、今朝は助けて欲しかったぞ!人混みで電車から降りられ無かったんだから!」

「あ、ごめんごめん!気付かなかったよ!」



(やべ、愛奈の事を雫さんの胸のせいで忘れてた…なんて言えない。)



愛奈は腕をくんで、そっぽを向きながら訴えてきた。

どうやら拗ねてるようだ。

電車から降りる時に愛奈を忘れてて申し訳ないと思ったが、拗ねてる愛奈も可愛いと知ることが出来たので、それはそれで良かった。



「まあ、それならしょうがない。そ、そうだ!困った時に修史を呼べるように、連絡先くれよ!」

「それはいい!さっそく交換しよ!」



女子に連絡先をくれと言われて断る俺ではない。

まあ、ある程度面識のある女子に限るけどね。



「あ、そうだ、愛奈にもあげる!」

「ん?何を?」



愛奈にもお菓子を用意していたのを思い出した。

ハート型では無く、星形なんだけどね。



「お菓子だよ、作ったからあげる」

「おっ、まじか!やったぜ!修史はいいやつだな!」



嬉しそうに愛奈は受け取った。

たちまち機嫌が治ったみたいだ。

本当に子どもみたいで保護欲などが湧いてくる。

娘にプレゼントをあげる、お父さん方の気持ちが少し分かった気がした。



パンパカパーン 真壁愛奈の連絡先を手にいれた!
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