貴重な男の中で一番優しいのは俺らしい

クローバー

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妹のヤンデレ化を防いだらしい

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ー 今週も楽しく過ごし、今日は早香さんとデートの日だ。



デートを土曜日の午後に設定した理由は、単純に陸上部の休みが土曜日の午後しか無かったからだ。

なので、早香さんを学校へ迎えに行く形になる。



「取り敢えず、こんなものかな?」



俺は今、服を置いてある部屋で姿見を見ている。

肌を見せすぎるとはしたないと思われるので、薄い素材の服でしっかりと肌を隠す。

少し暑いかと思ったが、服の素材のおかげで割と快適だ。



「大丈夫そうだな、まあ、この体型なら、何を着ても似合うからね。さて、持ち物は…いいな。お金は…コンビニで下ろすかな」



服装と持ち物は用意できた。

ただ、財布の中身が少なかったので、コンビニに寄ることを覚えておく。



「お兄ちゃん、何処かいくの?」



…おっと、そろそろ出掛けようというところで妹に話しかけられた。



「ちょっと、友達と遊びに行ってくるよ。お昼ご飯は作っておいたから。帰りは何時になるか分からないから、夕飯のことは連絡するよ!」



そう言って玄関の方にスッと向かおうとしたが、すれ違いざまに妹に袖を掴まれたので止まった。



「ん!?どうした芽亜?」



妹は俺の目を見てニッコリしながら聞いてきた。



「…その友達って、女の子?もしかして…二人きり?」



…なんだろう、なぜかちょっと怖い。



「そ、そうだよ、転入して最初に仲良くしてくれた子だよ。色々お世話になったからお礼も兼ねて遊んでくる。」

「…そっか、そうだよね。お兄ちゃんモテるから女の子の友達くらい出来るよね。」



妹は納得してくれた様子だ。



「ははっ。モテるかは知らんが、お兄ちゃんにだって、友達くらいはいるからな。…まあ、男の友達はいないけどな。それじゃ、行ってくるよ」



そう言って歩き出そうとしたが、まだ手を離してくれない。



「…もしかして、彼女さん?」



妹が優しくニッコリして聞いてきた。

だが、その目は一切笑っていなかった。

その表情に俺は凄く嫌な予感を感じた。



(はっ、もしかして!)



その時、俺は今までのアニメや恋愛シミュレーションゲームを散々やってきたお陰で、気付いた事があった!



(これは妹がヤンデレ化する前兆だ!…ここでの対処を間違えては絶対にいけない!)



対処を気を付けるべきだと思った。

お兄ちゃん大好きっ子は、好きの方向性がずれるとヤンデレになってしまうのだ。←俺の独自の考え

選択肢を間違えて、哀れに散った主人公達と同じ道はたどりたくない。



(考えろ、これからのデートも認めて貰いつつ、尚且つ妹の感情も変わらない方法を!)





選択肢1



「まだ、彼女じゃないよ!ごめん、時間ないから行くね!」



俺は妹の手を軽く払い、早香さんの元へ向かった。



「…まだ…ね…。ってことは、もうすぐ彼女になるって事だね。お兄ちゃんは、芽亜の大切なお兄ちゃん。彼女さんにお兄ちゃんが取られる前に、芽亜が、お兄ちゃんを……」



そう静かに芽亜は呟いた。

兄を愛する気持ちが、歪んでしまった瞬間だった。



「ただいまー、楽しかったよ!」



そして、帰宅した修史は…。





選択肢2



「そうだよ、彼女だよ。とってもいい子だから、好きになったんだ。それじゃ、行ってくるよ!」



そう言って俺は早香さんの元へ急いだ。

この世界での初めてのデートなので、期待に胸を膨らませて。



(…彼女さんか…。お兄ちゃんにも好きな人が出来たんだね…。喜ぶべきことなのに、何でだろう凄く悲しいよ。)



芽亜は何か大切なものを失った感覚に襲われた。



「…あ、そっか、お兄ちゃんに好きな人が出来たってことは、芽亜が受け取るはずだったお兄ちゃんの愛情が、彼女さんの方に流れちゃったんだ!…芽亜への愛情を、お兄ちゃんから彼女が奪った!」



そして、気付いた。

自分へ注がれる愛情が、彼女のせいで減ってしまうのでは無いかということに。



「…芽亜とお兄ちゃんの間に入ってきた泥棒猫を、芽亜は許さない。愛情を奪われる前に…」



そう言うと、芽亜は修史の後を追う。

修史の彼女の情報を得るために。



数日後、修史は泣き叫んでいた。

なぜなら…。



選択肢3



「彼女だよ。スッゴく大切な子だから、邪魔とかしないでね。じゃ、こんなとこで時間くってる場合じゃないから」



そう言うと俺は妹の掴む手をはたき、早香さんの元へ向かった。



「…そんな。…芽亜らお兄ちゃんに冷たくされちゃった。…芽亜よりもずっとずっと大切な存在が、お兄ちゃんに出来ちゃったんだね。…じゃあ、芽亜はもういらない子なのかな?」



芽亜は、修史にはたかれ少し赤くなった手を見ながら、考えた。

その頬には一滴の涙が流れていた。



「ただいまー。芽亜?」



修史が家に帰って来た時に、いつも出迎えてくれる芽亜は来なかった。

なぜなら…。







(おい!何で俺はダメなルートしか思いつかんのだよ!芽亜は大切な妹だぞ。勿論、妹への愛は変わらない。その事を彼女が出来るであろうこれからも、その愛情は続くから安心してねって事を、しっかり伝えないといけないのに!)



俺は頭をフル回転させて、考えた。

そして、結論が出た。



「彼女じゃないよ。でも、これから彼女になるかもしれない」



俺はしゃがんで、妹と目線を合わせて、はっきりと告げた。



「…そう、なんだ」



妹は表情を曇らせ、下を向いた。

色々と思うことがあったのだろう。



「芽亜、俺はこれから彼女が出来たり彼女が増えたりすると思う。いや、そうなる!…だけど、聞いてほしい。だからと言って芽亜との時間は大切にするし、彼女と芽亜を天秤にかけたりするような事はしない。そう約束する」



俺は妹の頬に手を当て、真剣な目で芽亜を見つめる。

妹も顔をあげ、俺の目を真剣に見つめる。

その目は少し、潤んでいた。



「…お兄ちゃんにとって芽亜は大切?」



芽亜は小さな声で聞いてきた。



「勿論だ!芽亜は俺の大切な大切な妹だ。かけがえのない、俺の妹だ。芽亜がいるから、俺はこうして笑っていられるんだ!」



妹の頭をそっと撫でながら、笑顔で、自信を持って言った。

芽亜は俺の目をじっと見た後、いつもの明るい笑顔を見せた。

そして、俺の首に抱きついてきた。



「えへへ、ありがとお兄ちゃん。芽亜もお兄ちゃんがとっても大切だよ!お兄ちゃんがいるから、毎日が楽しいんだよ!」

「…そっか、ありがとな!」



俺は抱きつく妹の腰に手を回し、優しく愛情を込めて抱き締めた。

その小さな体はとても暖かく、柔らかくて気持ちよかった。



「彼女が出来ても、芽亜を大切にするから安心してな」

「うん!分かった!頑張ってね、デート!彼女さんも大切にね!」

「ははっ、ありがと!勿論だ!…まだ、友達だけどね」



腰に回していた手を放し、妹の頭を再び撫でた。

小学生らしい、柔らかな髪の感触が心地よかった。

これから彼女が出来ても妹を大切にするという俺の心意気は、しっかり伝わったようだ。



「それじゃ、時間だから行ってくるよ!」

「あ、待ってお兄ちゃん、最後に…」



妹から離れ、立ち上がろうとした時に止められた。

そして…。



チュッ!



ほっぺにとても柔らかい感触がした。



「芽亜はお兄ちゃんが大好きだよ!世界で一番大好きだから!芽亜のファーストキスは、お兄ちゃんにあげるね!」



妹は心からの満面の笑みを見せた。

ほっぺにキスされたと脳が認識するまでに時間がかかった。



ああ、なんて幸せな瞬間だろう。

ああ、なんて素晴らしい妹だろう。

心が温かくなった。



「ありがと、大切に受け取ったよ!じゃあ、お返し!」



俺はそんな可愛い可愛い妹の、ほっぺにキスをした。



「それじゃあ、行ってきます!」



固まる妹の頭を最後に軽く撫でてから、家を出た。



「……へ!?…ええっー!!」



修史が出ていった後、芽亜の驚く声が家の中に響いていた。
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