貴重な男の中で一番優しいのは俺らしい

クローバー

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早香さんとのデートが始まったらしい

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妹とのふわふわ時間タイム、及び幸せな時間が終わった俺は、急いで学校に向かった。



時間には余裕はあるにはあるが、もし早香さんを待たせたら申し訳ないと思ったからだ。



「おっと、いけない、お金だけ下ろさないと。」



駅に付く前にコンビニを見かけて、思い出した。

急いでATMでお金を下ろすことにする。



前の世界と同じ黒いカード、暗証番号を打ち込み、無事にお金を下ろす事が出来た。

お金を取った後、ATMの画面に残高が表示される。



「へっ!?」



俺は間抜けな声を発した。

前の世界での貯金など、奨学金の返済に当てていたせいで、百万ちょっとしかなかったはずだ。

しかし、画面に写っている金額は、前の世界の残高より、桁が二つ程増えていた。



(宝くじで当たった記憶もないし、このお金は何なんだ?)



俺はフリーズした。

目を擦っても変化のない残高を呆然と見つめながら、恐る恐るお金を下ろした。

何故か罪悪感を感じた。



しかし、そんなことよりも、最重要優先事項の早香さんとのデートが大切なので、急いで駅に向かった。



ー ガタンゴトン ー



電車の中で俺は、キャッシュカードを見つめながら思った。

自分のキャッチカードに間違いは無い。

だが、中のお金は俺の稼いだお金では無いと。



…多分だが、この世界の両親が俺の口座に振り込んでくれたお金ではないだろうか?

多分、そうだろう。



そんな事を考えていると、俺の心の中で悪魔二人と天使一人が戦い始めた。



悪魔1

(ラッキーじゃねぇか!当分遊んで暮らせるぜ!親が俺にくれた金だぞ、俺のものだから使えばいいじゃないか!)



天使

(体はともかく心は25歳でしょ!そんな大人が親の金で生活していいわけない!…今日はしょうがないけど、バイトして自分のお金で生活してこうよ!)



悪魔2

(天使よ、親からの好意を無下にするのはいけないことだろう。親に感謝して使えば、何の問題もないさ!)



天使

(な、なるほど!さすが悪魔、あったまいい!)



二対一の戦いに俺の中の天使は一瞬で負けた。

取り敢えず、結論は出た。

親に感謝して、無駄使いの無いようにお金は使わせて貰うようにしようと。



ちなみに、後で母親に連絡して聞いたところ、『足りなくなったらいつでも言ってね!』と返信が来ていた。

足りなくなるなんて、一般人の俺にはありえないけどね。

まだ、この世界に来て母親には会っていないが、少し会うのが怖くなってしまった。







そうこう考えていると駅に着いたので、そのまま学校へと少し急いだ。

早香さんに『部活終わったら連絡下さい!』とメッセージを送っておいた。



すると、直ぐに既読がついて、『ちょうど練習終わりました!着替えたりしてきます!』と返信がきた。



(部室にでも行っとこうかな?)



俺はグランド横の部室棟を目指して歩いた。

グランドを脇を通った時に、まだ先輩方が練習しているのが見えた。



(今日も皆、頑張ってるな。…目の保養になるぜ、揺れる…おっぱ…そんな事は考えちゃダメだ)



邪な気持ちを抑えつつ遠目で眺めていたら、先輩達が俺に気付いたらしく、みんな走って俺のところに向かってきた。



「やあやあ、こんにちは。松本くん、今日はどうしたの?」

「早香さんに用があって来たんですよ!」

「あー、だから早香はずっとソワソワしてたんだ!…もしかして、デート?」

「…それは、ひ、秘密…です!」



思わず目をそらしてしまった。

大勢に囲まれていたため、いつものクールな俺ではいられなかった。



((分かりやすい…。早香とデートなんだね。松本くん、照れてて可愛いなぁ。…それにしても早香め、羨ましい。))



デートだと陸上部の先輩方に感づかれたので、一応誤魔化しておく。

…皆、ニヤニヤして俺を見てるけど。

はいはい、察している通りデートですよ。



「まあ、松本くん、早香をよろしくね!」

「勿論ですよ!」

「早香に何か変なことされそうになっても、嫌わないであげてね!」

「ははっ、早香に限ってそんな事ありませんよ!」



((松本くん、早香がムッツリって事に気付いてない!?…早香、頑張って耐えろよ!…松本くん、今日の夜、大丈夫かな…。))



何故か陸上部の皆さんは、心配そうな顔で俺を見ていた。

俺じゃなくて普通は早香の心配をするところではないのだろうか?







先輩達に励まさせれた後、早香さんから『準備できたよ!校門に集合でいいかな?』と連絡が入った。

返信をしてから、校門に急いだ。



先に着いたので、待っていると少し駆け足で早香さんが向かってきた。



「ご、ごめんね!待った?」

「ううん、丁度今着いたばかりだ…よ!」



(なんだこの可愛さは!?い、今すぐホテルに行きたい!)



少し息を上げて俺に話しかけてきた早香さんは、普段よりも魅力的に見えた。



目の前にいる早香さんは、ショートパンツに白いフリルブラウスを着ていて、肩から黒い小さな鞄をさげていた。

脚をしっかりと見せるその格好は普段よりもずっと魅力的に思えた。

早香さんの無駄のないスタイルが良くわかって、自然と抱き締めたくなるくらい、心が惹き付けられた。



「凄く可愛いよ!早香さん!似合ってるよ!」

「そ、そうかな?…えへへっ、ありがと!…松本くんもかっこいいよ!」

「そう?嬉しいよ!ありがと!」



早香さんは褒められて照れていた。

下を向いて少しモジモジしていた。



「取り敢えず、ご飯食べに行こうか!」



まだ俺は昼食を食べておらず、早香さんも部活が終わったばかりだったので、何も食べてないと思い、提案してみた。



「うん!お昼まだ食べてないから、そうしよ!」

「何か食べたいものとかある?」

「うーん、オムライスとかかな?あっ、でも松本くんの食べたいものなら何でもいいよ!」



早香さんは気を使ってくれたが、お昼は早香さんの要望に合わせ、オムライス専門店に行くことにした。

何でもいいよって言われたら、少し困ったけどね。

まあ、俺が本当に食べたいのは早香さんの…なんでもない。



スマホでお店を調べると電車ですぐだったので、駅へ向かった。

二人で並んで、ゆっくりと会話をしながら歩いていく。

お互いの肩が何回か当たり、その度に早香さんは頬を赤くしていた。

そんな、早香さんはとても嬉しそうだった。





ー 初々しいカップルのように歩いていると、少しして駅に着いた。



電車に乗り、座席に着くと早香さんも俺の隣に座る。

座ったはいいのだが、二人の間に若干距離が開いてしまった。



並んで歩いているときよりも離れてしまったので、俺から早香さんに近付いた。

くっつきたいからね。

少し積極的になってみた。

「下心見えすぎ」とか思われたらどうしようと、内心ビクビクしていたのは内緒だ。



「っ!?」



少し、驚いた様子だったが、嫌がる様子は無かった。



(松本くんがこんなに側に…。ううっー。…えい!!)



それどころか、早香さんは意を決したように、スッと俺に体を預けてきた。

早香さんの甘い香りがした。



突然の事にドキッとしたが、早香さんの気持ちを無下にしないように気を付ける。

俺も早香さんの行動にこたえる為に、早香さんの肩に手を回した。



柔らかい、女の子独特の抱き締めたくなるような感触を腕全体で感じた。



少しビクッとした早香さんだったが、嫌がる素振りを一切見せずに受け入れてくれた。

それどころか、嬉しかったのか早香さんは更に体を預けてきた。



周りからは、二人寄り添う、仲の良いカップルに見えていることだろう。

前の世界の俺だったら、リア充○ね!と言いたくなるくらいだ。

早香さんの髪が俺の首に当たり、少しくすぐったかったがとても居心地がよかった。



「今日は行きたいところある?」

「映画館とか…かな。…ダメ?」

「全然いいよ!俺も映画見たかったし。後は遊びながら決めよ!」

「うん!」



電車の中で小声で会話をする。

体がくっついているため、小声でもお互いの声が良く聞こえた。

早香さんも恥ずかしい事に慣れたのか、少しずつ俺に甘え始め、軽く抱き付いてきた。

…いい変化だ。緊張も少なくなり、お互いをお互いが受け入れた感じがした。



(…これはなんて幸せな時間だろう。温かくて柔らかくてとても気持ちがいい。あ、早香さんの心音がすごく伝わってきてる。ああ、何でこんなに心地がいいんだろう。)



(はううっ。今、すっごく幸せな時間だよぉ。松本くん、すっごくいい匂いがするし、温かくて安心するし。だ、大胆にくっついちゃったけど、受け入れてくれてる…よね?…勇気を出して良かったぁ!)



電車がこのまま着かなければいいのにと思ってしまうほどに、俺は幸せを感じていた。

仲が深まって、進展した気がした。





二人のデートはまだまだ、始まったばかりだ。

しかし、デート開始1時間も経たないうちに、二人の距離はかなり縮まった。
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