悪役令嬢に転生しました??

朝比奈

文字の大きさ
30 / 33
第二章

ガーデンパーティー(2)

しおりを挟む
ガーデンパーティーの日がやって来た。

今日は朝からエリナを中心に侍女達に手伝ってもらい、今まで来た事がないような上質なドレスに着替えた。

白と紫で構築されたドレスは私の体力の無さを考慮し、軽めに作られている。歩く度に、まるで踊っている様にヒラヒラと揺れるところがとっても可愛くて私はすぐに気に入った。

家を出る前にアレクシスが、「妖精さんみたいっ!可愛いですっ!お姉様っ!」とキラキラした笑顔で褒めてくれた。

お兄様からも、「僕の妹が可愛すぎる!ねぇ、今日はやっぱり辞めにして、アレクシスも連れて僕達でまたピクニックにいかない?」と引き止められた。

とても魅力的なお誘いに私も乗りたいところだったが、今日は大事な、大事なフラグ潰しに行くつもりなので泣く泣くお断りした。

その代わり、後日、絶対行こうと約束した。

ちなみに、今日はお兄様は一緒に行けなくなった。

私としても初めての公の場、否、ある意味社交界デビューの様なもので、知っている人がいるのはとっても心強いのでお願いしたかった。

それがお兄様なら尚更だ。

しかし、お義母様がそれを許さなかった。

私は理由を聞くことが出来なかったが、お兄様は納得してるみたいなので、お義母様なりに何かちゃんとした理由があるのだろう。

ということで私は今、一人でガーデンパーティーに来ている。

王宮にある庭園には沢山の薔薇が咲き誇り、50人くらいの少年少女たちが楽しそうに笑う声が聞こえてくる。

このガーデンパーティーはレイザーン殿下の婚約者を決めるためのものだから、当たり前だが、レイザーン殿下は人気者だ。

レイザーン殿下を狙っている令嬢によって、周りが固められている。

あの輪の中に入るつもりは無いけど、レイザーン殿下と話すためには必要なことだろう。様子を見ながら機会を伺う事にして、私はルビーと薔薇をみて歩いた。

『アンジェ、どこ行くの?』

『せっかく綺麗な庭園だから、よく見ておこうと思って・・・。』

『セイラの湖の方がきれいだよ?』

『ふふっ、そうね。』

『アンジェが、薔薇、好き?』

『うん、好き、かな。一番はゆりの花だけど。』

『ゆり?』

『そう、ゆりの花よ。ルビーは・・・』

「誰だ?」

薔薇を見ながらルビーと話していると、突然、知らない人の声が聞こえてきた。

ビックリしながらも、声のした方を見てみると、そこには金髪金目の私より頭一つ分くらい背の高い男の子が立っていた。

「ここで何をしている。」

「何も。少し、散歩していただけですわ。・・・邪魔ならすぐに帰りますわ。」

もしかしたら来ては行けないところまで歩いて来てしまったのでは無いかと内心は焦りながらも、微笑みながら戻ろうとしたその時、突然腕を掴まれた。

「まっ、待て。」

「えっ。」

「その、せっかく来たんだ。少し、話し相手になっては貰えないだろうか。」

少し寂しさを含んだような目でそう言われば断ろうにも断りずらく私は頷いた。

それを見た彼はホッとした様な表情になる。

「えっと、あなたは?」

「名乗るほどの者ではない。」

「・・・そうですか。お初にお目にかかります。わたくしガートン公爵家が長女アンジェリカ・ガートンですわ。」

名前が聞けないのは少し残念な気がしたが、何か事情があるのかもしれないと思ったので深追いはしなかった。

代わりにカーテシーをしながら挨拶をする。

友達の一人もいない私は、初めての友達が出来るかもしれないと思い丁寧に名を名乗った。

 「アンジェリカ嬢か、よろしく。」

「呼び捨てで構いませんわ。・・・あなたのことは何とお呼びすれば?」

「ジルと呼んでくれ。アンジェリカ。」

「分かりました。よろしくお願いしますわ。ジル様。」

「様も敬語もいらない。」

「ふふっ、分かったわ、ジル。」

私がそう言って笑えば、満足したかのように頷きまた私の手を引いて歩き出した。

「どこに向かってるの?」

「向こうに東屋があるんだ。あそこじゃ色々と目立つから。」

「目立つ?」

「・・・なんでもない。アンジェリカは王宮に来たのは初めてなのか?」

「えぇ。そうですわ。」

「ふーん、そっか。」

そう言ってジルは少し嬉しそうに笑った。

私はなんで、ジルが嬉しそうなのか分からなくて首を傾げる。

すると、わたくしの視線に気がついたのかジルは「知らなくていい」とまた前を向いて歩き出す。

「ほら、あそこ。」

暫くして、所々に緑のツルが巻きついている東屋が見えた。あまり手入れの行き届いてなさそうなその場所はジルのお気に入りなんだとか。

ドレスが汚れるのが嫌だった私はハンカチを一枚敷いてそこに座った。

ジルは私の向かい側に座ると、私の趣味や好きな花、好きな色など私のことを色々知りたがった。

私はジルの言葉に丁寧に答えていった。

変わりにジルの好きな物を私は聞いた。

ジルは大きくて美しい花よりも小さく目立たなくともただそこにある花が好きだと。

色は白が好きで、一番のお気に入りはかすみ草だと。

夜の寝る前にする読書が好きだと。

そんなたわいない話をしていた。

「ねぇ、アンジェリカ」

話に一区切りが着いた時ジルが私の名を呼んだ。

その声は先程と同じような寂しさを含んだ声だった。

その声に私はジルを見つめながら続きを待った。

「俺の友達になってくれないか?」

「えっ?」

「・・・ダメか?」

「えっと、もう、わたくしは友達だと思っていたわ。」

「そうか!」

ジルが嬉しそうに笑った。

私もそれにつられて笑った。

ジルは不思議だ。今日初めてあったのに、もうこんなに私はジルに心を許してしまっている。

やっぱりジルの本名が、知りたい。

と私が口を開こうとした時。

「アンジェリカ嬢、居ないと思っていたら“兄上”と一緒だったのか。」

と、言ってニコニコしながら、私たちに近ずいてきたのは先程まで多くの令嬢に囲まれていたはずのレイザーン殿下だった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった

木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。 今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。 せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。 床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。 その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。 他サイトでもアップしています。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! アルファポリス恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 *他サイトでも公開中 なろう日間総合ランキング2位に入りました!

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました

神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。 5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。 お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。 その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。 でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。 すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……? 悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。 ※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。 ※少し設定が緩いところがあるかもしれません。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜

みおな
恋愛
 私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。  しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。  冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!  わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?  それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?

処理中です...