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第二章
ガーデンパーティー(2)
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ガーデンパーティーの日がやって来た。
今日は朝からエリナを中心に侍女達に手伝ってもらい、今まで来た事がないような上質なドレスに着替えた。
白と紫で構築されたドレスは私の体力の無さを考慮し、軽めに作られている。歩く度に、まるで踊っている様にヒラヒラと揺れるところがとっても可愛くて私はすぐに気に入った。
家を出る前にアレクシスが、「妖精さんみたいっ!可愛いですっ!お姉様っ!」とキラキラした笑顔で褒めてくれた。
お兄様からも、「僕の妹が可愛すぎる!ねぇ、今日はやっぱり辞めにして、アレクシスも連れて僕達でまたピクニックにいかない?」と引き止められた。
とても魅力的なお誘いに私も乗りたいところだったが、今日は大事な、大事なフラグ潰しに行くつもりなので泣く泣くお断りした。
その代わり、後日、絶対行こうと約束した。
ちなみに、今日はお兄様は一緒に行けなくなった。
私としても初めての公の場、否、ある意味社交界デビューの様なもので、知っている人がいるのはとっても心強いのでお願いしたかった。
それがお兄様なら尚更だ。
しかし、お義母様がそれを許さなかった。
私は理由を聞くことが出来なかったが、お兄様は納得してるみたいなので、お義母様なりに何かちゃんとした理由があるのだろう。
ということで私は今、一人でガーデンパーティーに来ている。
王宮にある庭園には沢山の薔薇が咲き誇り、50人くらいの少年少女たちが楽しそうに笑う声が聞こえてくる。
このガーデンパーティーはレイザーン殿下の婚約者を決めるためのものだから、当たり前だが、レイザーン殿下は人気者だ。
レイザーン殿下を狙っている令嬢によって、周りが固められている。
あの輪の中に入るつもりは無いけど、レイザーン殿下と話すためには必要なことだろう。様子を見ながら機会を伺う事にして、私はルビーと薔薇をみて歩いた。
『アンジェ、どこ行くの?』
『せっかく綺麗な庭園だから、よく見ておこうと思って・・・。』
『セイラの湖の方がきれいだよ?』
『ふふっ、そうね。』
『アンジェが、薔薇、好き?』
『うん、好き、かな。一番はゆりの花だけど。』
『ゆり?』
『そう、ゆりの花よ。ルビーは・・・』
「誰だ?」
薔薇を見ながらルビーと話していると、突然、知らない人の声が聞こえてきた。
ビックリしながらも、声のした方を見てみると、そこには金髪金目の私より頭一つ分くらい背の高い男の子が立っていた。
「ここで何をしている。」
「何も。少し、散歩していただけですわ。・・・邪魔ならすぐに帰りますわ。」
もしかしたら来ては行けないところまで歩いて来てしまったのでは無いかと内心は焦りながらも、微笑みながら戻ろうとしたその時、突然腕を掴まれた。
「まっ、待て。」
「えっ。」
「その、せっかく来たんだ。少し、話し相手になっては貰えないだろうか。」
少し寂しさを含んだような目でそう言われば断ろうにも断りずらく私は頷いた。
それを見た彼はホッとした様な表情になる。
「えっと、あなたは?」
「名乗るほどの者ではない。」
「・・・そうですか。お初にお目にかかります。わたくしガートン公爵家が長女アンジェリカ・ガートンですわ。」
名前が聞けないのは少し残念な気がしたが、何か事情があるのかもしれないと思ったので深追いはしなかった。
代わりにカーテシーをしながら挨拶をする。
友達の一人もいない私は、初めての友達が出来るかもしれないと思い丁寧に名を名乗った。
「アンジェリカ嬢か、よろしく。」
「呼び捨てで構いませんわ。・・・あなたのことは何とお呼びすれば?」
「ジルと呼んでくれ。アンジェリカ。」
「分かりました。よろしくお願いしますわ。ジル様。」
「様も敬語もいらない。」
「ふふっ、分かったわ、ジル。」
私がそう言って笑えば、満足したかのように頷きまた私の手を引いて歩き出した。
「どこに向かってるの?」
「向こうに東屋があるんだ。あそこじゃ色々と目立つから。」
「目立つ?」
「・・・なんでもない。アンジェリカは王宮に来たのは初めてなのか?」
「えぇ。そうですわ。」
「ふーん、そっか。」
そう言ってジルは少し嬉しそうに笑った。
私はなんで、ジルが嬉しそうなのか分からなくて首を傾げる。
すると、わたくしの視線に気がついたのかジルは「知らなくていい」とまた前を向いて歩き出す。
「ほら、あそこ。」
暫くして、所々に緑のツルが巻きついている東屋が見えた。あまり手入れの行き届いてなさそうなその場所はジルのお気に入りなんだとか。
ドレスが汚れるのが嫌だった私はハンカチを一枚敷いてそこに座った。
ジルは私の向かい側に座ると、私の趣味や好きな花、好きな色など私のことを色々知りたがった。
私はジルの言葉に丁寧に答えていった。
変わりにジルの好きな物を私は聞いた。
ジルは大きくて美しい花よりも小さく目立たなくともただそこにある花が好きだと。
色は白が好きで、一番のお気に入りはかすみ草だと。
夜の寝る前にする読書が好きだと。
そんなたわいない話をしていた。
「ねぇ、アンジェリカ」
話に一区切りが着いた時ジルが私の名を呼んだ。
その声は先程と同じような寂しさを含んだ声だった。
その声に私はジルを見つめながら続きを待った。
「俺の友達になってくれないか?」
「えっ?」
「・・・ダメか?」
「えっと、もう、わたくしは友達だと思っていたわ。」
「そうか!」
ジルが嬉しそうに笑った。
私もそれにつられて笑った。
ジルは不思議だ。今日初めてあったのに、もうこんなに私はジルに心を許してしまっている。
やっぱりジルの本名が、知りたい。
と私が口を開こうとした時。
「アンジェリカ嬢、居ないと思っていたら“兄上”と一緒だったのか。」
と、言ってニコニコしながら、私たちに近ずいてきたのは先程まで多くの令嬢に囲まれていたはずのレイザーン殿下だった。
今日は朝からエリナを中心に侍女達に手伝ってもらい、今まで来た事がないような上質なドレスに着替えた。
白と紫で構築されたドレスは私の体力の無さを考慮し、軽めに作られている。歩く度に、まるで踊っている様にヒラヒラと揺れるところがとっても可愛くて私はすぐに気に入った。
家を出る前にアレクシスが、「妖精さんみたいっ!可愛いですっ!お姉様っ!」とキラキラした笑顔で褒めてくれた。
お兄様からも、「僕の妹が可愛すぎる!ねぇ、今日はやっぱり辞めにして、アレクシスも連れて僕達でまたピクニックにいかない?」と引き止められた。
とても魅力的なお誘いに私も乗りたいところだったが、今日は大事な、大事なフラグ潰しに行くつもりなので泣く泣くお断りした。
その代わり、後日、絶対行こうと約束した。
ちなみに、今日はお兄様は一緒に行けなくなった。
私としても初めての公の場、否、ある意味社交界デビューの様なもので、知っている人がいるのはとっても心強いのでお願いしたかった。
それがお兄様なら尚更だ。
しかし、お義母様がそれを許さなかった。
私は理由を聞くことが出来なかったが、お兄様は納得してるみたいなので、お義母様なりに何かちゃんとした理由があるのだろう。
ということで私は今、一人でガーデンパーティーに来ている。
王宮にある庭園には沢山の薔薇が咲き誇り、50人くらいの少年少女たちが楽しそうに笑う声が聞こえてくる。
このガーデンパーティーはレイザーン殿下の婚約者を決めるためのものだから、当たり前だが、レイザーン殿下は人気者だ。
レイザーン殿下を狙っている令嬢によって、周りが固められている。
あの輪の中に入るつもりは無いけど、レイザーン殿下と話すためには必要なことだろう。様子を見ながら機会を伺う事にして、私はルビーと薔薇をみて歩いた。
『アンジェ、どこ行くの?』
『せっかく綺麗な庭園だから、よく見ておこうと思って・・・。』
『セイラの湖の方がきれいだよ?』
『ふふっ、そうね。』
『アンジェが、薔薇、好き?』
『うん、好き、かな。一番はゆりの花だけど。』
『ゆり?』
『そう、ゆりの花よ。ルビーは・・・』
「誰だ?」
薔薇を見ながらルビーと話していると、突然、知らない人の声が聞こえてきた。
ビックリしながらも、声のした方を見てみると、そこには金髪金目の私より頭一つ分くらい背の高い男の子が立っていた。
「ここで何をしている。」
「何も。少し、散歩していただけですわ。・・・邪魔ならすぐに帰りますわ。」
もしかしたら来ては行けないところまで歩いて来てしまったのでは無いかと内心は焦りながらも、微笑みながら戻ろうとしたその時、突然腕を掴まれた。
「まっ、待て。」
「えっ。」
「その、せっかく来たんだ。少し、話し相手になっては貰えないだろうか。」
少し寂しさを含んだような目でそう言われば断ろうにも断りずらく私は頷いた。
それを見た彼はホッとした様な表情になる。
「えっと、あなたは?」
「名乗るほどの者ではない。」
「・・・そうですか。お初にお目にかかります。わたくしガートン公爵家が長女アンジェリカ・ガートンですわ。」
名前が聞けないのは少し残念な気がしたが、何か事情があるのかもしれないと思ったので深追いはしなかった。
代わりにカーテシーをしながら挨拶をする。
友達の一人もいない私は、初めての友達が出来るかもしれないと思い丁寧に名を名乗った。
「アンジェリカ嬢か、よろしく。」
「呼び捨てで構いませんわ。・・・あなたのことは何とお呼びすれば?」
「ジルと呼んでくれ。アンジェリカ。」
「分かりました。よろしくお願いしますわ。ジル様。」
「様も敬語もいらない。」
「ふふっ、分かったわ、ジル。」
私がそう言って笑えば、満足したかのように頷きまた私の手を引いて歩き出した。
「どこに向かってるの?」
「向こうに東屋があるんだ。あそこじゃ色々と目立つから。」
「目立つ?」
「・・・なんでもない。アンジェリカは王宮に来たのは初めてなのか?」
「えぇ。そうですわ。」
「ふーん、そっか。」
そう言ってジルは少し嬉しそうに笑った。
私はなんで、ジルが嬉しそうなのか分からなくて首を傾げる。
すると、わたくしの視線に気がついたのかジルは「知らなくていい」とまた前を向いて歩き出す。
「ほら、あそこ。」
暫くして、所々に緑のツルが巻きついている東屋が見えた。あまり手入れの行き届いてなさそうなその場所はジルのお気に入りなんだとか。
ドレスが汚れるのが嫌だった私はハンカチを一枚敷いてそこに座った。
ジルは私の向かい側に座ると、私の趣味や好きな花、好きな色など私のことを色々知りたがった。
私はジルの言葉に丁寧に答えていった。
変わりにジルの好きな物を私は聞いた。
ジルは大きくて美しい花よりも小さく目立たなくともただそこにある花が好きだと。
色は白が好きで、一番のお気に入りはかすみ草だと。
夜の寝る前にする読書が好きだと。
そんなたわいない話をしていた。
「ねぇ、アンジェリカ」
話に一区切りが着いた時ジルが私の名を呼んだ。
その声は先程と同じような寂しさを含んだ声だった。
その声に私はジルを見つめながら続きを待った。
「俺の友達になってくれないか?」
「えっ?」
「・・・ダメか?」
「えっと、もう、わたくしは友達だと思っていたわ。」
「そうか!」
ジルが嬉しそうに笑った。
私もそれにつられて笑った。
ジルは不思議だ。今日初めてあったのに、もうこんなに私はジルに心を許してしまっている。
やっぱりジルの本名が、知りたい。
と私が口を開こうとした時。
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