悪役令嬢に転生しました??

朝比奈

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第二章

ガーデンパーティー(1)

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「アンジェリカ、大丈夫なの?」

「えぇ、お義母様、大丈夫ですわ。」

レイザーン殿下が我が家を去った後、わたくしはまた、お義母様と向かい合っていた。

「でも、殿下がアンジェリカは体調が優れないようなので今日はこれで、と仰っていたのよ?やっぱり、医者に見せた方が・・・」

「ほ、本当に大丈夫ですわ、お義母様っ!」

「でも・・・」

シャンスお兄様が体が弱かったからだろうか。
お義母様は、先程からずっと医者に見てもらいましょうと譲らない。
勿論、私も医者に見せるほどでも無いので譲るつもりは無い。

しかし、お義母様に心配してもらうのは少しくすぐったくて嬉しい。

今日は、大人しくベットで横になる事にした。

「何かあれば直ぐに言うのよ。」

そう言って、お義母様は部屋を出ていった。

一人、部屋に残ったわたくしはベットから出てバルコニーに出た。

『アンジェ、気分、悪い?』

『ルビー、平気よ。心配させてしまったかしら。』

私が一人になると、ルビーは私の周りをふわふわと飛びながら話しかけてくる。

表情は見えなくとも、その声から、何となく想像することができる。

『ううん。アンジェ、ルビーがまもる。だから、何かあったら、言って。』

『ふふっ、ありがとう・・・。』

そう言ってルビーを撫でるように、手を動かす。

『アンジェ、あの子、嫌い?』

あの子?あの子って・・・。

『殿下のこと?』

『うん。アンジェ、あの子が来た時、苦しそう、だった。』

『っ、!』

(ルビーにまでバレていたなんて・・・。)

私も不思議だ。

ゲームで殿下の事を知っているとはいえ、実際に会うのは初めてのはずなのに・・・。

ずっと、ずっと、知っていた気がする。

あの目も、あの声も、あの笑みも・・・。

少しだけ、チクリと胸が傷んだ。

だが、きっと気の所為だ、と私は頭を振り、やはり疲れているのだろうと思い、ベットに戻った。

━━━━━━━━━━━━━━━

「アンジェっ!王宮で開かれるガーデンパーティーに行くって本当なのっ!?」

アレクシスとの買い物から帰ってきたお兄様が、挨拶もせずに私に問いかけてくる。

「えぇ、本当ですわ。」

「なっ!アンジェ、もしかして、殿下の事が・・・。」

「ちっ、違いますわっ!」

お兄様が何か勘違いをしそうだったので私は慌てて弁解した。

「わたくしは別に、殿下の事なんてなんとも思っていませんわっ!殿下だって、ただ、社交辞令で誘っただけですわ!」

「だけど、母上が、殿下とはとても良い雰囲気だったって、帰りなんて、お互い離れたくないと見つめ合ってたと・・・。」

(お、お義母様っ!何をどう見てそんな事をっ!?)

既に、シャンスお兄様は盛大に勘違いしていた。

このままではまずい、と思ったわたくしは、殿下と話したことをお兄様に言った。

「お、お兄様っ!わたくし、殿下に婚約者候補から外してもらうようにお願いしましたのっ!」

《ガシャーーーン》

「「えっ。」」

その時、何かが割れる音がした。

振り返って扉の方を見てみれば、エリナがいて、そして、その足元にはティーカップであったであろう、破片が散らかっていた。

「えーーと。エリナ?」

私は未だ固まって動かないエリナに恐る恐る話しかけた。

「お、お嬢様っ。今のお話は本当なのですかっ!」

「え?」

「で、ですからっ、殿下に、“婚約者候補から外してもらうようにお願いした”と。それは、本当、なのですか。」

「・・・う、ん。」

「では、お嬢様は殿下と、結婚したくない、という事ですか?」

「えっ、えぇ、そうよ。」

私のその返事にエリナが「そんな」と小さく呟く。

エリナはわたくしに殿下と結婚して欲しいのかしら?

エリナの焦った表情に私は首を傾げた。

「お、お嬢様、奥様が、先程、殿下との婚約の話を進めたい、と、返事をなさいました。」

今度は私が「そんな」と言う番だった。

「いや、でも、エリナ、婚約者候補はわたくしの他にもいると、言っていたわ。いくら、お義母様が、その手紙を出したからって、直ぐに決まるわけじゃないでしょう?」

私は自分に言い聞かせるように言いながら、エリナの返事を待った。

「ですが、お嬢様は、婚約者候補の中でも、一番地位が高いのです。もしかしたら、という可能性も・・・私がお嬢様の意志を確認していれば・・・。」

と、エリナが落ち込んだように言った。

「大丈夫よ。とりあえず、来週あるガーデンパーティーで、もう一度、殿下にお願いしてみるわ。」

私はそう言ってエリナに笑いかけた。

「とりあえず、片付けをしないと・・・」

床にちらばったままの、ティーカップであった破片を見ながらそう言うと、その声に被せるように、

「ねぇ、アンジェ、そのガーデンパーティー、僕も一緒に行っても良いかな?」

と、シャンスお兄様が良い笑顔でそう言った。

━━━━━━━━━━━━━━━
次回は王宮のガーデンパーティーです。
投稿遅くてすみません<(_ _)>
ここまで読んでくれてありがとうございます!
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