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ワガママ姫の婚約式
しおりを挟むアナベル・ラ・リレット、20歳。
言っちゃうと、私、転生者です!
所詮、一目惚れを理由にこの度、婚約を結ぶことになりました! 相手はなんと、隣国アスランの王子様。 前世を思わせる黒髪黒目のイケメンで、とある小説のモブキャラ。
と、言うのもこの世界。なんと、ある小説の中の世界なのである。
私がその事に気がついたのは、前世の記憶を思い出してから、2年の月日がたった頃。
あれ、これってもしかして·····と、周りとの“美醜”の価値観とか、そう言うので、ピコーンと、私の中の何かがひらめいた。
だから、私はこの世界の美醜が、前世との美醜とは逆転した世界だと知っている。この、前世で言う、デブスな私が、今世では美少女だって事も·····。
って、何はともあれ。異世界転生。
楽しまなきゃ損!私は、やりたい事や気になったことを全てやり尽くすことにした。
でも、中でも私が困ったのは、結婚問題。
20歳はこの世界では行き遅れとされる中、私の前にはブサメンしか集まらなかった。
と、そんな中見つけたのが、シリウス様。
前世で言うところの“国宝級のイケメン”がそこにいた。
これは逃す訳にはいかないと、私、頑張っちゃいました!
そして、今日!憧れの未来の旦那様との対面! もう、婚約が決まった時は嬉しすぎて、鼻血が出るかと思った。
───コンコン
「アナベル様、そろそろ」
侍女のリリィの言葉に頷きを返して、私は控え室から出た。
そして、向かうのはシリウス様の所。
侍女の案内を元に私は真っ直ぐに会場にたどり着いた。
そして開かれる扉。
私の兄とアスラン様とそのご両親、そして護衛騎士、それ以外に誰もいない空間に私は、1歩、また1歩と足を踏み入れた。
ドキドキと心臓がうるさいのは、緊張からか。それとも·····、期待からなのか。
私は、凄い緊張感をもち、ドキドキしながら顔を上げ微笑んだ。出来るだけ可愛く、美しく見えるように。
「初めまして、わたくし、アナベル・ラ・リレットと申しますの。これから、よろしくお願いしますわ、わたくしの婚約者様·····」
言い終わって私は気づいた。
この方は·····シリウス様?
本来黒髪黒目の国宝級のイケメンがいる場所にいたのは、奇妙なお面を被った、白髪の青年だった。
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